マツダCX80の運転席はゴルフと同じ! 「アドレスが大事」に基づいていた
マツダが提案する軸のひとつにラージ商品群というのがある。読んで字の如く、大ぶりのSUVラインナップを指しており、それが今回試乗したCX-80だ。徳島と神戸を往復するという機会に恵まれ、その実力のほど存分に試すことができた。
配信日時:2024年11月1日 02時43分
マツダが提案する軸のひとつにラージ商品群というのがある。読んで字の如くで、大ぶりのSUVラインナップを指す。第一弾はCX-60で、第2弾となるのが今回試乗したCX-80だ。このほか、CX-70とCX-90があるが、今のところ、海外向けのみとなっている。つまりCX-80が国内では最上位となり、マツダのラインナップのなかでも同様。フラッグシップモデルとなるわけで、期待は大きい。徳島と神戸を往復するという機会に恵まれ、その実力のほど存分に試すことができた。
■まずは見た目! 大幅進化してより精悍に!
CX-80を目にした印象は大きいということ。当たり前とはいえ、実車を見るとやはり迫力がある。実際のスペックを見ても全長は4990mm、車幅も1890mmと、なかなかのサイズだ。パワーユニットは3タイプで、世界的にも珍しいマツダ自慢の3.3リッター直列6気筒ディーゼルと、これをベースにしたマイルドハイブリッド。マイルドハイブリッドとは走り出しのときだけ、モーターがアシストするシンプルなシステムとなる。
そしてもうひとつが2.5リッター直列4気筒ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドで、それぞれトランスミッションは8速ATが組み合わされる。今回は、これらのすべてを試乗することができた。
デザインは今までのマツダデザインを継承しつつ、CX-80のキャラクターに合わせたものとなっている。具体的には疾走感や躍動感は抑えて、その代わりに豊かさや優雅さを表現しているとのこと。実際に見てみても、重厚な顔つきや伸びやかなサイドなど、見る者に存在感を強くアピールする。もちろんマツダの真骨頂、美しい映り込みはCX-80でも健在。神戸の街のなかで撮影を行っても、風景の中に置かれたというよりも、風景と調和しているのが印象的だった。
■余裕たっぷりのサイズを活かした3列シート
インテリアから見ていくと、基本的な部分はCX-60と共通する部分が多い。というと、手抜き的なイメージを持つかもしれないが、CX-60はそもそも内装の質感や素材、デザインに徹底的にこだわり抜いて作り上げられているので、レベルは高い。またシリーズ感を出すためには共通しているほうがいいというのもあるだろう。いずれにしても大人が満足できる質の高い内装に仕上がっていて、輸入車からの乗り換えでも不満はないはずだ。
マツダのこだわりのひとつがシートの作りで、人間工学に基づいた研究を以前から行い、製品へと積極的にフィードバックしている。ゴルフのアドレスと同じで、姿勢が大切。ステアリング、そしてペダルに対して正しく向き合うのは安全運転の第一歩であり、基本中の基本。CX-80も同様で正しい姿勢で運転席に座れば、変なストレスもなく、自然とリラックスして運転することができた。シート自体の出来もレベルはとても高く、長時間のドライブでもしっかりと体を受け止めてくれ、疲れ知らず。乗り心地はゆったりとしていてリラックスできる、極上の仕上がりには関心するばかりだった。
また、CX-60、CX-80に共通するアイデンティティとして、3列シートというのがある。CX-80の先代にあたる、CX-8も3列シートを採用していてヒットしたが、実際にSUVでも3列シートが欲しいという声はよく聞く。よく考えたら3列シート、つまり大人数で移動するとなるとミニバンしかないわけで、ほかの選択肢はなし。ミニバンはどうも……という人もいるわけで、SUVで3列が欲しいという声が出るのも当然だろう。
SUVで3列シートだとどうしても3列目は最小限になりがち。しかし、CX-80は余裕のボディサイズを活かして3列目のシートも大ぶりで肉厚。足元のクリアランスも確保されていて、ゆったりと座ることができるのはCX-80の大きなアピールポイントになるだろう。
3列目を使わないときは畳んでおけば、そのまま広大なラゲッジになるのも3列シート車の大きなメリットだ。そもそもゴルフバッグ4本を搭載できるのが至上命令として出ていたとのことで、3列目を畳んでバッグを4本積んで、4人でゴルフ場に向かえるのがCX-80というわけだ。
■迷う! 3つのパワーユニットはどれがいいのか?
マツダといえば、日本の乗用車におけるディーゼルの第一人者的メーカー。CX-80ではCX-60同様、3.3リッターという大排気量かつ、フィーリングのいい直列6気筒を搭載している。トランスミッションはクラッチを使ったもので、ATにありがちな滑るような感じを排除。走り出しからダイレクトなレスポンスが得られるようになっているのは爽快な走りにこだわるマツダらしいポイント。ただディーゼルということも関係しているのだろう、シャープな加速というよりも、グッと背中を押してくれるような重厚な走り出しだった。
ここにシャープさをプラスしたいなら、マイルドハイブリッドのほうがオススメだ。モーターはあくまでもアシストに徹するとはいえ、アクセルを踏んでからのレスポンスは高まっていて、気持ちよく加速してくれる。
そして軽快さを楽しみたいなら、PHEV、つまりプラグインハイブリッドだ。通常はモーターで走行するので、モーターの特性として発進、加速は鋭いし、滑らか。組み合わされる2.5リッターのガソリンはそもそも188馬力もあるので、エンジン走行でも力強く、吹け上がりもシャープだ。こちらもクラッチレスの8速ATを組み合わせているのでなおさらだ。
もちろんディーゼル、PHEV、どっちがいい悪いという問題ではなくて、味付けの違い。そして好みの問題。ディーゼルのほうが発進や加速は重厚感にあふれていて、シャープというよりも頼もしい感じ。高速道路での巡航は余裕たっぷりのパワーを活かしてゆったりとしたもので、まさにクルージング感覚あふれる。一方のPHEVはストレスのないスポーティな走りを楽しむことができて、高速でも爽快な疾走感を味わうことが可能だ。まさに甲乙付けがたしというのが試乗してみた正直な感想と言っていい。
サスペンション自体の乗り味はとてもマイルドで、2トン超のボディをうまく支えているなというのが感じられる。ただ、3つのパワーユニットですべて共通化というと、味付けをあえて変えているのか確認できなかったが、PHEVはカチッとした乗り味で、ディーゼルはエンジンのキャラクターに合わせたのか、ゆったりとしたものだった。
■購入時は幅広い価格設定と細かな仕様の違いに注意!
ここまではパワーユニットでの違いを見てきたが、購入となると気になるのが価格。ディーゼルの394.35万円からPHEVの712.25万円まで幅はかなりある。2WDと4WD両方の設定があるし、2列目がキャプテンシートになる6人乗りと、ベンチシートの7人乗りもグレードによって異なる。インテリアも素材違いでの細かな組み合わせというか、グレード設定は多いので、購入時は自分の使い方に合ったものはなにかを明確にすることが大切だろう。ぜひ、大いに悩んで欲しい。
MAZDA CX-80 XD-HYBRID Exclusive Sports
◆全長_全幅_全高:4990×1890×1710mm ◆車両重量:2090kg ◆エンジン形式:直6DOHCディーゼルターボ ◆総排気量:3283cc ◆エンジン最高出力:187kW(254ps)/3750rpm ◆エンジン最大トルク:550N・m(56.1kg-m)/1500-2400rpm ◆モーター最高出力:12kW(16.3ps)/900rpm ◆モーター最大トルク:153N・m(15.6kg-m)/200rpm ◆ミッション:8AT ◆WLTCモード燃費:19.2km/ℓ ◆定員:6人 ◆価格:582.45万円
文/近藤暁史【MUSHROOM】
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