ゴルフ初心者の左利き問題 左打ち(レフティ)が正解?それとも右打ち転向が正解?
これからゴルフを始めようとしている「左利き」の初心者は、「左打ち(レフティ)」と「右打ち」のうち、どちらにするのが正解なのでしょうか? 右利きのゴルファーはあまり深く考えたことがないかもしれませんが、利き腕問題は、ゴルフライフで一番最初に直面する岐路なのかもしれません。本記事では、ゴルフにおける左利き問題を考察していきます。
配信日時:2024年4月26日 08時47分
1.ゴルフにおいて左利きと左打ちは不利なのか?
最初に言葉の定義ですが、本記事では、「左利き」ではなく、「左打ち」のことを「レフティ」と定義します。
そして結論から言うと、左利きも、左打ちも、ゴルフをプレーするうえでは、特段不利ということはありません。
実際、左利きで活躍してきたプロゴルファーは多く、左利き・右打ちの代表的なプロゴルファーとしてはタイガー・ウッズ(米国)やジョーダン・スピース(米国)、日本ではレジェンドの岡本綾子など。
また、左利き・左打ちの代表的なプロゴルファーとしてはバッバ・ワトソン(米国)、日本ではレジェンドの羽川豊、最近では細野勇策も新星レフティとして注目されています。
レフティとして世界的に有名なフィル・ミケルソン(米国)やブライアン・ハーマン(米国)に至っては、右利きにも関わらず左打ちでプレーしています。
海外のメジャー大会においても、2023年の「全英オープン」でブライアン・ハーマンが優勝し、また「マスターズ」でも2000年以降にレフティが合計で6勝を挙げている(2024年マスターズ終了時点)など、左打ちの選手が確実に実績を残しています。
しかしその一方で、左打ちはギア選びや練習環境などにおいて、「不便」なのは紛れもない事実です。
左打ちは圧倒的に人口が少ないため、ゴルフクラブの流通数が限られていたり、練習場の打席が少なかったり、またスクールやレッスン教本などが右打ちのゴルファーを前提に教えているなど、右打ちに比べると待遇はあまり良くありません。
2.ゴルフの左利き・左打ちの割合
インテージグループ自主企画調査「日本人のスマホの持ち方は独特?-国際比較調査でみるスマホ操作の国別傾向-」によると、日本人の左利きの割合は「9.5%」(1割程度)という結果が出ています。(出典:インテージ 「知るギャラリ」2023年1月27日公開記事)
前述した通り、ギア選び、練習場の打席数、さらにはレッスンに関しても、右打ちゴルファーの方がメリットが多いという現状なので、本来左利きだがゴルフは右打ちで始めたという人が一定数いても不思議ではありません。
また、野球のバッターのように、右利きの人がわざわざ左打ちに転向することも一般的には考えにくいです。
となると、日本人のゴルフの左利き・左打ちの割合が、ゴルフ人口の「1割未満」なのは確実だろうと推測されます。一般ゴルファーの肌感覚としては、1割未満のかなり下の方という気もします。
3.ゴルフの左利き・左打ちのメリット
ここではまず、左利きの人が左打ちのままにするメリットを2つ紹介します。
違和感なくスイングできる
1つ目のメリットは「違和感なくスイングできる」ことです。
左打ちは本来の利き手のため、初めから違和感なくスイングができるでしょう。特にテニスや野球など別のスポーツで左打ちが身についている場合は、ゴルフでもパフォーマンスを発揮しやすいようです。
自然と体が動かしやすく、違和感なくスイングできるメリットは何事にも代えられない、と判断する場合もあるでしょう。
練習場の打席が意外と空いている
2つ目のメリットは「練習場の打席が意外と空いている」ことです。
もちろんタイミング次第ではありますが、左打ちはプレイヤーの絶対数が少ないため、右打ち専用の打席は満員でも、左打ち専用の打席は空いている、という光景を見かけます。
4.ゴルフの左利き・左打ちのデメリット
次に、左利きの人が左打ちのままにするデメリットについて3つ紹介します。
ゴルフ道具が揃えづらい
1つ目のデメリットは「ゴルフ道具が揃えづらい」ことです。
前述したように、左打ちの人口が少ないため、ゴルフクラブの流通数が相対的に少なく、自分の好みのギアが見つかりづらい傾向にあります。
当然中古の流通数も少なく、自分に合ったゴルフ道具を安く揃えるのは、右打ちより難しいでしょう。
練習場の打席数が少ない
2つ目のデメリットは「練習場の打席数が少ない」ことです。
前述したように、左打ちの人口が少ないため、左打ち専用の打席数は限られています。また、多くの練習場では打席の場所を右端に設置しているため、打つ場所の選択肢も限られてしまいます。
右打ちの人と向かい合わせで練習をしなくてはならない場合もあり、気まずいと感じる人もいるでしょう。
ゴルフコースの難易度が上がる
3つ目のデメリットは「ゴルフコースの難易度が上がる」ことです。
じつは一般的なゴルフコースは、右打ちの人の方が回りやすいように作られている傾向があります。例えば、アマチュアゴルファーはスライスしやすいため、右側を広くしたり丘を作るなどの工夫がなされています。
しかし、左打ちでスライスした場合は左側にいくため、このような設計のゴルフコースでは、逆にペナルティをうける確率が上がります。
コースレイアウト次第では左打ち(レフティ)が有利?
前項で、一般的なゴルフコースでは右打ちが有利と述べましたが、コースレイアウト次第では左打ちが有利になることもあります。
前述したように、近年のマスターズではレフティが合計6勝を挙げていますが、マスターズが行われるオーガスタ・ナショナルGCでは、左打ち(レフティ)のフェーダーが有利と言われているのです。
理由としては、オーガスタ・ナショナルGCのコースレイアウトが、ドッグレッグホール7つのうち、6つが左ドッグレッグホールとなっている点が挙げられます。
左ドックレックホールでは、右打ちではドローヒッター、左打ちではフェーダーが有利といわれています。さらにフェードボールは、ドローボールよりも正確性が高くミスが少ないため、18ホール中6ホールが、左打ちのフェーダーにとって、有利なコースとなっているようです。
以下の記事では、オーガスタ・ナショナルGCが左打ちに有利とされる理由を詳しく掘り下げています。是非ご覧ください。
ミケルソン3勝、ワトソン2勝… オーガスタGCがレフティに有利なワケ【マスターズ歴代覇者】
5.左利きが右打ちに転向するスイング面のメリット
最後に、左利きの人が右打ちに転向した際に享受できると考えられる、スイング面のメリットについて紹介します。
左手主導のスイングを習得しやすい
左利きの人が右打ちでゴルフを始めると、左手主導のスイングを習得しやすいです。
ゴルフで右打ちする時、左手はクラブをリードする役割を担っていて、左手の動きがショットの方向性や安定性を司ります。そのため、左手主導のスイングを習得することは非常に重要となります。
しかし、右利き・右打ちのゴルファーは、右手の力が強すぎて、右手(首)をこねてダフってしまったり、余計な力が入ることでヘッドがスクエアに当たらず、ショットの方向性が安定しなくなったりする場合も多いのです。
一方で、左利きの人は左手の力が強くて器用なため、左手・左サイドを使ってダウンスイングをリードすることができます。左利き・右打ちの人が一度コツを掴んだら、ショットの安定性は高まりやすいでしょう。
左足で強く踏み込んだスイングが習得しやすい
左利きの人が右打ちでゴルフを始めると、スイング時に利き足である左足で強く踏み込んだスイングが習得しやすいです。
ゴルフで右打ちする時、ダウンスイング時に左足を踏み込むことで、大きな力を発生させます。左足の踏み込みで大きな力をボールに伝えられれば、その分強い弾道で遠くに飛ばすことが可能となります。
6.まとめ
本記事では、ゴルフにおける左利き問題を考察しました。それでは、左利きの初心者はそのまま左打ちにするべきなのか、それとも右打ちに転向するべきなのか、結論としては一体どちらなのでしょうか。
ゴルフのプレー自体に右打ち・左打ちに本来的な有利・不利はありませんが、ゴルフの環境面においては、右打ちのほうが優遇されているのは間違いありません。また、スイング面でも、左利きの右打ち転向には、ショットの方向性や安定性、飛距離の点でメリットがあると考えられています。
以上のことから、左利きでゴルフを始めようとしている人や、左利きで右打ちに転向しようと考えている人は、まずは一度、右打ちにトライしてみることをおすすめします。右打ちを試してみて、どうしてもうまくいかない場合は左打ちに戻しましょう。