おやじゴルフニュース「中古クラブをネットショッピングで買う前に知っておきたいこと」
ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。
配信日時:2023年2月21日 03時00分
前回、中古クラブのショップ巡りの話を書きましたが、今回は中古クラブのネット購入話をします。ECサイトやオークションサイトは検索機能を使えば、自分の狙ったクラブをピンポイントで探せて便利です。しかもスマホで簡単決済が出来て、欲しいものがすぐ手に入る。すこぶる楽しいネットショッピングの世界を説明したいと思います。
1)中古マーケットの概要
まずはゴルフクラブのマーケット、全体の把握をしましょう。日本のクラブ用品市場(新品)は、おおよそ2700億円と言われていて、それはシューズ、バッグ、ボールなどのゴルフ用品全般を含みます。その中でゴルフクラブは約半分弱の1300億円ほどです。
一方、ゴルフの中古(リユース)市場は850億円ほど。そもそも中古クラブは価格が安いので、流通量は新製品と変わらない数が流れていると思われます。中古クラブマーケットはコアなユーザー層が存在しており、その求めは細かくなっています。だから1軒の実店舗で営業するよりは、ネットで日本全国に情報を公開したほうが、お客さんを集めやすいのです。
ゆえに中古ショップが兼業でネットショップをやるケースが増えています。しかも、個人間のオークションやフリマも盛ん。今後ますます伸びるマーケットとして期待されています。
2)ネットショッピングの仕組み
中古クラブの売買は、ネットオークションが多いです。もちろんECサイトでもクラブを売っていますが、中古品は年代や磨耗具合などを吟味して、お互いが納得のゆく価格を見つける。こだわりつつも安く購入したい方は、オークションサイトで取引をするのです。
そのニーズに反応してなのか? オークションサイトの出品者の半数以上は、業者さんが占めています。パッと見はハンドルネームだけで分かりませんが、過去の出品数が1000件を越えているとか、これはプロでしょうとなるのです。
もちろんプロの方は身分を隠しているわけではなく、ちゃんとプロフィール欄には「ストア」や「ショップ」と表示してあり、店の名前や売っているクラブの品質などを書き込んでいます。逆に言えばプロが査定して商品を出しているので、むしろ信用できると思います。
素人さんの出品の多くは「現状見たままです。ゴルフに詳しくありませんので、細かい質問には答えられません」みたいなコメントがわりと多く出されます。これは近親者の不用品整理や頼まれて出品したケースが考えられ、必ずしもゴルファーが出品しているとは限りません。
だから「ついこのあいだまで、そのクラブはちゃんとボールが当たっていたのか?」みたいなことは聞けません。たまにゴルフ好きの方が「高い球が出て、いつも安定した飛距離です。重宝していました」みたいなコメントを出していると、安心して買おうと思いますね。
けどこういう例は少なく、結果的に業者の出品のほうが無難となるのです。
3)ネットの利便性とは?
リアル店舗とネット出品が決定的に違うのは品揃えの豊富さです。どのオークションサイトでも検索をかければ、出品しているクラブの中から自分のお気に入りを見つけることが出来ます。
例えば「キャスコ UT」で検索すると、最新のUFOシリーズから20年ぐらい前のUTまで、ずらり150本ほどが現れます。そこからブランド名や型番で絞り、さらにシャフトの硬さ、ロフトなどを吟味すれば、お目当てのクラブが手に入るというわけです。
4)実際の買い方
オークションサイトは数日間のオークション期間があり、そこで値段を競り、最終的に一番高い値段をつけた人が入手出来ます。大量に出回ってるクラブや古いクラブは、最初から即決価格が表示されていて、その金額で決済ボタンを押せば、即購入が出来ます。
一般のオークションの場合、価格が動くのは最終日が多く、しかも終了1時間前あたりから激しい攻防戦となります。だから、同じタイプのクラブの過去のオークション落札価格を参考にして、値段をうかがうのはありです。最終日に値段が上がっても、過去の落札価格を大幅に上回ることはありません。ごくたまに、どうしても欲しい人がいれば、築地市場のセリのように、ガンガン値段が上がって行きますけどね。
あとは自分の決めた上限価格との戦いとなります。今回のオークションは値段が上がり過ぎだ。次回誰かが出品するのを期待しようと、諦めることもありかと思います。私の場合は20年前の誰も見向きもしないクラブを買うので、容易に競り落とすことができましたけど。
あとやっかいなのは、オークションの終了時間です。深夜に終了するオークションは、その時間まで起きていなければいけません。自動入札制度もあるのですが、確実に競り落としたい方は、我慢して起きているしかありません。もちろんオークションですから、相手がさらに高い価格を指して来た場合は、終了時間を延長するので、そこは体力と粘りが必要となります。
余談ですが最近のオークションで一番重宝したのは、スマホのカバーです。それが壊れてしまい、どうしようとなったのです。こちらはアイフォンのXRという随分と古い型を使っているのですが、イマドキの家電量販店にそんな旧型のカバーは売っていません。
困り果ててオークションサイトを探したら、たった680円で新品が売られていて即ゲット。しかも送料込みは凄く得した気分でした。だからゴルフボールやグローブなどで検索かけると、結構お値頃の商品が出品していたりして。あとは好き好きですから、ゆっくり吟味して購入してみてください。
5)落札後の対応
まず断っておきたいのは、オークションサイトの中古クラブは価格に見合った品物だということです。安ければ細かいキズやグリップが滑るなどのマイナス面が目立つこともあります。
その中で一番問題なのは打って当たらないことです。これはクラブが悪いのか、自分が悪いのかは分かりませんが、長年の使用で劣化している可能性はあります。個人的には10本オークションで落として、1本はちょっと微妙だなというのと、1本は型番がちょっと違うのか、予想と違ったのが来てしまった。そういうことがありました。
こちらの勉強不足もあるので、粗悪品を掴まされたというわけではありません。その後、2本はいろいろ打ち方を変え、バランスを修正したりして、なんとか頑張って働いています。だから微妙な品物が届いても怒らず、柔軟な対応をしましょう。
6)評価のつけ方
オークションで競り落として品物が届くと、お互いに相手を評価することになります。これはひどいものが来たから、最低の評価を下してやるというのは、いささか性急すぎます。
まず自分の発注ミスもあります。アイフォンのカバーを競り落としたとき、最初に購入したカバーはサイズが合わなかった。コノヤローと思いましたが、調べてみると自分の勘違いで、型番の発注ミスだったのです。
だから中古のゴルフクラブを買って、しっくり来ないからといって、評価を低くするのは考えものです。そして評価は自分に跳ね返ってきます。つまり最低評価を出したら、相手からもこちら側に対し最低評価をくだされる可能性があります。
これをやると「インチキ商品を売りつけやがって」「お前こそクレーマーだろ」という、罵り合いに発展することも……。納得がいかない場合は評価を下す前に、出品者にメールで問い合わせるか、オークション事務局に相談したほうがよろしいです。
オークション業者は仕事として出品しており、評価が悪いと今後の仕事がやりづらくなります。こっちは趣味で買っている客だけど、あっちは評価の数で家族を養ってるわけですから、そこを多少考慮してあげてもよいのかなと。もちろん明らかな悪質業者だったら、断固たる態度をとるべきですけど。
一度、オークション沼にはまるとなかなか抜け出せません。すでにノートパソコンなども含めると、累計46商品を落札しています。オークションサイト見るのは凄く楽しいです。何か掘り出しものがないかってね。一度覗いてみてください。
■プロフィール■
木村和久
きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
とがしやすたか
1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。
木村和久のおやじが気になる旬なゴルフ情報