勢いを増す中国発BYDの次なる一手はスポーツセダン
BYDと言えば、中国から上陸したEVメーカーであり、国内でも着々とディーラー網を整備している。長澤まさみの「ありかも、BYD!」というCMもよく見るだけに、気になっている方も多いのではないだろう。すでにATTO3、ドルフィンというモデルが日本に上陸済み。これらSUVに続いて登場したのがシールで、こちらはスポーツセダンで、新たなる境地を切り開いている。その実力はいかほどのものか? 試乗して探ってみた
配信日時:2024年6月25日 08時49分
クーペスタイルのEVセダンはとても新鮮
BYDはもともとバッテリーの製造からスタートした中国のメーカー。現在では自動車メーカーとしてお馴染みになっているが、バッテリーメーカーとしても世界中に供給していて、日本ではBYD製EVバスの導入が進んでいるし、蓄電池事業などにも力を入れている。バッテリーメーカーがEVメーカーも展開したわけで、その実力は侮れないという声も多く、EVでネックになりがちな価格も安いのだから、なおさら気になる。
すでにATTO3とドルフィンというSUVモデルが先行上陸しているし、CMもよく見かけるのでご存知の方も多いだろう。そもそもEVでSUVが多いのはバッテリー搭載に有利だからなのだが、今回新たに加わったシールはBYDが言うところのeスポーツセダンで、4ドアクーペスタイルと言っていい。それゆえ、伸びやかなスタイルは見ただけでも、そのワクワク感あふれる走りを予感させてくれるものとなっている。
一転して、じっくりと楽しめる質の高いインテリア
まだ、EVは特別なものなのは事実。それだけにエンジン車との差別化にどのメーカーも力を入れていて、インテリアも未来感満載だったりする。最初はそのきらびやかさに驚かされ、さすがは「未来のクルマ」と感心しきり。ただ、長く付き合っていくのは派手すぎると思ったりもする。
その点、シールに乗り込むとそこに広がっているのは質の高い車内で押し付けがましくもない。ナッパレザーを使ってシートは座り心地満点だし、インパネもシンプルで飽きが来ないデザインでまとめられている。もちろん巨大なモニターなど、要所要所は先進的なディテールとなっているので、古臭くはない。
肝心のラゲッジは、クーペスタイルのボディなのと、2輪駆動でも後ろにモーターがある(つまり後輪駆動)ので広大ではない。ただし、まったく積めないわけでもなく、ドライバーを抜く必要はあるかもしれないが、バッグ2つは収納できるだろう。ちなみにフロントにも小さな収納が付いていて、いろいろと使えそうだ。
EVならではの爽快な加速と吸い付くようなコーナーリング
いよいよ走りについて見てみよう。グレードは2輪駆動と4輪駆動ふたつのみ。とくに後者は日本上陸にあたって、あえて用意したものだという。4輪駆動のほうが安定しているのはもちろんなのだが、足まわりのセッティングも特別なものになっていて、乗り比べても違いがわかるほど。2輪のほうが軽快な感じで、4輪はアクセルを踏んだときに4つのタイヤが力強く力を伝えている感が楽しめるし、吸い付くように曲がるのは快感ですらある。
足まわりのセッティングなどに加えて、フロア下に薄い板状(ブレード)のバッテリーを敷き詰めてあるのも有利に働いているのだろう。ちなみにブレードバッテリーは従来は性能的に不利と言われていたのを、BYDの技術で安全性、寿命、航続距離、動力などの性能をバランスよく、高いレベルで実現している。
高い性能と装備満載ながら驚きの価格を実現
最後に気になる価格について紹介すると、これがかなりのバーゲンプライスだ。通常価格は2輪駆動で528万円、4輪駆動が605万円となっている。すでに紹介したように、先進のQi2のスマホ充電など快適&先進装備が標準で付いていてこの価格である。今やなんでも高いご時世で、クルマも例外ではないだけに、驚きのプライスだ。
また、導入記念として先行の1000台はそれぞれ495万円、572万円に。また8月31日まで期間限定の初期購入特典としてETCやドライブレコーダーに加えて、次回車検までメンテナンスパックや充電器とその工事費用最大10万円までのサポートも付いてくるので、まさに大盤振る舞いだ。さらに各種補助金も付くので、価格はさらに安くなる。
最後に、購入についてだが、テスラを始めとして最近は公式サイトからのネット通販が主流になりつつあるが、BYDは実店舗重視で、現在55店舗を整備している。また、シールの発売に合わせて、展示・試乗キャラバンが行われるとのことなので、気になる方はぜひ体験してみてほしい。
文/近藤暁史【MUSHROOM】
お問い合わせ
BYDジャパン 0120-807-551
https://byd.co.jp