バンカーを1個作るには約200万円かかる! コースには平均80個のバンカーがあって、さらに管理費は……
バンカー、グリーン、ティグラウンド、クラブハウス……。ゴルフ場はいったいいくらかかっているのだろうか?
配信日時:2024年1月24日 22時30分
バンカー、グリーン、ティグラウンド、クラブハウス……。ゴルフ場はいったいいくらかかっているのだろうか? 名匠、井上誠一のゴルフ場「春日井カントリークラブ」のコース改造が始まった。名門コースなのになんでわざわざコース改造が行われるのか。近年、日本のゴルフ場は外国人設計家、シェイパーらの手によってコース改造が行われているが、なぜなのか? 春日井カントリークラブの全面コース改造から見えてきた知られざるゴルフ場の実態をゴルフ活動家の大矢隆司がレポートする。
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皆さんが普段プレーするゴルフ場で必ず目にするバンカー。バンカーはハザード(障害)として、プレーヤーにリスクとリワードを提供するだけではなく、コースの景観にも影響を与える重要なアイテムです。一方で、バンカーはプレーヤーに心理的なプレッシャーやストレスを与えるアイテムであるだけではなく、プレーの遅延や、足跡に入るなどの不公平など、プレーへの不満足をもたらす原因ともなります。
『バンカー1個200万円!?』
バンカーは30平米程度の小さなものから、200平米を超えるような大きなものまで、様々な大きさ、形、深さのものが存在しますが、概ね平均的なバンカーの大きさは100平米前後と言われています。
バンカーは単に穴を掘った場所に砂を入れているだけではなく、窪地に水が溜まらないように、土中には排水用のパイプなども設置されています。
こうしたバンカーを作るための費用は1平米あたり2万円前後と言われていますから、1個のバンカーに200万円前後、シングルグリーンの18ホールのゴルフ場では80個前後のバンカーが設置されていますから、単純計算でバンカーに1.6億円の費用がかかっている計算になります。(日本のダブルグリーン=2グリーンでは120個/18ホールのバンカーが平均的)
さらにバンカーは硬化を防ぐために7-8年おきに砂の入れ替えが必要で、それにもお金がかかるだけでなく、毎日営業終了後にコース管理のスタッフによって整備されていますから、その維持にかかる材料費、労務費、重機の減価償却費を考えると、プレーヤーが支払うお金の何割かがバンカーの維持に使われているとも言えます。
『バンカーのないゴルフ場』
アメリカのメリーランド州クラウンズビルにあるパブリックコース「アイゼンハワー・ゴルフコース」は、「顧客の不満要因にコストをかけるのはナンセンスだ」という議論を経て、2019年の改修によって元々コース内にあった56個のバンカーがすべて取り除かれました。
バンカーの意味や価値について改めて考えさせられるエピソードですが、みなさんはバンカーにいくらのお金を払いますか?
レポート/大矢隆司(ゴルフ活動家)
1980年生まれ。中学卒業後15才で単身オーストラリアへゴルフ留学。ジェイソン・ディら多くのトッププロを輩出するHills Golf Academyで3年間を過ごす。帰国後大学に進学し在学中にゴルフコーチに転向。ゴルフコーチングと並行して会社経営を学ぶためにビジネススクールに通いMBA(経営学修士課程)を修了。国内外でのゴルフビジネスの起業を経て、現在はゴルフビジネスのアドバイザーやPMO、オーナー代理人としてゴルフ場やゴルフ関連企業の顧問を務める
バンカーの値段はいくら? 名門コース改造から見えたゴルフ場の実態