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    オーガスタナショナル女子アマ歴代優勝者、梶谷翼選手の決断に拍手【原田香里のゴルフ未来会議】

    今週の話題はマスターズ前週に開催されたオーガスタナショナル女子アマチュアゴルフ選手権です。

    配信日時:2023年4月12日 02時30分

    • ゴルフライフ
    今年のオーガスタナショナル女子アマチュアゴルフ選手権での梶谷翼 21年の第2回大会では優勝している(写真:GettyImages)
    今年のオーガスタナショナル女子アマチュアゴルフ選手権での梶谷翼 21年の第2回大会では優勝している(写真:GettyImages) (撮影:GettyImages)
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    ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。ゴルフの祭典「マスターズ」は、珍しいほどの悪天候に見舞われ、大木が倒れるというビックリした出来事もありましたが、最後はいつものように華やかに幕を下ろしました。日本でテレビ観戦を楽しまれた方は、まだ“時差ボケ”している頃でしょうか。

    今週の話題は、そのマスターズ前週に開催されたオーガスタナショナル女子アマチュアゴルフ選手権(ANWA)です。マスターズを主催するオーガスタナショナルゴルフクラブ主催で2019年が第1回大会。コロナ禍もあって、第4回大会となった今年は、日本から10人もの選手が出場しました。

    オーガスタナショナルゴルフクラブは、球聖ボビー・ジョーンズが自分のゴルフ哲学を形にしようと、アリスター・マッケンジーとともに作り上げたことはよく知られています。そこでプライベートの招待競技として始まったのがマスターズ。米国南部という土地柄もあり、クラブも大会も、長い間、白人男性中心に運営されてきました。

    けれども、21世紀に入った頃から、メンバーに女性がいないことに対する批判が表面化。大会スポンサーがおりるというようなこともありました。そんな経緯を経て、初めて女性会員を2人、迎え入れたのは12年のことでした。

    それから7年経って始まったのがANWAです。決勝ラウンド18ホールだけとはいえ、女子アマチュア選手がオーガスタナショナルGCでプレーできるというのは、かつての状況を考えれば大きな変化です。

    こうした背景を、今の若いアマチュア選手がすべてわかっているかどうかはわかりませんが、チャンスが大きく広がったことは理解しているはずです。私だってチャンスがあれば出たかったと思います。そこに日本勢が10人……。時代は大きく変わっています。

    試合の結果としては3人が予選を通過して、全米女子アマ優勝の馬場咲希さんが5位タイに入ったのが日本勢最高順位でした。

    でも今回、私が気にかけていたのは21年の第2回大会で優勝した梶谷翼さんのことです。残念ながら、今年のANWAでは予選落ちしてしまいましたが、大会前に米国留学するというニュースを目にしたからです。

    ANWAで優勝したのが、高校2年から3年になるタイミング。同じ年に日本のプロテストを受験したのですが、残念ながら不合格。昨年のANWAには出場しておらず、日本のプロテストにも名前がなかったので気になっていました。

    今回、留学を決めた、と聞いてまず思ったのが「いい決断をしたな」ということでした。日本は特にその傾向が強いのですが、他国も含めて現在の女子ゴルフの世界は、どんどん若年化が進んでいます。ジュニアのうちに経験を積み、早くにプロで活躍する。そんな青写真を描いている人がたくさんいます。

    その気持ちはよくわかります。けれども、10代の若者が思っているよりはるかに長いのが人生というものです。このコラムでも何度か書いていますが、たとえプロゴルファーになっても人生はゴルフばかりではないし、一生試合に出られるわけでもありません。ゴルフ以外の部分がたくさんあるのです。そのことを、早いうちから頭のどこかでわかっていて欲しいのです。

    そう考えると、ゴルフだけでなく、様々な経験ができるチャンスがあれば、生かしたほうがいいと思います。

    高校在学中に日本のプロテストが受けられるようになり、プロになってすぐ活躍する選手も増えました。その一方で、海外の情報もたくさん入ってきて、私の時代に比べると選択の幅は大きく広がっています。ただそのぶん、目先のことに振り回されやすくもなっているのではないでしょうか。

    人間は生きていく間に様々な選択をします。迷うのは当たり前のことでしょう。ただ、いいときも悪いときも、それをどう受け止めるか、糧にできるかどうかは常に自分次第です。何もかも自分の責任でプレーするゴルフとよく似ています。

    私が理事をしているころ、ツアーに出場している梶谷さんを見かけたことがあります。お話ししたことはなく、おとなしそうな印象を持っていたのですが、今回の話でしっかりとした考えを持っていたのだな、とよくわかりました。

    米国の大学は、日本と違い、学業の成績が悪いとどんなにゴルフがうまくても試合には出られないと聞いています。英語がネイティブでない日本人には厳しい環境なのはまちがいありませんが、そのぶん得られるものも大きいはずです。

    若い選手が成長していくのを見るのは、いつもワクワクするものです。梶谷さんがこの先、どうなっていくのか。とても楽しみです。


    ■原田香里(はらだ・かおり)
    1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

    連載

    原田香里のゴルフ未来会議

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