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    おやじゴルフニュース「ロフト15度から45度までUTフルラインナップのキムラが、その打ち方を考えた」

    ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。

    配信日時:2023年3月21日 02時30分

    • ゴルフライフ
    • ユーティリティ
    イラスト・とがしやすたか
    イラスト・とがしやすたか
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    ゴルフのスランプ脱出計画もひと段落、どうにか山を越えたようです。気づけばキャディバッグの中は、UT(ユーティリティ)ばかりになってしまいました。幾らアイアンが苦手とはいえ、UTの数がハンパないです。

    数えてみるとロフト15度の3番ウッド相当のUTから、ロフト45度のピッチング相当のUTまでフルラインナップで揃っています。最近は9番アイアンも使わなくなり、アイアン消滅の危機ですか。

    アイアンがなくてもコンスタントに100を切れますから、UTはかなり使えるクラブじゃないかと思っています。こうやってUT礼賛の記事を書いていますが、UT多用にピンと来てない方もいると思います。「見た目が嫌い」「フェースの向きが分からない」「どう打っていいか分からない」など、ネガティブ意見も結構多いのです。

    そこで今回、改めてUTの歴史を紐解きつつ、性能や打ち方を考えたいと思います。まずはこれです。

    1)UTの歴史
    テーラーメイドがレスキューを発売したのが2001年、そこからユーティリティ文化が花開きます。レスキューのヒットを受け、各社こぞって似たようなクラブを作り始めました。その新クラブの総称をユーティリティと呼ぶようになります。意味は「役立つ」「有益なもの」です。まさに超役立つ、万能クラブだったんですね。

    最近、ユーティリティは発音しづらいのか、多様性の時代を象徴してか、ハイブリットと言ってます。つまりアイアンやウッドなど、様々な要素をかけ合わせたものということでしょう。


    UTクラブ20年躍進の背景には、アマチュアの飛距離競争がありました。アマチュアゴルファーは、セカンドショットで180ヤードぐらいまで飛んで曲がらないクラブがなんとしても必要でした。さすればピンを狙えるし、あるいは寄せワンで、パーがとれるかも知れないとね。

    そうするにはロングアイアンか、フェアウェイウッドを打たねばならない。けど私を筆頭に、ロングアイアンなんてまともに当たらない。そもそも日頃打ってないですから。じゃフェアウェイウッドはどうだ。ボールはかろうじて前に進むが、それでもトップやダフリ、引っかけが多発、スコアにならないことが多かったのです。

    そんなときにアイアンのように高い球が打てて、ウッドより簡単に打てるUTが現れ、重宝されるようになりました。もちろんアイアン上手でも、ロングアイアンよりラクに高い球が打てるとUTを選ぶ人がいました。

    2)ハイブリットと呼ばれて
    ここでUTが苦手な人の意見を聞くと「ヘッドがどこを向いているか分からない。だから打ちづらい」という人が多いです。


    UTはまだ誕生して日の浅いクラブです。だから日々進化しています。ショートUTなるクラブが発売されたのも、ここ2~3年の出来事です。だから設計も斬新なのが多く、抵抗感がある人もいるわけです。

    ここで選ぶにあたってのヒントは、自分の好きなクラブを思い描くことです。個人的にはアイアンよりウッドが好きなので、UTでもウッドに近いクラブを選びます。だからソールが広く、ヘッドを滑らせても打てるUTを好んで使います。

    一方、アイアンが好きな人はソールが狭めのアイアン型のUTを打てばよいのです。ただアイアンは最近、飛び系アイアンが出回り、アイアン革命を起こしています。だからアイアン好きからUTへはさほど流れず、ウッド好きからUTへ流れる人が多いかなと思います。

    現在ロフト45度のUTを試験的に使っていますが、なかなか使いでがあります。フェースの高さがさほどなく最初は面食らいますが、打ってみるとロフト角が近いピッチングよりミスが少ないです。

    特に冬場、芝が枯れていたり薄かったりするときに重宝します。ミスはウェッジより少ない。けど距離の精度やボールの高さではもう少しかな。大叩きしないクラブという点では、充分合格じゃないでしょうか。

    3)UTのメリット&デメリット
    これだけUTを誉めると万能と思うでしょうが、実は弱点もあります。例えば深いラフとかね。やはりそこはアイアンで出すべきでしょう。UTでもソールが広いウッドタイプは、ラフだとボールの下を潜ったり、あるいはボールの頭を打ちがちです。

    最近ショートUTなるロフト35~45度のクラブが売られていますが、私の場合、ラフでは使いづらいです。それはフェースの高さがさほどないからです。だから無茶をせず、PWで出して刻むのがよろしいかと。

    あとUTは簡単すぎて、ティショットでよくミスをすることがあります。つまりフェアウェイで打ちやすいから、日頃、ティアップして打つことに慣れていないというか、練習をしていない。


    そもそもフェアウェイでちゃんと打てるのだから、ティアップして打つのは簡単だろうと、ナメてかかるんですね。けど実際は、微妙なティの高さのせいで天プラを打ったり、引っかけたりしがちです。

    これはティアップして打つ練習をするか、いっそティアップしないで打つかですよね。

    逆にメリットとしては、1本のクラブで飛距離を調整しやすいです。スリークォーターやハーフショットが打ちやすいのです。アイアンの場合、距離を合わせに行くと、シャンクしたりすることもあるでしょう。UTは基本シャンクしないので、軽く振ってもそこそこいい球が出ます。

    だから1本のクラブの守備範囲を広げて、バッグに入れているUTの本数を減らせばいいなと思っています。以前はロフト40度のUTで40ヤードから100ヤードまでカバーしていました。そういう打ち方はクラブ選択に悩まずすみます。

    ただしそれはロフト40度のUTが、絶好調のときに限ります。日頃の練習も大事ってことですね。

    4)最初の1本が大事
    いいことを多めに書きましたが、案外苦労するのは最初の1本目のUTです。一番最初に打ったUTはインテスト、俗に言うタラコでした。最初はアイアン型を使っていたのですが、いまいちしっくり来ず。それからウッド型に変更して、UTに開眼した次第。

    それからズームもアイアン型とウッド型を同時に使ってみましたが、ウッド型にはまり、最終的にウッド型のズームCを5本買い揃えました。

    それから時が経ち、今はキャスコがお気に入りですが、最初のモデルのトルネードを打てるまで時間がかかりました。何回打ってもダメでしばらく放置していたら、突然開眼して打てたんですね。

    それからキャスコを集めだし、それは今のUFOシリーズにまで繋がるというわけです。打つコツはたいしてありませんが、しいて言うならリキまないこと。つまり簡単に打てるように作っているので、単にクラブを振り下ろせばいいだけ。下手な小細工をしないほうがいいみたいですね。

    だからある日、力を抜いて軽く打ったら凄く飛ぶじゃないの。こういうことかと分かった次第です。

    UTに情熱を注いでいる会社は、どの領域までUTで打てるのか、試行錯誤しているようです。私の知る限りでは、ロフト50度のUTがあります。ほとんどアプローチウェッジと同じロフトじゃん。いよいよUTのサンドウェッジが出るか? いえいえ、それは恐らくチッパーがその役割を果たしてくれるんじゃないでしょうか。

    サンドウェッジが発明されて約90年、UTが発売されてまだ22年、飛び系アイアンが発売されて、まだたったの7年です。従来のクラブ性能で販売競争するよりも、まったく新しいコンセプトの新商品を出したほうが売りやすいし、売れやすいかと思います。ただそれはコケるリスクもあり、ビジネスとしては難しいところもありますがね。

    ゴルフ界では今、もの凄いイノベーションが起きています。素材、形状の開発などで、アマチュアゴルファーはより飛び、簡単に打てて精度も増します。けどアマチュアの平均スコアはさほど伸びてない。


    何故なら人間の技術は遺伝しないからです。誰でもゼロからゴルフを覚えねばならない。そこが大変で、かつ面白いところなんでしょうね。

    ■プロフィール■
    木村和久
    きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
     
    とがしやすたか
    1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。

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