ハンディキャップとは? 基礎知識と計算方法をわかりやすく解説
コンペの集計表に載っているあのハンデ、どうやって決めるか知っていますか? ハンデはゴルフに不可欠ですが、なんとなくしか理解していない人は多いのではないでしょうか。ふと疑問に思っても、知っていて当然というムードがあってなかなか聞き出せないかもしれません。この記事では、ハンディキャップの特徴や計算方法、活用の仕方までわかりやすく解説しています。
配信日時:2024年1月30日 03時31分
1.ハンディキャップは全プレーヤーが公平にゴルフを楽しむための指標
ゴルフにおけるハンディキャップ(ハンデ)は、ゴルフの実力を数値化したもので、技量の異なるプレーヤーが公平に、楽しく競い合うことを目的に用いられています。一般的にハンデの上限は36で、上達とともに数値が小さくなっていきます。
ハンディキャップを用いた競技の順位は全ホールを回った打数の合計(グロススコア)からハンデを引いた数(ネットスコア)で決まるので、始めたばかりの方でも上級者と競って優勝を目指せるのです。
グロススコア(全ホールを回った打数合計)-ハンデ=ネットスコア |
ハンディキャップの種類
ハンディキャップには大きく3つの種類に分けられます。
- ・プライベートハンディキャップ
- ・クラブハンディキャップ
- ・JGAハンディキャップ
下2つはどちらもオフィシャルハンディキャップといわれることがありますが、異なるものとなっています。
プライベートハンディキャップ:一般的なコンペで使われる
会社や仲間内のコンペで使われることが多いのは、プライベートハンディキャップです。複数設定された隠しホールのスコアをもとに、当日のスコアだけで算出されます。初参加などで実力のわからないプレーヤーがいる場合にも、全員にとって公平で満足感のある結果を得やすいルールです。
また、“隠しホール”という名の通り、計算に使うホールはプレー中のコンペ参加者に隠されています。どのホールのスコアが計算に使われるのか、自分がどの順位につけているのか、結果発表までわかりません。誰が優勝するかわからない楽しみを、初心者から上級者までの参加者全員に与えてくれます。
クラブハンディキャップ:クラブ競技に参加できる
オフィシャルハンディキャップのひとつで、特定のゴルフクラブで使えるハンデのことをクラブハンディキャップといいます。決められた期間内に決められた回数分のスコアを提出すると取得でき、クラブの競技会などに参加できるようになります。
ちなみに、クラブハンディキャップはゴルフ会員権が必要なイメージがありますが、導入するクラブも増えてきた割安の「ゴルフ友の会」に入会することでも取得できるようです。
JGAハンディキャップ:海外でも有効
JGAハンディキャップもオフィシャルハンディキャップのひとつで、正確で幅広く活用できるハンデです。誰でも取得でき、海外のコースでも有効で、公式競技にも出場できます。「JGA/USGAハンディキャップインデックス」ともいいます。
取得にはJ-sys(JGAハンディキャップシステム)への登録が必要ですが、個人だけでは登録できません。ハンディキャップインデックスを発行できるクラブや団体の会員かJGAの個人会員になる、あるいは一部のゴルフ情報サイトを経由しなければなりません。その後、3枚以上のスコアが登録されると自分のハンディキャップインデックスが算出されます。
ゴルフ規則に従ってプレーされたスコアは当日中に提出、査定に採用され、翌日には最新のハンディキャップインデックスが発行されます。ハンデの上下で現在の腕前を正確に知れるので、ゴルフ上達のモチベーションにも最適です。
なお、パブリックゴルフ場でも、PGS(日本パブリックゴルフ協会)に会員登録することで、JGAハンディキャップを取得する方法もあります。
「ハンデいくつ?」と聞かれたら
ラウンド中などに「ハンデはいくつですか?」とたずねられることもあるでしょう。ハンディキャップインデックスを取得していればその数値が答えになりますが、持っていない場合には「最近の平均スコアから72を引いた数(100の場合は28)」を伝えれば問題ありません。
もちろんこれは公式ハンデではなく、スコアの計算に使うものでもありません。ほとんどは気楽な場面での会話のキッカケでしょうし、大体の実力の目安として聞いているだけでしょう。
ちなみによく耳にする“シングル”はハンデが一桁のゴルファーのことをいい、スコア平均81以下の上級者を指します。
2.コンペで使える! プライベートハンディキャップの特徴と計算方法
コンペで使われるプライベートハンディキャップには、次の5種類があります。
・ペリア方式 |
ペリア方式、ダブルペリア(新ペリア)方式、新新ペリア方式が代表的なプライベートハンディキャップで、一般的によく使われているのはダブルペリア(新ペリア)方式です。
それぞれの計算式から算出されたハンデを、グロススコア(全ホールを回った打数合計)から引いたネットスコアで順位が決まります。集計はゴルフ場が代行してくれることが多く、基本的に計算方法を覚えておく必要はありません。ただし、知っておけばハンデを意識したプレーでより上位を目指せたり、同伴プレーヤーと駆け引きしたり、違った楽しみ方もできるはずです。
ここでは、特に使われることの多い、ペリア方式、ダブルペリア(新ペリア)方式、新新ペリア方式の計算方法を紹介します。
ペリア方式:運要素が強い
ペリア方式では、始めに18ホールから6つの隠しホールを決めておき、最後に計算します。隠しコースは通常アウトコースとインコースからそれぞれ3つ、パー3、4、5のホールを選びます。
腕前に関わらず、隠しホールでたまたま大たたきをするとハンデが多く与えられてしまうなど、運要素が強くなりすぎることもあります。初心者が多い場合や、あまりに実力差が開いているときなど、運要素も楽しみたいコンペで採用するといいでしょう。
ペリア方式のハンデ=(隠しホールの合計打数×3-72)×0.8 |
ダブルペリア(新ペリア)方式:コンペのハンデといえばこれ!
ペリア方式に比べて、実力を反映させられるのがダブルペリア(新ペリア)方式です。コンペのハンデといえばこれ、というほど浸透しています。
パーの合計が48になるように、アウトコースとインコースから各6個、計12個の隠しホールを設定します。一般的な隠しホールの選び方は、パー3とパー5から2つずつ、パー4のホールを8つという配分です。ペリア方式の倍の隠しコースがあり、計算方法も異なるため、運に偏らないハンデを作れます。
ダブルペリア方式のハンデ=(隠しホールの合計打数×1.5-72)×0.8 |
新新ペリア方式:バランスはよいが浸透していない
ペリア方式は運要素が強すぎる、ダブルペリア方式は実力差が埋まらない、ということで誕生したのが新新ペリア方式です。あまり浸透しておらず、耳にする機会は少ないかもしれません。
パーの合計が36になるように、18ホールから9つを隠しホールとして設定します。パー3から2個、パー5から2個、パー4から5個のホールを選びます。ダブルペリア方式よりも隠しホールが3つ少ない分、運要素が増しています。
新新ペリア方式のハンデ=(隠しホール9個の合計打数×2-72)×0.8 |
3.オフィシャルハンディキャップを取得してゴルフをもっと楽しもう
オフィシャルハンディキャップを取得すると、より公平に友人と競えたり、競技に挑戦できたりといったメリットもあります。マッチプレーやラウンドの際にも、公正に腕前の差を埋めて、ゴルフをより楽しめるでしょう。
スコアカードの『HDCP』を使ってより公平に楽しめる
スコアカードの『HDCP』の欄にある数字の意味を、「難易度を表している」あるいは「1が一番難しいコース」と思っているプレーヤーは多いのではないでしょうか。実は、あの数字は“一対一で1ホールごとに競うマッチプレーをする際、実力のない方がハンデをもらえるかどうか”の指標に使うものです。『HDCP』はHandicap(ハンディキャップ)の略で、そこに示されている数字を正式にはハンディキャップナンバーといいます。
例えば、ハンデ5のプレーヤーAとハンデ12のプレーヤーBがマッチプレーをする場合のハンデの差は7です。この場合、『HDCP』に7以下の数字1~7があるホールでは、Bに1ずつのハンデが与えられます。8以上の数字の場合、ハンデはありません。両者がパーで上がった場合にBの1アップとなり、効力を発揮します。
クラブハンデにせよハンディキャップインデックスにせよ、お互いにオフィシャルハンデを持っていれば、スコアカードの『HDCP』を使ったマッチプレーもスムーズかつ公平に楽しめます。
競技ゴルフに参加できる
クラブハンディキャップがあれば、月例競技会やクラブチャンピオンを決めるクラブ選手権にも参加できます。自分のゴルフの力量を試したり、実力の近い人と順位を競ったりするよい機会となるでしょう。
競技会は一般的なラウンドとは異なり、プロの試合のようにゴルフの正式ルールに則してプレーします。たとえばパターのOKがないことや同伴競技者へのアドバイスの禁止、ドロップを厳正におこなうことなどは、初心者の方にもイメージしやすいでしょう。上級者向けのイメージがあるかもしれませんが、ハンディキャップを取得すればどちらの競技会も、初心者でも参加可能です。
JGAハンディキャップなら海外でも有効
より正確な実力を示すJGAハンディキャップを取得していれば、海外のゴルフコースでも有効です。ラウンドにハンディキャップ制限がかかっていたり、提示を求められたりすることもあるため、海外でゴルフをする計画がある場合には取得しておいた方が無難でしょう。
たとえば、多くのゴルファーの憧れ、セントアンドリュースリンクス・オールドコースのハンディキャップ制限は男女ともに36です。これは一般的なハンデの上限なので、初心者でも受け入れてもらえるほどですが、そもそもJGAハンディキャップを取得していなかったら諦めざるを得ません。
それ以外にも、ハンディキャップインデックス証明書にはさまざまな項目があるので、記載された記録は自分の上達の足跡や目標として活用できます。たとえば「Best Handicap Index」の項目では、過去最高ハンディキャップインデックスを確認できるので、その数値を更新することを目標に日々の練習やラウンドに取り組むのもよいでしょう。
取得方法などの詳細はJGA公式サイトをご確認ください。
4.まとめ
ハンディキャップは全プレーヤーが公平にゴルフを楽しむための指標です。ハンデがあることで初心者から上級者まで誰もが一緒に、同じように一喜一憂できるのは、ゴルフならではのよさといえるでしょう。
また、オフィシャルハンディキャップは客観的かつ正確な上達度が数値でわかり、ゴルフへのモチベーションを継続的に上げてくれます。より多くのゴルフコースやプレーヤーとの出会いにもつながるので、積極的に取得してみてはいかがでしょうか。