モックネックシャツ、ゴルフ場に着ていってもマナー違反にならないんだっけ?
ゴルフウェア売り場でも普通に目にするモックネックシャツ。時代に合わせてゴルフ場のドレスコードはゆるくなってきており、ポロシャツの牙城を崩したモックネックシャツはその象徴のひとつともいえるでしょう。しかし、モックネックシャツは襟の高さが決められているとか、モックネックはTシャツと同じ分類であるとかいった、さまざまな噂も耳にします。そこで、モックネックシャツを正々堂々と、カッコよく着こなすために、その詳細を解説します。
配信日時:2024年5月28日 07時03分
ゴルフウェア売り場でも普通に目にするモックネックシャツ。時代に合わせてゴルフ場のドレスコードはゆるくなってきており、ポロシャツの牙城を崩したモックネックシャツはその象徴のひとつともいえるでしょう。しかし、モックネックシャツは襟の高さが決められているとか、モックネックはTシャツと同じ分類であるとかいった、さまざまな噂も耳にします。そこで、モックネックシャツを正々堂々と、カッコよく着こなすために、その詳細を解説します。
1.モックネックシャツとは
モックネックシャツの「モック」とは英語のmockで、「本物をマネた、見せかけの、偽の」という意味です。では一体何をマネているのかというと、タートルネック。タートルネックは、ネックラインが長く立ち上がった襟のことで、タートル(亀)の首を想起させることからタートルネックと名付けられました。
確かに、モックネックシャツは筒状の短い襟が立ち上がっているので、タートルネックに見えなくもありません。そのため、モックネックの正式名称は「モック・タートルネック」といいます。ちょっと面白い名称ですね。
タートルネックは通常、襟を折り返して着用しますが(折り返すのではなく、襟をクシュクシュっとさせ着方もあります)、モックネックは襟を立てたまま着ます。というか、襟が短いので折り返すことはできません。これが、タートルネックとの大きな違いです。
ハイネックというのもあります。ハイネックはタートルネックと同様、ネックラインが立ち上がっているものの襟は折り返すほど長くはなく、これも立てたまま着用します。
では、モックネックとハイネックはどう違うのかというと、実は明確な線引きがされていません。ただ、一般的には襟の高さが長めのものをハイネック、襟が短めで首周りがスッキリしたデザインのものをモックネックとしているケースが多いようです。
さらに、スタンドカラーという言い方もあります。これも短い襟が立ち上がったデザインのものですが、ジャージといったニット素材ではなく、綿などの織物の生地で作られたシャツやブラウスに対して使うことが一般的です。
2.モックネックシャツが定着した理由
コースデビューに臨む初心者はゴルフ場のドレスコードについて、上司や先輩から「上はポロシャツなら間違いないから!」と口酸っぱく教え込まれたと思います。ゴルファーにとってポロシャツは、いわば制服、戦闘服ともいえる存在なのです。
そんなポロシャツが席巻するゴルフシーンにおいて、なぜ新参者のモックネックシャツは市民権を得たのでしょうか。
それは、タイガー・ウッズが着用していたからだといわれています。
1997年、当時21歳だったタイガーはマスターズで優勝し、初のメジャータイトルを獲得。その際に着ていたのが、真っ赤な長袖のモックネックシャツです。その上に、ニック・ファルドから渡されたグリーンジャケットを羽織りました。この印象的なシーンを覚えている人は多いことでしょう。
以降、タイガーの圧倒的な強さとともに、ゴルフウェアとしてのモックネックシャツが問答無用認知されていったのです。
モックネックシャツは、ゴルフ向けにどんどん進化を遂げていきました。長時間のプレーを快適にサポートする高機能素材の採用、スイングを邪魔しないストレッチ性の追求、首周りの窮屈感は解消しつつ、だらしなく見えないデザインなどが支持され、今ではポロシャツに次ぐゴルファーのための第二のトップスとして広まっています。
なにより、モックネックシャツはスポーティなイメージを与えるので、ポロシャツよりも肩肘張らないコーディネートや着心地を楽しむことができます。また、ポロシャツより手入れが楽な素材を採用したものが多く、折りジワが気になりにくい点もポイントです。
3.「モックネックは襟なのか否か」問題
ゴルフブランドから多彩なデザインのものが発売されており、しかもプロゴルファーもトーナメントで着用しているモックネックシャツですが、ゴルフ場に着ていく際はちょっと注意が必要です。
一般的なゴルフ場におけるプレー時のドレスコードは、「襟付きのシャツ、スラックス、または短すぎないスカート、ゴルフシューズ」です。モックネックシャツには立ち上がった襟が付いているので“アリ”とするゴルフ場が多いのですが、一方で、特に名門といわれるゴルフ倶楽部は、「モックネックは襟付きではない」「Tシャツに見える」ため不可とみなしているところも少なくないからです。
関東七倶楽部のうち3個所の、プレー時のドレスコードを例に挙げましょう(以下「 」内は公式HPより抜粋)。
小金井カントリー倶楽部(東京)
「襟付きのシャツ(タートルネック、ハイネックは可)の着用をお願いします。但し、襟に折り返しが無く襟高が十分に無いシャツ(モックネックシャツ等)、または、それに類似するシャツの着用は不可とします」
我孫子ゴルフ倶楽部(千葉)
「男性は折り返しの襟付きシャツ、又はタートルネックのものを着用ください。Tシャツ、ハイネック、スタンドカラーは着用できません。
女性も折り返し付きのシャツを勧めますが、ハイネック、スタンドカラーも可とします。ただし、ネックの高さが十分あるものを着用ください」
霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉)
「折り返しのある襟付き袖付きのシャツ(女性のノースリーブは可)、または、タートルネックを着用願います。
Tシャツ・トレーナー・ハイネック(襟部分が4cm以下のもの)・スタンドカラー、並びに女性のタンクトップ・キャミソール等の着用はお断りいたします」
つまり3箇所とも、折り返せる襟付きシャツはタートルネックも含めてOK。
ハイネックは、小金井CCはOK、霞が関CCは襟の高さが4cm以上であればOK。
モックネックに関しては、小金井CCと我孫子GCはNG。霞ヶ関CCはモックネックについて言及はないものの、スタンドカラー=モックネックが同義と思われるため、要はNG。
ゴルフ場、特に超名門ゴルフ倶楽部に行く際には、恥ずかしい思いをしないよう、予めドレスコードをしっかり確認しておきましょう。襟の高さをふまえてモックネックシャツがOKか否か自信がない場合は、初めからそのチョイスをやめるほうが賢明です。「どうしてもモックネックシャツを着ていきたい!」という場合は、電話で問い合わせをしてみてください。
4.モックネックシャツ着用時のマナー
ゴルフウェアの定番となったモックネックシャツ。しかし、前項でお伝えしたように、NG派がいることを忘れてはいけません。
時流に合わせてゴルフ場のドレスコードがゆるくなり、より自由なファッションが楽しめるようになってきています。とはいえ、カジュアルに回れるゴルフ場やリゾートコースと、格式高いゴルフ場をいっしょくたに考えてはいけません。それぞれ異なるドレスコードやルールが実施されていることは、わきまえておくべきです。
もっとカジュアルにゴルフを楽しみたい人もいれば、より格式ある雰囲気の中でゴルフを楽しみたい人もいます。多様なゴルフ場が存在するからこそ、ゴルフ場巡りがより楽しいものとなるのです。そのためにも、ゴルフ場ごとのルールを尊重しましょう。棲み分けを大事にすることが、結果としてゴルファーの利益につながります。
同伴プレーヤーに対しても配慮が必要です。いつものゴルフ仲間ならノープロブレムでも、目上の人や初めて顔を合わせる人とのラウンドでは、モックネックシャツではなく定番のポロシャツを着ていったほうが、お互いにウィンウィンかもしれません。
半袖ポロの下にピッタリとしたモックネックのインナーを着用するコーディネートも、ゴルフシーンに馴染みました。ポロシャツの襟からモックネックがのぞくレイヤードスタイルは、アスリート感があって動きやすいのに夏は紫外線対策に、冬は寒さ対策になるとあって人気です。
しかし、この着方は「アンダーウエアを見せているのと同じ」だとNGにしているゴルフ場もあるので、こちらも注意してください。
5.モックネックシャツの選び方
ゴルフウェアのモックネックシャツを購入する際は、念のため、襟の高さをチェックしましょう。前出の霞が関CCが「襟部分が4cm以下のもの」はNGだと明言しているように、襟が短いものは避けるのが得策かもしれません。そのほうが堂々と着用できる機会が増えるため、ズバリお得といえます。
襟の高さが3cm以下だとカジュアル感が出ますが、禁断の“Tシャツ見え”に陥ることもあり、ハイリスクです。
シャツの裾はボトムスに入れて着用することがゴルファーの主たるドレスコードとされているので、丈が短すぎるものも要注意です。スイングのたびに裾がボトムスから出ては本人も気が散りますし、同伴者にとってもいただけない光景です。
素材は、ストレッチ性はもちろん、特にこれからの季節は吸汗速乾性やUVカット機能が備わった素材のものを選ぶと、快適に着用することができます。
モックネックシャツの多くは洗って乾かすだけでシワにならず、たたんでバッグに入れても問題ないので、お取り扱いが楽チン。必然的に、出番が増えるはずです。
ゴルフブランドが販売しているからといってデザインだけで選ぶと、高い買い物になることがあります。特に、ネットショッピングではサイズ感がわかりにくいので、ちゃんと襟の高さや着丈をチェックしましょう。
6.まとめ
モックネックシャツは堅苦しさがなく、スポーティーで新鮮なコーディネートができるアイテム。ゴルフブランドから多彩なデザインのものが販売されているので、選ぶ楽しさもあります。
しかし、ゴルフシーンにおいてモックネックシャツは、TPOを選ぶアイテムであるのも事実。カッコいいと思って着たのに、逆にゴルフ場や同伴者に不快感を与えるのでは本末転倒。ドレスコードやマナーを守り、モックネックシャツでステキな着こなしを楽しみましょう。