午前ダメな人が克服すべき1打とは?【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】
午前か午後、どちらかがいつも悪い人がいる。特に、午前ダメな人は「1番ホールのファーストパットさえミスなくうまく打てれば大叩きの悩みを克服できます」と、順天堂大学医学部の小林弘幸教授はいう。一体どのように打てばいいのか教えてもらった。
配信日時:2023年4月19日 22時30分
「Aさん、午後のハーフを30台で回ったそうですね! ベスグロかもしれませんよ」
「いえいえ、午前のハーフで50以上叩いていますから……大波賞ならチャンスはあるかな」
「もったいない!」
「午前中はいつもダメなんです」
ロッカールームで帰り仕度をしているとさまざまなプレーヤーの声が自然と耳に入ってきますが、この会話のように午前か午後どちらかがいつも悪い人、特に午前中エンジンのかかりが遅いのを悩んでいる人が多いように感じます。
■1番のファーストパットこそ、30センチオーバーで打つ
実は、午前中スコアが全然まとまらない方によく効くアドバイスがあります。それは「1番ホールのファーストパットだけはカップの30センチ先を狙って打ちましょう」というもの。
スタートして最初に打つパットというのが大事なところで、大叩きを防ぐには1番ホールで決して躓つまずかない。つまり3パット以上しないことが絶対条件といえるからです。そのためには文字どおり、このファーストパットを30センチから悪くても1メートルに寄せることがポイントになります。
大ショートを避けるため目線はカップの30センチ先へ持っていきましょう。オーバーめに狙ってちょうどタッチが合うと思います。
■途中から波に乗ってくると、再び自律神経を乱しやすい
1番ホールさえ切り抜けられれば、2番以降の不安は和らぎます。「崩れるときはパットから」といわれる、そのパットを1番でしっかり打てた自信と感覚があるからです。ただ、朝エンジンのかかりが遅いということは、もう一つ交感神経が上がらず自分のリズムでゴルフをするのに時間がかかる状態です。
ある程度経験すると最初の3ホールは無理に攻めずボギーでよしとするのが正解でしょう。問題は中盤以降です。4番ホール辺りから交感神経が上がってきて波に乗り始めると「飛ばしたい」、「パーオンを狙いたい」など欲が出て、自律神経のバランスが乱れます。
これを自覚できない人も最終的に午前がダメになってしまうのです。交感神経が上がりすぎると抹梢の血流が悪くなり細かい感覚が鈍りますので、中盤から再びファーストパットを悪くても1メートル以内に寄せるよう心がけましょう。
オーバーめがいいかどうかは個々のタッチを見て判断してください。ちなみに午後ダメな人は、出だしの10番を最初からボギーで上がると決めて、1打目からアイアンなどでのレイアップを駆使することで大叩きの芽を摘むとうまくいきます。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。