ゴルフのOB、数え方をスッキリ解決! 新ルールや1ペナとの違いも解説【2024年版】
ゴルフにOBは不可欠のルール。ところがいざOBになっても、数え方や打ち直し場所をシンプルに判断できなくなっていませんか? また、よく聞かれる「OBは1打罰」「OBは2打罰」は、実際どちらが正しいのでしょう? この記事ではゴルフ規則のオフィシャルガイドに則して、混乱しやすいOBの基礎や処置、よく似ている1ペナとの違いまで解説します。
配信日時:2024年3月15日 00時24分
1.ゴルフでよく聞く「OB」とは
ゴルフの規則は多岐にわたっており、その内容をすべて覚えておくことはなかなか難しいでしょう。そんな中でも「OB」は、必ず覚えておきたいルールの一つ。定義やカウント方法など、まずは基本を確認してみましょう。
OBとは「プレーできる領域の境界外」のこと
OBとは「プレーできる領域の境界外」を意味する英語「Out of Bounds」の頭文字です。つまり「プレーエリア外」ということなので、OBに打ち込んだボールをそのまま続けて打つことはできません。OBの処置は必ず打ち直しです。
OBは、一般的には「コース外」で、境界の奥はネットが張られたり、山や崖、林になっています。また、コース内でもクラブハウスや茶店、ドライビングレンジの周辺、あるいは地形的に危険な場所などをOBに指定しているゴルフ場もあります。
OBの境界は白杭で示される
OBの境界は、白杭や白線で見分けられます。白い杭はOB杭ともいい、これを越えると「OB」です。例えば林の中に打ち込んだとき、スイングできてボールを打てそうでも、そこが白杭や白線の外ならOBになります。
ボール全体が境界縁より外にある場合がOBで、境界縁(白杭・白線そのものはOB内にあり、それぞれの境界縁は、白杭の場合は隣り合う杭のコース側を結ぶ線。白線の場合は、線のコース側の縁になる)にわずかでも接したボールはOBではありません。「止まっている球全体がコースの境界縁の外にある場合にのみ、その球はアウトオブバウンズとなる。」(規則18.2a)と規定されています。
ちなみに、コース内の杭として、一般的には以下の4種類が存在します。
・白杭:OBエリア
・黄杭:イエローペナルティエリア(旧ウォーターハザード)
・赤杭:レッドペナルティエリア(旧ラテラルウォーターハザード)
・青杭:修理地
白杭を抜いたらペナルティ?
ボールが白杭の近くに止まったとき、杭を抜いてショットしてはいけません。抜いてショットしてしまうと、2打罰となります(規則8.1a)。ただし、抜いてしまったとしても、ショットする前に元あった位置に戻せば罰はありません(規則8.1c)。抜いたからと焦らず、元の場所にきちんと戻してからショットしましょう。ちなみに、白杭以外の3つの杭、距離を示すための杭(「動かせない障害物」に指定されている場合を除く)については、邪魔であれば抜いてショットして問題ありません。
2.OBの正しい数え方
OBが出た場合の数え方として、「最後に2打足す」または「OBは2打の罰」と覚えている方が一定数いるかもしれません。しかし、その考え方で数えると、カウントを間違ってしまう場合もあります。正式な数え方を覚え、混乱しないようにしましょう。
OBの数え方は基本的に「OBの度に+1」が正解
ゴルフ規則には「球が紛失、またはアウトオブバウンズとなった場合、プレーヤーは、1打の罰を加え、直前のストロークを行った所から元の球か別の球をプレーすることによってストロークと距離の救済を受けなければならない」(規則18.2b)と記載されています。つまり、公式ルールでは「OBは1打の罰で打ち直し」なので、数え方の基本としては「OBの度に+1」が正確な数え方です。
「最後に2打足す」「OBは2打の罰」と勘違いされる理由とは?
OBは1打の罰か2打の罰か、ある程度ゴルフに慣れてきても混乱しているプレーヤーは多くいます。その原因は、ローカルルールが加わった際、「打ち直す場所によって罰打の数が変わる」ことにあるようです。以下の表は、OBになったショットの処置と数え方の一覧です。
OBになったショット | ルール | 打つ場所 | 次のショット | 罰打数 |
---|---|---|---|---|
1打目 | 公式 | ティイングエリア | 3打目 | +1 |
ローカル | 特設ティー | 4打目 | +2 | |
ローカル | OB付近 | 4打目 | +2 | |
2打目 | 公式 | その場でドロップ | 4打目 | +1 |
ローカル | OB付近 | 5打目 | +2 | |
3打目 | 公式 | その場でドロップ | 5打目 | +1 |
ローカル | OB付近 | 6打目 | +2 |
ローカルルールを含めて、「OBは打ち直しで1打の罰、前進するなら2打の罰」と覚えておけば頭に入りやすく、シンプルに計算できるでしょう。より複雑な1打目のOBについて、3つのパターンを以下で簡潔に解説します。
【パターン1:公式ルール】1打の罰でティイングエリアから打つ
1打目がOBになったら、1打の罰を加算して、ティイングエリアから3打目として打ち直します。「1打目+1打の罰+打ち直し」なので、打ち直すときは3打目です。これが公式競技でも使われる数え方で、OBの基本の処置です。
【パターン2:ローカルルール】プレーイング4で特設ティーから打つ
ゴルフ場によっては、2打の罰を加算して、前方の特設ティーから4打目として打つこともできます。「特設ティー」とは何度も打ち込みやすい深い谷や大きな池を越えた前方に設置されたティーのことで、ここから打つことを「プレーイング4」といいます。「前進4打」「プレ4(フォー)」「前4(マエヨン)」とも呼ばれます。「1打目+2打の罰+打ち直し」で、打ち直すときは4打目です。
プレーイング4はローカルルールなので、これを適用するかどうか、コンペ前などに確認しておくとよいでしょう。スロープレーを防ぐ目的がありましたが、【パターン3】で紹介する新ルールが実質的に同じような意味合いになったため、廃止されている場合もあります。
【パターン3:ローカルルール】2打の罰でOB付近から打つ
2019年からの新しいローカルルールでは、2打の罰を加算してOB付近から打つことができるようになりました。「1打目+2打の罰+打ち直し」で、打ち直しは4打目です。
この場合の打ち直しは、OBの境界縁を最後に横切ったと推定される地点から最も近く、その地点よりホールに近づかないフェアウェイの基点を決定。基本的に、その基点から2クラブレングスの幅で後方に延ばした範囲内のフェアウェイにドロップすることができます。
OBで暫定球を打つ場合
1打目がOBになる可能性があるとわかった場合、宣言して暫定球を打ちます。暫定球とは言葉通り「仮に打っておくボール」という意味で、スロープレーを防ぐ目的があります。
暫定球を打ったあと、先に打ったボールがセーフなら無罰でプレーを続行できるので、次に打つのは元のボールで2打目です。OBになっていた場合は「1打目+1打の罰+打ち直し」なので、次に打つのは4打目です。1つ目の暫定球もOBになり2つ目の暫定球がセーフなら「1打目+1打の罰+打ち直し1+1打の罰+打ち直し2」で次は6打目として打ちます。
連続でOBしても、「OBの度に+1」とシンプルにカウントすれば間違いはありません。
3.OBと「1ペナ」は打ち直しの場所が違う
基本的には1打の罰で救済されるOBですが、いわゆる「1ペナ」も1打の罰です。この2つの一番の違いは、打ち直しの場所にあります。
「1ペナ」は赤杭や黄杭のエリアにボールが入った場合のルール
「1ペナ」は、打ったボールがコースの赤杭や黄杭を越えた場合に適用されるルールです。OBの場合は基本的に1打の罰の上で元の場所から打ち直しとなりますが、ペナルティエリアに入った場合は、ボールが問題なく打てそうなら無罰でそのまま打てます(規則17.1b)。打てずに救済を受ける場合に「1ペナ」となり、1打の罰を受けて元の場所かペナルティエリア付近から打ち直します。
1ペナで打ち直す場所
黄杭に入った場合の打ち直しは「元の場所」か「後方線上」と定められています。赤杭の場合は2つに加えて、「ラテラル救済」も選べます。
3つの救済方法については、「【2023年ゴルフルール改正】後方線上の救済エリアが「どの方向にも1クラブレングス」に広がった」にて解説していますので、ぜひご覧ください。
1ペナのほうがOBより実質的には“得”な場合も
1ペナは前進してから1打の罰なので、前進すると2打の罰になるOBよりも、“得”になるケースもあります。
例えば、右がOB、左がペナルティエリアとなっている350ヤードのパー4で、それぞれの200ヤード地点にボールが入ったとしましょう。このとき、OBであれば、暫定球を打っても、プレイング4を使っても次は4打目となり、よくてもボギーという状況。一方で、ペナルティエリアに入っていれば、次は3打目として打てるため、パーで上がれる可能性が十分に残っています。こういった場合に、OBよりも1ペナのほうが“得”だと感じられるでしょう。
4.まとめ
OBの数え方は基本的に「OBの度に+1」と覚えておき、ラウンドの前にはローカルルールが適用されるかどうかを確認しましょう。
ルールをいきなり覚えるのは大変です。分からないことがあるときは積極的に同伴者に質問するといいでしょう。ただし、人によってはうろ覚えだったり、間違って覚えていたりということもあります。JGAの公式サイトで最新版のゴルフ規則が公開されていますので、そちらを確認すると間違いないでしょう。