トーナメント不毛の地を変える!30歳で引退したゴルファーの思い〜 金谷嶺孝
ゴルフ界に携わるビジネスマンに、ゴルファーとしての生き方やゴルフへの接し方を聞く。考え方は十人十色。だからゴルフ人生は面白い…。
配信日時:2017年8月20日 20時00分
トーナメントの未来は地方オープンが支える、という気概
プロゴルファーとしてツアーで活動した期間は4年。ビジネスマンとしての人生は17年。トーナメント運営企画会社を立ち上げ、レッスンスタジオを開設したのちに、ゴルフ練習場を買収。不動産事業としてビル、土地を購入し、またフィットネス事業、マッサージ事業とビジネスの幅を広げてきた金谷だが、今、プロ活動をしている後輩たちには、トーナメントプレーヤーに区切りをつける際に考えてほしいことがあるという。
「アマチュアのレッスンやツアーコーチに移行するのが、最もスムーズなやり方だとは思いますし、僕もレッスン活動はしています。ですが、いったん足を止めて考えてみてもいいかなと思う。僕らのいる場所には、まだまだビジネスチャンスはあります。僕と同年代以下の人に、セカンドライフの考え方を変えることも必要だと思います。コースに所属して協力者として参加するのではなく、自らの呼びかけで周りを巻き込んでトーナメントを作っていく。すごく面白いですし、ゴルフをしていない人に魅力を伝える方法を考えていけば、それが業界への恩返しにもなります」
金谷の言葉の裏側には、未来のツアーへの憂いが隠されている。
「僕は30代のころから、ずっと周囲の方に警鐘を鳴らしていました。仮にツアーパッケージとして賞金1億円、会場設置1億円、テレビ放映権1億円だとします。加えて広告代理店経由の大会告知を大々的にすれば1億円。この規模感では、長いスパンで見たときにもたないですよ。われわれは賞金と経費の割合は1対1。それで絶対に黒字になり、長く歴史を積み重ねることができます。賞金額はレギュラーツアーよりも少ないですが、黒字イベントとして長く続いていくモデルの存在がトーナメントを支えると思っています」
深堀も賛同する。
「一時期、岩手県オープンをレギュラーツアーにするには? という相談を受けたことがあります。レギュラーツアーで活躍する選手と地元の選手が一緒になって戦うのが、この大会の特色。大会が大きくなって、有力選手がもっともっと集まることもゴルフ普及の一つですが、個人的な意見として地元ゴルファーが出場できるプロアマ形式が望ましいといったことはあります。賞金額が大きいことよりも、長く続けることのほうが大事ですからね」
報道や情報拡散の形も変わり、あるいは大きく変わっていく。インターネット放送が主流になり、見たい映像を24時間いつでもチェックできるようになる。ゴルフトーナメントも魅力的なコンテンツを主体的に模索し、選ばれるような施策を立てないといけないはずだ。
「そして、人気のバロメーターはギャラリーがくるかこないか。国内女子もテレビ視聴率は下がっていますが、会場にギャラリーを集めているから人気なのです。翻って国内男子はどうか。いいプレーを見せるのは使命ですが、日本のゴルファーの8割が100を切れずに悩んでいる中で、プロのスイングを参考にするために大会に訪れる人がどれだけいるか。われわれはどこの層に目を向けるべきか。
"ウェイストマネジメント・フェニックスオープンの名物ホール・16番パー3"のような思いきった劇場型ショーを提示してあげれば、ゴルフをやらない人にも見てもらえるかもしれない。そこまでの規模はなかなか実現できませんが、見せ方を工夫して、各県でコミュニティー・トーナメントとして連動していければ、ゴルフによる地域活性化の可能性は十分にあります」
岩手県オープンでは少しでも"足止めポイント"を盛り上げようと、スタートホールの1番をインタビューホールに設定。今年は"ゴルフ芸人"黒田カントリークラブを起用して盛り上げを図った。1番のティグラウンドに立つ小林正則と、隣接するパッティンググリーンで準備をする増田伸洋が、スタート前に台本なしの掛け合いを見せた。
「アマチュアのレッスンやツアーコーチに移行するのが、最もスムーズなやり方だとは思いますし、僕もレッスン活動はしています。ですが、いったん足を止めて考えてみてもいいかなと思う。僕らのいる場所には、まだまだビジネスチャンスはあります。僕と同年代以下の人に、セカンドライフの考え方を変えることも必要だと思います。コースに所属して協力者として参加するのではなく、自らの呼びかけで周りを巻き込んでトーナメントを作っていく。すごく面白いですし、ゴルフをしていない人に魅力を伝える方法を考えていけば、それが業界への恩返しにもなります」
金谷の言葉の裏側には、未来のツアーへの憂いが隠されている。
「僕は30代のころから、ずっと周囲の方に警鐘を鳴らしていました。仮にツアーパッケージとして賞金1億円、会場設置1億円、テレビ放映権1億円だとします。加えて広告代理店経由の大会告知を大々的にすれば1億円。この規模感では、長いスパンで見たときにもたないですよ。われわれは賞金と経費の割合は1対1。それで絶対に黒字になり、長く歴史を積み重ねることができます。賞金額はレギュラーツアーよりも少ないですが、黒字イベントとして長く続いていくモデルの存在がトーナメントを支えると思っています」
深堀も賛同する。
「一時期、岩手県オープンをレギュラーツアーにするには? という相談を受けたことがあります。レギュラーツアーで活躍する選手と地元の選手が一緒になって戦うのが、この大会の特色。大会が大きくなって、有力選手がもっともっと集まることもゴルフ普及の一つですが、個人的な意見として地元ゴルファーが出場できるプロアマ形式が望ましいといったことはあります。賞金額が大きいことよりも、長く続けることのほうが大事ですからね」
報道や情報拡散の形も変わり、あるいは大きく変わっていく。インターネット放送が主流になり、見たい映像を24時間いつでもチェックできるようになる。ゴルフトーナメントも魅力的なコンテンツを主体的に模索し、選ばれるような施策を立てないといけないはずだ。
「そして、人気のバロメーターはギャラリーがくるかこないか。国内女子もテレビ視聴率は下がっていますが、会場にギャラリーを集めているから人気なのです。翻って国内男子はどうか。いいプレーを見せるのは使命ですが、日本のゴルファーの8割が100を切れずに悩んでいる中で、プロのスイングを参考にするために大会に訪れる人がどれだけいるか。われわれはどこの層に目を向けるべきか。
"ウェイストマネジメント・フェニックスオープンの名物ホール・16番パー3"のような思いきった劇場型ショーを提示してあげれば、ゴルフをやらない人にも見てもらえるかもしれない。そこまでの規模はなかなか実現できませんが、見せ方を工夫して、各県でコミュニティー・トーナメントとして連動していければ、ゴルフによる地域活性化の可能性は十分にあります」
岩手県オープンでは少しでも"足止めポイント"を盛り上げようと、スタートホールの1番をインタビューホールに設定。今年は"ゴルフ芸人"黒田カントリークラブを起用して盛り上げを図った。1番のティグラウンドに立つ小林正則と、隣接するパッティンググリーンで準備をする増田伸洋が、スタート前に台本なしの掛け合いを見せた。
増田「小林さん、ティショットはなんですか?」
小林「アイアンですね、増田さんはもちろんドライバーですよね」
増田「いや、刻みます(笑)」
小林「飛びますからね〜、期待していますよ」
観客を挟んでの二人のやりとりに、和やかな笑いがこぼれる。少しでも楽しんでほしいというサービス精神は、インタビューホールを設定した運営が引き出したといってもいい。
純粋にトーナメントを楽しみに来場してくれた方には付加価値を、そしてイベントのみで来場した方にはゴルフ場に触れてもらう。もちろん、ゴルファーが楽しんでいないトーナメントでは楽しめない。"ゴルフ予備軍"に一人でもゴルフの魅力を伝え、ゴルフを始めてもらうためには、プロの考え方も変えてもらう必要がある。
小林「アイアンですね、増田さんはもちろんドライバーですよね」
増田「いや、刻みます(笑)」
小林「飛びますからね〜、期待していますよ」
観客を挟んでの二人のやりとりに、和やかな笑いがこぼれる。少しでも楽しんでほしいというサービス精神は、インタビューホールを設定した運営が引き出したといってもいい。
純粋にトーナメントを楽しみに来場してくれた方には付加価値を、そしてイベントのみで来場した方にはゴルフ場に触れてもらう。もちろん、ゴルファーが楽しんでいないトーナメントでは楽しめない。"ゴルフ予備軍"に一人でもゴルフの魅力を伝え、ゴルフを始めてもらうためには、プロの考え方も変えてもらう必要がある。
「ゴルフの魅力を知っているプロゴルファーが、"ゴルフをしていない人"にもっともっと目を向けてほしい。この考えを共有していくことが、次の世代につながっていくと思います」
トーナメントの未来を見据え、経営者として生きていく中で、金谷にはもうひとつの夢がある。
「30歳で起業したときに、50歳までが一区切りと決めました。シニアツアーに出場できる年齢までは頑張ろうと。この17年間、まったく準備不足。通用するわけはないですよ。でも、そういう夢は持ち続けています。やっぱりトーナメントの現場が好きなんです」
金谷が再びプレーヤーとして現場に立つとき、プロゴルフトーナメントはどうなっているのだろうか。
トーナメントの未来を見据え、経営者として生きていく中で、金谷にはもうひとつの夢がある。
「30歳で起業したときに、50歳までが一区切りと決めました。シニアツアーに出場できる年齢までは頑張ろうと。この17年間、まったく準備不足。通用するわけはないですよ。でも、そういう夢は持ち続けています。やっぱりトーナメントの現場が好きなんです」
金谷が再びプレーヤーとして現場に立つとき、プロゴルフトーナメントはどうなっているのだろうか。