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    ジュニアを教えるコーチというお仕事

    ゴルフを満喫できるのは、夢中でプレーしている私たちからは見えないところで働いている人たちがいてくれるからこそ。最高のゴルフの休日を陰からサポートしてくれるそのお仕事とは?

    配信日時:2018年10月16日 21時00分

    • ゴルフライフ
    目次 / index
    トッププロとして活躍する以前に、すでにジュニア時代からその頭角を現していたというサクセスストーリーを耳にすることがある。だがそれはエリートコースの中のほんのひと握り。習いごとのひとつとしてクラブを握る子供たちの多くは、ジュニア向けのゴルフスクールに通う。

    そしてそのインストラクターは、子供たちのゴルフとの出会いに立会い、ゴルフの印象を左右する大切な存在。ゴルフ人口の減少が語られる中で、将来のゴルフ好きへ導くためのガイドとも言える。そんなはじめてゴルフを体験するジュニアを教えるインストラクターのお仕事とは?
    内藤さんはインストラクター歴25年を越えるベテラン

    内藤さんはインストラクター歴25年を越えるベテラン

    お話を聞いたのは、ミズノゴルフスクールのインストラクターである内藤達也さん(59歳)。プロ野球選手だった父の姿を追う野球少年だったが、右ヒジを故障して野球を断念。大学からゴルフに転向するも再び大きなケガに見舞われる。一度は一般企業に就職するも、後悔したくないと一念発起。研修生としてツアープロを目指す。ところが若いころの体の故障がネックとなり、ティーチングの道へ。インストラクターとしてのキャリアは26年。ジュニアを教えはじめてから20年近くが経つ。PGAティーチングプロA級、ミズノゴルフスクール統括インストラクター。

    内藤さんを訪ねたのは、初めてジュニアたちがゴルフを体験できる、ミズノゴルフスクールのジュニアクラスがある、横浜市南区の山王台ゴルフセンター。お話を聞く前にレッスン風景をのぞかせてもらう。練習場2階打席に、親御さんが見守る中で、小学校低学年から高学年まで6名が黙々と打ち続ける。そして内藤さんはひとりずつにアドバイスをしながら巡回する。

    一番キャリアが浅い子で半年というが、スイングは板についていて、鋭いショットが次々と飛ぶ。驚いたのは子供たちの大人顔負けの集中力。ふざけた様子もなければ、内藤さんとのやりとり以外にはしゃべり声もほとんど聞こえない。ジュニア向けのエントリーコースとは思えない“ガチ”な雰囲気に圧倒される。レッスン終了後に話を聞いた。

    きっかけは「みんゴル」という子供が増えている

    Q ジュニアへのレッスンという部分で気を配ることはありますか?

    A ゴルフについてどのように教えるか以前に、まずは安全の確保です。2階打席から転落しないように、その部分は口を酸っぱく言いますね。今日の生徒たちはある程度、練習を積んでいるので集中していますが、やはり子供です。目の前を蝶やトンボが飛んでいたら、彼らは2階打席にいることを忘れてしまいますから。

    それに低学年くらいの子供はクラブにボールが当たらないと癇癪を起こしてしまいます。こうなると思わぬ事故につながる可能性があります。だからそれを防ぐために、ボールがうまく当たらなくても、フィニッシュの姿勢とか、グリップとか、うまくデキていることを伸ばすようにしますね。子供にとって、楽しさとはデキることです。成功体験をさせることが大切です。

    とはいえほめるポイントをわざわざ探したりすると、子供はすぐに察します。自分に対して、無理をして優しくほめてくれていることがわかると、かえって逆効果になってしまいます。子供は建前を使いません。本音でぶつかってきますから。

    Q 子供たちがスクールに通うきっかけは?

    A 以前であれば、ゴルフが好きな両親のすすめで、というパターンが多かったのですが、今は両親ともにゴルフをしない子供がたくさんいます。昨今、スクールに通うきっかけとして顕著なのは「みんゴル」の存在です。子供たちはバーチャルでゴルフを経験済み。さらにリアルで、自分でやってみたいという流れです。バーチャルでできているのだから、リアルでもできると思っていますね。

    ですから当初からゴルフ用語とかよく知っています。打ったあとに「あれはOBだな」とかフツーに言いますし、スクールに入って早々に「どうやったらバックスピンがかけられるの?」とか聞いてくる子もいます。そのときは「もっとごはんを食べて、体が大きくなったら教えてあげるよ」と答えましたが。
    子供たちとのコミュニケーションは実にナチュラル

    子供たちとのコミュニケーションは実にナチュラル

    Q ゲームから飛び込んできた子供たちはその先どうなっていきますか?

    A 子供ですから、最初のころはすぐに飽きてきます。でも無理に集中させようとしてもうまくいきません。たとえばバックスイングなら、まず自分が丁寧にやって見せます。子供はマネをするのが好きだし、上手です。そうすることで、目で見て、覚えてもらうように進めます。

    そして大切なポイントを伝えるときには、必ず腰を落として、子供と同じ目線で話しかけるようにしています。こうしているうちに、バーチャルとリアルの区別ができるようになり、コースに出てみたいという思いが芽生えてきます。そうなると集中して練習するようになりますね。

    小学校低学年くらいであれば、ゴルフ以外にも、水泳とか学習塾とか習いごとの掛けもちをしている子がほとんどです。そして小学校4年くらいになると学校でクラブ活動がはじまり、5年になれば受験をする子は勉強が大変になります。そうなると目の前にあるたくさんのメニューの中から、自分が本当にやりたいものがわかってくるようになります。早くからゴルフがやりたいものになっている子供は上達していきますね。

    Q 親御さんとのやりとりで話題にのぼるのは?

    A いちばん聞かれるのはジュニア用のクラブを買ってあげたほうがいいのかです。子供が熱中したら、クラブを買い与えてあげたいというのは親心。とはいえ子供はどんどん大きくなっていくので、その都度買い替えるというのも大変です。私は約20年、ジュニアを教えてきて、子供が成長して使えなくなったクラブをたくさん譲り受けてもらってきました。ですから生徒さんの身長にあったクラブを、その中からしばらく貸し出してあげるようにしています。また身長が伸びたら、それに合うサイズと入れ替えるようなカタチにしています。

    スクール以外の子供の日常生活にも思いを巡らす

    Q レッスン中にゴルフ以外の日常生活についてよく話しているのが印象的でしたが?

    A スイングしている様子を見ながら、体の変化を見つけて、それには何が影響しているのか見つけ出すためです。たとえばスイミングクラブのあとスクールに来た子供には、「今日はクロールをたくさん泳いだ?」とか聞くことがあります。クロールは肩の使い方がゴルフとは逆になりますから、スイングに影響がでることがあります。またスイングしている様子は変わらなくても、この世代特有の成長痛などもあるはずですから。とりわけ上達して大人用のクラブにチャレンジしはじめる子供には気を配りますね。

    Q ジュニアのインストラクターを務めて、いちばんうれしい瞬間は?

    A コースデビューをした子供から、コースへ出たときの話を聞くとき、楽しかったという言葉があると本当にうれしいですね。具体的な何かはなくても、子供にとって、コースに出たことが楽しい時間だったと感じてくれることが最善ですから。

    レッスン中の内藤さんを見ていると、過度に子供に寄り添うわけではないものの、親しくコミュニケーションをとる様子には、子供から信頼されていることがうかがわれる。しかも常に水分補給を促すような細やかな配慮も欠かさない。先生と過ごした時間が、子供たちの、この先の素晴らしいゴルフの1日に繋がっていくに違いない。


    ミズノジュニアプログラム/ゴルフ初体験のジュニアのためのベーシックレッスンから、トップアスリートを目指すミズノゴルフアカデミーまで、レベルや目的に応じてコースが設けられている。ジュニアゴルファー育成には定評のあるジョー・ティール氏の監修のもとプログラムを構成。技術、メンタルのスキルアップ、さらにこの世代に求められるライフスキルの習得も目指す。ベーシックコースについては、関東、関西の18会場で開催されている。ミズノゴルフスクール事務局 TEL.0120-084-562

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