おやじゴルフニュース「ゴルフで出会う人々の悲喜こもごもについて」
ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。
配信日時:2023年9月19日 02時00分
長年ゴルフをやっていると、さまざまな出会いがあります。先日もホームコースにひとりで行って、メンバーさん3人と新たに出会い、楽しいラウンドをさせて頂きました。今回はゴルフで出会う人々の悲喜こもごも、そして出会いを演出する仕切り役や幹事さんの思惑も含めて考察します。
1) ゴルフコンペの出会い よかった編
コンペの組み合わせで楽しかったのは、さる若い女性と組んだときでした。スタイルがよくて社交的、さらに腕前も素晴らしい。白ティから打ち、ドライバーの飛距離が男性と劣らずで「すごい飛びますね」なんて言ってたら、上がってみるとハーフ30台だったりして。実はトップクラスのアマチュアでした。
自分と変わらぬ飛距離なのに、この差はなんだろうか? いい勉強をさせてもらいました。ほか仕事に繋がる方とか、面白い方、共通の友達が多い方、コンペ後にそのまま一緒に飲みに行ってしまうノリのよい方などは、素敵な出会いとなっています。
恐らく幹事さんが、気を使ってくれたのでしょう。一方、逆なこともあります。
2)ゴルフコンペの出会い ひどかった編
ゴルフコンペの組み合わせで、ひどかった思い出はそこそこあります。10年以上前ですか。知り合いの方が亡くなった、偲ぶ会的なコンペでの出来事でした。通常は故人を偲んで、同伴メンバーといろいろ思い出を語るじゃないですか。
それが形だけの挨拶の後、無言でしかも子分を連れて、そっちで世界を築いてシカトしているのです。しかも相手は年下じゃん。そっちがそうなら、こっちも話かけづらいです。淡々とラウンドが進行しました。
その人たちはトップアマを目指しているらしく、故人を偲ぶよりラウンドに夢中です。けどあるホールで叩いて、こっちがパーでオナーになってしまいました。ところがその人たちは、こっちを見下しているから先に打とうとする。そこで「オナーなんだけど」と言ったら、さすがにマズいと思ったのかバツが悪そうに「すいません、どうぞ」と謝って来ました。
しゃべったのは最初の挨拶とそれだけ。そもそもこの組み合わせにした幹事は、どういうつもりだったんですかね。普通は幹事がスタート前に「こういう関係の人なんで、よろしく」と仲を取り持ってくれるんだけど、それもなし。偲ぶ会で揉めるのも嫌なので、穏便にやり過ごしました。いろいろ考えさせられる集まりでした。
あと悪気はないんだけど、ものすごい初心者が混じっているコンペもあります。無視するわけにもいかず、いろいろ面倒を見ながらラウンドをしました。そうなるとなかなか自分のゴルフは出来ません。当然スコアは悪くなります。こういうときも、幹事がひとこと「初心者だから面倒見てやってください」と言ってくれれば、最初からその覚悟でラウンドをするでしょう。
それが前触れなく、目の前で空振りを続けられると、ちょっとしんどいなあ。80台を狙った意気込みがしぼみますからね。
3)幹事側の配慮とは?
コンペの組み合わせで文句を言ってもしょうがない、1回幹事の身になってみろということです。過去に何度か幹事の手伝いをやって、そういう状況になったことがあります。
よかれと思ってうまい人と組ませると「周りがうまくて、とんだ恥をかいた」と言ってきた人もいます。下手な人と組ませれば「オレをナメてんのか」になるし。同じレベルの人と組ませれば「その他大勢扱いしている」と言うし、困ったものです。
相性が合わないときは、どう組んでもダメ。淡々と組み合わせ作業を遂行するしかないです。そしてNGの組み合わせを覚えておいて、次に繋げればよいと思います。組み合わせで困っているときに「幹事大変ですね。どこでもいいです。僕を埋め合わせ要員としてお使いください。どんな人でも合わせます」と言ってくれる人がいました。なかなか言えない言葉です。あ~いう人になりたいですね。
4)メンバーコースでひとり
倶楽部のメンバーさんは、すでに人間が出来ていますから、ほとんど問題は起きません。朝の挨拶は帽子を取って、頭を下げて挨拶してきます。腕前もそこそこだし、ルールもマナーも把握してます。
こういう場合、ちょっと甘い距離のパットを「オーケー」っていうと「いやいや、この距離はオーケーじゃないです」と言って、しっかりカップインします。だから余計なサービストークをしてはいけないのです。失礼にあたりますから。
今は還暦を過ぎているので、年下の人と多く出会いますが、40代ぐらいの頃は、自分が若造なので周りはみんな先輩ばかり、気を遣うことが結構ありました。
カートの運転を率先してやったり、年配の方の打ったボールの落下先を確認し、ボールの方向がそれれば、ボール探しを丁寧にやったり、後輩としてやるべきことを果たしました。たまに上から目線の人もいましたが、そういう人は顔を立てておけばいいのです。
5)ひとり予約
ときどき、ひとり予約を使うことがあります。これはアマチュアゴルファーの人種のるつぼ的集まりで、非常に面白いです。もちろんひとりゴルフですから、最低限の社交マナーは心得ています。そこはメンバーシップ制と一緒。違ってくるのは年齢や生活環境、腕前となります。
多いのは60歳過ぎたリタイヤ組です。働いていた頃の人間関係とまた別な世界で、気楽にゴルフをやりたい方が多いです。つまり仕事仲間でゴルフをやると、ヒエラルキーやプレー後の人づきあいが発生してしまうので嫌なのでしょう。
ひとり予約でも、軽いコミュニケーションはあります。昼休みになって、普段どこに行っているとか、あのクラブ飛ぶかとかね。盛り上がれば昔話に花が咲き、シングルだった時代もあるとか、エージシュートを目指しているとかね。そういう話を聞くのが面白いのです。
さらにひとり予約でも人間関係が煩わしい人は、マクレガーカントリー(千葉県)などでやっている「完全ひとりセルフプレー」に行くそうです。ゴルフだけに集中したい人や、コソ練で使う人が結構多いみたいです。
個人的にはやはり、誰かそばにいてラウンドするのが楽しいかなと。人が見ているから、緊張感があるわけだし、会話をしながらプレーするほうがペースをつかめて楽です。
ゴルフって一緒にお昼ゴハンを食べて、みんなで風呂に入り、果てはパーティまでやるんですよ。そんな社交的なスポーツは、なかなかないと思います。また誰かと出会うのを楽しみに、ゴルフしに行きますかね。
■プロフィール■
木村和久
きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
とがしやすたか
1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。
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