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    「ZOZOチャンピオンシップ」観戦で見えてきたもの【原田香里のゴルフ未来会議】

    「ZOZOチャンピオンシップ」を観戦した原田香里が感じたこととは?

    配信日時:2023年11月1日 02時30分

    • ゴルフライフ
    松山英樹を見ようと大勢のギャラリーが来場
    松山英樹を見ようと大勢のギャラリーが来場 (撮影:岩本芳弘)
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    ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。今回は、「ZOZOチャンピオンシップ」観戦のお話から、思ったことを聞いていただきたいと思います。

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    日本を舞台に行われるPGAツアー(米ツアー)の一戦であるこの大会には、一昨年はボランティアとして参加させていただき、昨年は観戦に行っています。今年も初日にギャラリーとして行ってきました。いやぁ、やっぱり男子の試合はいいですねぇ。PGAツアーの選手たちがたくさん参戦している、ということだけでなく、男子のゴルフには女子にはない良さがあると感じます。
     
    男子のプレーを見ているとまず気付くのが、インパクトの音の違いです。体格や筋力の違いがあるので当然と言えば当然ですが、クラブの抜けがまったく違うのです。色々な選手を見て「ああ、今はこういうスイングが主流なんだな」などという勉強するのはもちろんですが、単純に見ていてワクワクするのです。
     
    誤解していただきたくないのですが、女子のゴルフには女子のゴルフの良さがあります。それは大前提。近年の女子のゴルフにもパワーは感じますが、さらにパワーで勝る男子ゴルフの良さを体験するには、日本だけでなくPGAツアーの選手たちも集まるこの試合は最高なのです。パワーの話とは別な面から、稲森佑貴選手のプレーも、興味津々で見てきました。ご存じのように、稲森選手は決して飛距離のあるプレーヤーではありません。
     
    ドライビングディスタンスはツアー107位(263.81ヤード)ですが、フェアウェーキープ率はツアーNo.1(79.980% データはいずれも10月29日までのものです)。“日本一曲がらない男”と言われる正確なドライバーショットを武器に、日本オープンのようなセッティングで強さを発揮してきたのです。
     
    私も、飛距離があるタイプではなく、正確性で勝負してきたゴルファーです。「ゴルフは飛距離だけではない」と、このコラムでも何度か書いたと思いますが、稲森選手はそれを徹底しています。それで結果を出しているのですから、彼が活躍し、PGAツアーの強い選手たち相手に戦っているのを見るのは楽しかったです(今回は16位タイ)。
     
    それにしても、毎年、同じ習志野CCで行われる大会を見に行っていると、漠然とですが「全体的に毎年、飛距離が伸びているのでは?」と感じます。ゴルフは飛距離ではないけれど、飛距離を求めるのもゴルファーの“性(さが)”なのも確かです。それを考えると、魅力的な飛距離のアドバンテージを、選手だけでなくボールやクラブのメーカーさんも含めて、求め続けるのは当然なのかな、という気もします。
     
    ところで、男子の試合の魅力を何度かお伝えしている私から、業界に呼び掛けたいのが、男女の試合を一緒に行うことができないかな、ということです。JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の理事を離れた今、私がすぐにどうこうできるわけではありません。ただ、一緒に試合を行うことで、女子ツアーファンが男子ツアーに、男子ツアーファンが女子ツアーにと、興味の幅が広がることを考えたいのです。
     
    オールドファンはご記憶かもしれませんが、昔は男女同時開催の試合がありました。ツアー競技では、1990年まで朱鷺の台CC(石川県)で行われていたミズノオープンと、93年まで三好CC(愛知県)で行われていた東海クラシックがそれです。どちらも、36ホールのゴルフ場が舞台で、プレーするコースは別々ですが、クラブハウスは一緒に使用。ギャラリーの行き来もできたはずです。
     
    実は、プロゴルファー同士も、日頃は別々な場所で試合をしているため、男女が一緒になる機会は少なく、いつもとは違う雰囲気が面白かったことをよく覚えています。今でこそ男女プロの交流はいろいろなところであると聞いていますが、以前はそうでもなかったのです。ギャラリーのみなさんも、お祭りのようなにぎやかさを楽しんでくださっていたようです。
     
    残念ながら、どちらもその後、男女別々の開催となり、男子のミズノオープンはコースを変えて開催しています。女子の方は、試合そのものがなくなってしまいました。東海クラシックは、男子はタイトルスポンサーをつけながら同じ三好CCで開催しています。女子も、やはりタイトルスポンサーがついたうえで、違うコースで行われています。
     
    かつては女子の試合の規模が小さかったのですが、今は人気も高まっています。当然、同時開催となれば試合の規模が大きくなり、設備の問題、輸送の問題など乗り越えなければならないことがたくさんあるのはもちろん理解しています。それでも、問題を一つ一つ解決して、開催してみれば、様々な新しい可能性が見えてくるのではないでしょうか。
     
    他の試合との差別化もできるし、プロも関係者もいつもとは違う交流ができる。お客さんも倍楽しめる…。そこから生まれてくる新しいものを考えただけでワクワクします。ゴルフ界全体を考える上でも、ぜひ、実現してほしいと思います。

    ■原田香里(はらだ・かおり)
    1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

    連載

    原田香里のゴルフ未来会議

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