ゴルフ上達の鍵!? ゴルフのベタ足スイングの基本とメリットを解説
ゴルフには「ベタ足」というスイングフォームがあります。ベタ足には球の方向性やミート率がアップするなどのメリットがあり、女子プロでは畑岡奈紗や申ジエ、アン・ソンジュなど、男子プロではローリー・マキロイ、平田憲聖などが取り入れています。しかし、正しくベタ足スイングを取り入れないと飛距離が逆に縮まったり、変なクセがついてしまったりする可能性もあります。この記事では、ベタ足スイングの基本と具体的メリット、そして取り入れる際の注意点を解説していきます。
配信日時:2024年6月24日 08時30分
1.ゴルフのベタ足とは?
ゴルフのベタ足とは、簡単にいうと、インパクトの瞬間まで右足のカカトを上げないスイングフォームのことです。ベタ足というと、右足全体を地面につけたまま全く動かさない、とイメージするかもしれませんが、そういうわけではありません。
基本の前傾姿勢のままバックスイングし、インパクトの瞬間までは、右足のカカトを地面につけたままスイングしますが、インパクトの後は、体の回転に自然についてくる形で、フォローからフィニッシュにかけて右カカトを上げていきます(自然と右カカトが上がっていくイメージ)。
男子プロの平田憲聖は、ALBA TVの番組トッププロレッスン K's STUDIO 平田憲聖編で、「前傾の姿勢を崩さないために、ダウンスイングからインパクトにかけて、右ヒザが前(ボール側)に出ないよう気をつけていて、右ヒザが左足に寄るように振るため、結果的にベタ足になる」と解説しています。
また篠崎紀夫も、ベタ足スイング”でインパクトゾーンが長くなるので方向性がよくなる 体格のハンデをスイングで補った【シニア賞金王・篠崎紀夫のミチノリ】で、「インパクトゾーンを長くするために、ダウンスイングからインパクト、フォロースルーにかけて、ヒザを目標方向に送る動き(右ヒザをボール側に出さずに、左ヒザに寄せるように、ターゲットラインと平行に動かす)を気にしながらクラブを振るうちに、いつの間にかインパクト時でも右足が上がらない、ベタ足になった」と解説しています。
平田も篠崎もともに、スイングプレーンに沿って振り切るためにスイングを工夫した結果、ベタ足になった、という点で共通しているようです。
なお、ベタ足の反対のスイングフォームは、ヒールアップ。こちらは左右のカカト(バックスイングでは左足のカカト、ダウンスイング以降は右足カカト)を上げ、下半身のフットワークを使うスイングです。
2.ベタ足スイング4つのメリット
ゴルフのベタ足スイングを取り入れるメリットは4つあります。
【1】ミスショットが減りやすい
【2】飛距離の伸び、方向性が安定しやすい
【3】傾斜があってもショットしやすい
【4】オーバースイングを防止できる
【1】ミスショットが減りやすい
ベタ足スイングには、ミスショットが減りやすいメリットがあります。
ベタ足スイングだと足の裏全体で体を支えられるので、安定感をもって構えられることが理由です。スイングの途中でカカトを上げるヒールアップのフォームだと、ツマ先のみで体重を支えるため、どうしても下半身が安定しにくい面があります。
また、ベタ足スイングには体の余計な動きを抑える効果も。
例えばスライスが多いゴルファーの場合、ダウンスイングの早い段階で右足のカカトを浮かせてしまい、ヒザが前(ボール側)に出てくることがあります。右ヒザがクラブの軌道を邪魔をするので、インパクト時の角度が意識しなくても外側からになってしまいます。結果、球が曲がりスライスが起こってしまうのです。
ミスショットが多い方はベタ足スイングを習得すると、フォームが安定したり無駄な動きがなくなったりして、ミスがぐんと減る可能性があります。
【2】球の方向性とミート率が安定しやすい
ベタ足スイングには、球の方向性とミート率が安定しやすいメリットがあります。
ベタ足はヒールアップに比べると体重移動が少なく、体の余計なひねりや回転を抑えられます。体がボールに対して正面を向いた状態でインパクトできるので、ダウンスイングの軌道が安定しやすいです。またインパクト時のヘッド位置が低く長く保ちやすいので、インパクトゾーンが長くなり、狙った方向にボールを強く押し出せます。
一方ヒールアップスイングの場合、重心移動が大きいため、体重の乗った重い球が打てますが、打つタイミングや角度がマッチする必要があります。スイングのリズムが崩れると、飛距離をロスしたり、変な方向に球が飛んで行ってしまうのです。
体の動きを抑制できるベタ足スイングは、球の方向性とミート率が安定しやすいといえます。
【3】傾斜があってもショットしやすい
ベタ足をスイングに取り入れると、傾斜のある場所でもショットしやすいメリットがあります。
ベタ足なら足全体で体を支えながらスイングできるので、傾斜のある場所でもヒールアップに比べてスイングしやすいです。また、右足をヒールアップしてスイングする場合は重心の移動が大きいので、少しでも傾斜があると重心移動に影響しスイングのリズムが崩れます。
ゴルフでは、大なり小なり傾斜がある場所でショットすることが多いです。傾斜に関わらず安定したショットを打ちたい方は、一度ベタ足を取り入れてみるのもいいでしょう。
【4】オーバースイングを防止できる
ベタ足はオーバースイング(バックスイングでクラブを振り上げ過ぎること)を防止できます。インパクトまで右足のカカトを地面につけたままなので、体の過度なひねりを抑制できることがその理由です。
オーバースイングをしてしまうとスイングのリズムが変わるため、振り遅れやミート率の減少に繋がります。特に飛距離を出したいと思っている場面で、力が入ってオーバースイングになりがちな人は多いのではないでしょうか。
オーバースイングで悩んでいる場合は、ベタ足でスイング幅をあえて制限することで、改善する可能性があります。
3.ベタ足スイング習得の注意点
最後に、ベタ足スイングを習得する際の注意点をまとめます。
変なクセがつく可能性がある
体が硬いと習得自体が難しい
変なクセがつく可能性がある
ベタ足スイングを習得しようとした結果、変なクセが付く可能性があるので注意が必要です。
ベタ足でスイングすると両足を地面につけたままで打つため体の回転が抑えられ、手打ちになりやすいです。手打ちしていることに気づかないままベタ足の練習を続けていると、変なスイングのクセが身についてしまうことがあります。
一度身についてしまったスイングを直すのは大変です。ベタ足を練習する際は、フォームを撮影したりレッスンを受けたりして正しいフォームを身につけましょう。
体が硬いと習得自体が難しい
ベタ足スイングは、体が硬い人だと習得自体が難しいかもしれません。
ベタ足スイングは、ヒールアップに比べると柔軟性が重要です。体が硬いと上手く体を使えず、慣れるまで飛距離が落ちてしまうことがあります。
また体が硬いのに、ベタ足のまま体を無理矢理ひねろうとして、関節を痛めるなどのケガに繋がる恐れもあります。体の柔軟性に合わせて練習してください。
4.まとめ
ゴルフのベタ足スイングは、体の余分な動きを抑え、コンパクトに、安定感をもって打てるスイングフォームです。
球がなかなか安定せずに悩んでいる人や、新しいフォームを試してみたい人は取り入れてみると、スコアが伸びる可能性があります。
ベタ足スイングは、体の柔軟性と体幹が重要なので、まずはハーフスイングで練習し始めるのがおすすめです。慣れてから徐々に振り幅を広げてフルスイングにもっていきましょう。ぜひ本記事を参考に、無理のない範囲でベタ足を試してみてください。