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    ゴルフの救済ルール、間違って理解してませんか? 救済処置のポイントまとめ【2024年版】

    「カート道にボールが止まったけど、どうすれば……」「完全な救済のニヤレストポイントって?」あるがままにプレーできない困った場面で、自信を持って処置できますか? ゴルフ規則は2019年の大改訂を経て、2023年にも改訂されました。以前のやり方で処置をすると、せっかくの救済で罰を受けてしまう可能性もあります。そこでこの記事では、救済に関する最新の主なルールをまとめています。ぜひ参考にしてください。

    所属 ALBA Net編集部
    ALBA Net編集部 / ALBA Net

    配信日時:2024年6月28日 02時58分

    • ゴルフライフ
    • ルール&マナー
    目次 / index
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    1.ゴルフの救済とは「そのままではプレーが続行できない、あるいは難しいシチュエーションでボールを動かせるルール」のこと

    ゴルフ規則に記されている通り、ゴルフにおいては「コースはあるがままにプレーし、球はあるがままにプレーする。」という大前提があります。その上で、プレーが続行できない、あるいは難しいシチュエーションでは救済を受けられます。ただし、罰が科されるかどうかや、打ち直しの場所などにさまざまな処置があるため、判断は慎重に行う必要があります。

    ゴルフ規則は4年に一度改訂される

    2019年、67年ぶりともいわれる大改訂があったゴルフ規則。それまでも4年に一度改訂するサイクルがありましたが、2020年の予定を前倒ししての実施でした。

    そもそもルールを変更する目的は、“ゴルフがより分かりやすく、より身近なものになるため”。つまり、ゴルフのさらなる普及のためです。2019年の改訂では、プレー時間の短縮も主眼におかれました。例えば「ボールの捜索時間は3分」「グリーン上、プレーヤーは旗竿をホールに立てたままストロークを行うことができる」などのルール変更は、スロープレーを防ぐ効果を見込んだものです。

    新ルール施行後は常にそれに沿って判断する必要があります。特にルール改訂直後などはプロでも間違いやすいため、注意深くアップデートする必要があるでしょう。

    2.初心者も覚えておくべき新ルールの救済重要ポイント3つ【2023年改訂】

    2023年は4年に一度の改訂のサイクルにあたり、全16ルールが改訂されました。救済に関わる以下3つのポイントを、確認しながらおさらいしましょう。

    【1】救済後、自然の力が動かしたボールが他のコースエリアやOB(Out of Bounds、プレーできる領域の境界外の意味)に転がった場合リプレース
    【2】後方線上の救済エリアの範囲が「どの方向にも1クラブレングス以内」に
    【3】地面にくい込んだボールの救済の基点がジェネラルエリアに制限

    2023年のゴルフ規則の変更点を全て網羅し、上記3つのポイントについても詳しく解説した「2023年に改正された16のゴルフルールを完全網羅! 各ルールの変更点を徹底解説」も、ぜひ参考にしてください。

    【1】救済後、自然の力が動かしたボールが他のコースエリアやOBに転がった場合リプレース

    救済のドロップ、プレース、リプレース後に止まったボールが風や傾斜などの「自然の力」によって動かされ、他のコースエリアやOBに止まった場合、リプレースすることが義務になりました。

    そのような場合、以前はあるがままのプレーが求められましたが、今回の改訂によって無罰で元の位置にリプレースしなければならなくなりました。

    【2】後方線上の救済エリアの範囲が「どの方向にも1クラブレングス以内」に

    2022年までは後方線上の基点よりホールに近づかない1クラブレングスが救済エリアで、そのエリア内にドロップできましたが、2023年からは後方線上にドロップしなければならず、そのドロップ地点を基点に「基点からどの方向にも1クラブレングス以内」が救済エリアで、そのエリアにボールがとどまれば救済終了となりました。

    なお、基点に関しては特に注意が必要です。

    例えば池にボールが落ちて後方線上の救済エリアを選択した場合、まずバツ印の地点とホールを結んだ線を基準線とし、“その線上に”ボールをドロップしなければなりません。ドロップしたボールが最初に地面に触れたポイントが基点です。(規則19.2b)

    以前は「後方線上の任意の地点を基点に、ホールに近づかない1クラブレングスの救済エリアにドロップ」でしたが、2023年のルール変更により、後方線上からずれてドロップすれば違反になります。2024年2月の「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」にて、ローリー・マキロイが2打罰となった処置のミスを記憶している人もいるかもしれません。

    このルールについては、USGAルールチームメンバーが動画(インスタグラムへの外部リンク)を使って紹介しています。非常にシンプルで分かりやすくまとまっているので、「ルールの言葉が難しくてなかなか頭に入らない」「以前のルールとごっちゃになってしまう」といった方は、一度参考にしてみるとよいでしょう。

    後方線上の救済については「【2023年ゴルフルール改正】後方線上の救済エリアが『どの方向にも1クラブレングス』に広がった」でも詳しく解説しています。

    【3】地面にくい込んだボールの救済の基点がジェネラルエリアに制限

    2023年の改正後は、地面にくい込んだボールの救済の基点がジェネラルエリアに制限されました。ジェネラルエリアとは、ティーイングエリア、ペナルティーエリア、バンカー、パッティンググリーン以外の全ての場所を指します。

    地面にボールがくい込んだときの処置は「【2023年ゴルフルール改正】地面にくい込んだ球の救済 基点がジェネラルエリアに制限された」で詳しく解説しています。

    3.罰なしの救済の条件は3つ

    合理的に、そのままではプレーに障害が発生したとき、プレーヤーは救済を受けることができますが、その障害の種類によって、救済の処置は変わります。その見極めと対処が難しく、多くのゴルファーが頭を悩ませるポイントになっています。

    以下の障害からは無罰で救済が受けられると明確になっていますので、まずはこの3点を覚えましょう。

    【1】ルースインペディメント(規則15.1)
    【2】動かせる障害物(規則15.2)
    【3】異常なコース状態である動物の穴、修理地、動かせない障害物、一時的な水(規則16.1)

    【罰なしの救済1】ルースインペディメント

    ルースインペディメントとは、“loose(ばらけた) Impediments(障害物)”という意味で、「簡単に動かせる自然物」というようなイメージで考えるといいでしょう。以下のようなものが該当します。

    ■木の枝や落ち葉、ちぎれた草
    ■石
    ■生きている昆虫やその残骸、クモの巣
    ■圧縮された土の塊(エアレーションプラグを含む) など

    例えばバンカーに小枝や木の葉が落ちていた場合、2019年のルール改訂から、無罰で取りのぞけるようになりました。

    ただし、以下のようなものは、自然物であってもルースインペディメントとはみなされません。

    ×砂やバラバラの土
    ×直接地面に根を張っている木々
    ×地面に固くくい込みその場所に固定されている岩
    ×ボールに貼りついているもの、例えばちぎれた芝など
    ×露、霜、水

    ちなみに、砂やバラバラの土はルースインペディメントとして扱われませんが、例外としてグリーン上では取り除いてもOKなので覚えておきましょう。また、グリーン以外の場所では、ボールのリプレース前に、プレーに影響を与えそうなルースインペディメントを取り除くと1打罰となります。ボールが動いているときも同様で、結果によらず罰の対象となるので注意が必要です。(ただし、ドロップの場合は、その前にルースインペディメントを取り除くことは認められています)

    なお、パッティンググリーンやティーイングエリア以外でルースインペディメントを取り除いたとき、それが原因でボールが動いた場合は1打罰で、ボールは元の場所にリプレースしなければなりません。

    動かせるなら岩でも動かしてOK!?

    「簡単に動かせる」と前述しましたが、もし「短時間で動かせる」なら人の手を借りて巨石を動かしてもルール上の問題はありません。タイガー・ウッズは1999年の「フェニックス・オープン」で、プレーの障害になる大きな岩を“地面に埋まっていない”として大勢のギャラリーに動かしてもらいました。

    最新のルールにもこう規定されています。

    「コース上やコース外のどこででもプレーヤーは罰なしにルースインペディメントを取り除くことができ、その方法は問わない(例えば、手、足、クラブ、その他の用具を使用する、他の人からの援助を受ける、ルースインペディメントの一部を折って取り除く)。」(規則15.1a)

    ギャラリーがたくさんいたタイガーならではの処置かもしれません。

    その後も、ギャラリーの手を借りて大きなルースインペディメントを除去するプロの姿を時おり目にします。ただし、アマチュアゴルファーの場合はケガの可能性もあるので無理はせず、ほかの安全な処置をとるのが無難でしょう。

    【罰なしの救済2】動かせる障害物

    動かせる障害物の定義は、「合理的な努力でその障害物やコースを損傷させずに動かすことができる障害物」です。「(OBの境界縁を定める)境界物を除く簡単に動かせる人工物」というイメージでよいでしょう。例えば以下のようなものです。

    ■カート道を示す看板
    ■赤杭、黄杭、ヤード杭
    ■バンカーレーキ
    ■ゴルフカート
    ■ゴミ箱、空き缶 など

    境界物、つまりOBの境界縁を定める人工物には以下のようなものがありますが、障害物として扱われないため除去できません。

    ×壁、フェンス、杭、レーリング

    このうち、白杭は一見簡単に動かせそうなので誤って抜くことのないように。ほかの杭は邪魔になれば抜いたり、動かしてショットできますが(もちろん、プレー後は必ず元の位置、状態に戻すこと)、境界物である白杭で同じようにすると2打罰です。誤って抜いてしまってもショット前に元に戻せば無罰ですが、「白い杭だけは抜いたり、動かしてはいけない」と覚えておきましょう。

    また障害物に関しては、ローカルルールによって、本来「動かせる障害物」を「動かせない障害物」に設定できます。

    【罰なしの救済3】異常なコース状態

    異常なコース状態とは、以下のように定義されています。

    ■動物の穴
    ■修理地
    ■動かせない障害物
    ■一時的な水

    ボールがOBやペナルティーエリア以外のコース上にあるとき、これらの「異常なコース状態」がプレーの障害になるとき、プレーヤーは救済を受けることができます。このうち、動かせない障害物は「不合理な努力なしには、またはその障害物やコースを壊さずには動かすことができない」ものと定義されており、具体的には以下が該当します。

    ■金網や防護ネット
    ■人工的な表面を持つ道路(カート道など)
    ■建物、避難小屋
    ■スプリンクラーヘッド、排水溝 など

    OBやペナルティーエリア以外のコース上にある金網や防護ネットは「動かせない障害物」ですが、OBの「境界物」の金網は障害物ではないため該当しません。

    障害物についての考え方や金網まわりの救済について、詳しくは「金網が邪魔でスイングできないときの救済方法とは? 『障害物』の基本的な考え方も紹介」も参考にしてください。

    4.「こんなときどうする?」よくあるシチュエーションでの救済処置

    ここでは、よくあるシチュエーションでの救済の受け方や処置の仕方を確認しましょう。基本的な考え方を覚えておくと、類似のケースでの判断もつきやすくなります。

    まずは「完全な救済のニヤレストポイント」を知ろう

    救済のルールによく出てくる「完全な救済のニヤレストポイント」は、「救済を受けようとするストロークへの障害がなくなる、ボールの元の位置に最も近い地点」というような意味です。

    正確には、以下の条件を全て満たす必要があります。

    ■ボールの元の位置に最も近く、ホールに近づかない
    ■要求されるコースエリア内
    ■そのストロークに対して救済を受けようとしている障害がなくなる所

    つまり、「問題となっている障害がなくなり、行うはずだったスタンスやスイングができる、ボールの元の位置に最も近く、ホールに近づかない地点」と考えられます。

    【1】カート道にボールが止まった:無罰

    カート道にボールが止まった場合、「動かせない障害物」による障害です。無罰で救済を受けられます。処置の方法は、「完全な救済のニヤレストポイント」を決め、そこを基点にホールに近づかない1クラブレングスの「救済エリア」にドロップ。

    スタンスがカート道にかかっていたり、意図したスイングの障害になったりする場合も同様の処置でOKです。

    カート道に止まったボールは救済を受けられる! 正しい救済方法とポイントを解説」で詳しく解説しています。

    【2】排水溝のフタにボールが乗った:無罰

    排水溝のフタにボールが乗った場合、「動かせない障害物」による障害です。無罰で救済を受けられます。「完全な救済のニヤレストポイント」を決め、そこを基点にホールに近づかない1クラブレングスの「救済エリア」にドロップしてプレーを再開しましょう。

    フタの周囲に広く水がたまっていれば、場合によっては「1:一時的な水」からと「2:動かせない障害物」からの2段階の救済が必要になる可能性があります。これは、「救済は各状態から別々に受けなければならない」という定義によるものです。(*1)

    バンカーの水溜まりにボールが入った場合は、「雨中のゴルフでバンカー内の水溜まりにボールが入った」が参考になります。

    【3】マンホールのフタの上にボールが乗った:無罰

    マンホールのフタの上にボールが乗った場合、「動かせない障害物」による障害です。無罰の救済を受けられます。「完全な救済のニヤレストポイント」を決め、そこを基点にホールに近づかない1クラブレングスの「救済エリア」にドロップしてプレー再開です。スタンスやスイングの障害になる場合も同様の処置を受けられます。

    詳しくは「マンホール上にボールがあったときは無罰で救済を受けられる! 正しい救済方法を解説」で解説しています。

    【4】木の根のそばにボールがある:アンプレヤブルで1打罰

    木の根のそばにボールがある場合、地面から生えている植物は「ルースインペディメント」に該当しないため、あるがままのプレーが求められます。切り株も、「修理地」に指定されていなければ、土に根を張っている限りは同様の判断です。どうしても打ちにくい場合などは、アンプレヤブルの1打罰で救済を受けましょう。

    切り株や木の根の近くにボールがあるとき救済を受けられる? 対処法と同伴者への声のかけ方を紹介」では、同伴者への声のかけ方まで提案していますので、参考にしてください。

    ボールについた泥、拭いてもいい?

    あるがままにプレーするのがゴルフの基本。ボールの泥を拭くことは、基本的に認められていません。

    ただし、例外が4つだけあります。

    【1】グリーン上
    【2】落下の勢いでボールが地面に埋まったとき
    【3】泥で自分のボールかどうか確認できないとき
    【4】ローカルルールによりプリファードライやリフトアンドクリーンが認められている場合

    ボールが汚れたからといっていつでも拾い上げて拭くことはできませんが、「救済のために拾い上げた球は、常に拭くことができる」(規則14.1c)とあるため、救済を受ける際には拭いても構いません。

    自分のボールであるか判別できないときは、マークした上で拾い上げましょう。この場合は、球の確認に必要な範囲だけを拭くようにします。また、その際には、マナー上、同伴者に「ボールの確認にために拾い上げます」とひと言断ったほうが良いでしょう。

    なお、同伴者のショットで自分の止まっているボールが汚れた場合は、元の状態に戻すために拭くことができます。

    つまり、自分のプレーにより汚れたボールは、上の4つの例外と救済でしか拭けないことを覚えておきましょう。

    5.まとめ

    救済の全てのパターンを覚えておくことや前もって調べておくことは、現実的ではありません。とはいえ、よくあるケースや基本だけでも覚えておくことで、実際のラウンドでより“お得な選択肢”を選べる場面もあるでしょう。日本語の利用もできるR&A提供のアプリも手軽で便利です。一度試してみてはいかがでしょうか。

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