陸上競技男子100メートル競走において、日本人には達成困難と考えられていた9秒台に対する記録の壁。その壁を9月9日に行われた日本学生対校選手権男子100メートル決勝で、桐生祥秀選手が日本人で初めて10秒の壁を破る9秒98（追い風1.8メートル）の日本新記録を樹立した。

　日本女子ゴルフツアーには10秒の壁ならぬ“50秒の壁”が存在する。2016年より「プレーのペース」の計測方法と罰則が変更。従来はスコアによってペナルティ対象の時間が決まっていた。1ホールで3打を要したら101秒以内、4打131秒、5打161秒で、これをオーバーすると1罰打から競技失格までのペナルティを科せられ、7打以上は競技委員の裁定となっていたが、これが既定の変更により1打につき50秒以内になった。無論こちらは越えてはいけない壁だが。

　ただし、罰打となるまでには段階があり、いきなり50秒の壁が立ちはだかるわけではない。まず前の組と1ホールほど間が空いたら組全体、もしくは著しく遅い選手がいる場合は個人にイエローカードが掲示される。イエローカード掲示後はいつでも測定できる状態となり、そこで50秒を1度越えたらバッドタイム1回目。ここではまだペナルティはなく、2度目から2罰打が課せられる。LPGAによればイエローカードは1日5〜6枚、1度目のバッドタイムも今季何度も出ているが、罰打を受けた選手はいないという。

　一度もバッドタイムを受けたことがないという成田美寿々に、50秒の壁について聞いてみた。

「測られたことがないので分からないですが、50秒は割と余裕持っていると思います。短くはないですね。トラブルや複雑なラインのグリーンでは越えてしまうかもしれませんが……。越えたくはないですね」

　西山ゆかりも成田と似たような意見だった。

「もちろん50秒が長い時と短い時があると思います。パターのラインが決まっているような場面なら打つだけですし、考えることが多い状況なら短く感じるかもしれません。でも、50秒あれば大丈夫」

　とのこと。初めて10秒の壁を破った桐生選手以外にも、多田修平選手や飯塚翔太選手、ケンブリッジ飛鳥選手と9秒台を出せそうな選手が増えてきた陸上短距離界。それとは対照的に女子ゴルフ界では壁を破る選手が続々と出てこないことを祈るばかりである。

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