軽く息が上がるまで体を動かして、やる気モードに切り替えてからスタート【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】
ゴルフでは、優位になりやすい交感神経を抑えるのに苦心する。しかし、やる気が出ない朝は交感神経を上げる必要がある。「そういうときは“活”を入れればすぐ上がります」というのは順天堂大学医学部の小林弘幸教授。コントロールする方法を教えてもらった。
配信日時:2023年4月11日 22時30分
楽しみにしていたラウンド当日、コースに着いてもボーッとして何となくやる気が出ない……。そんなご経験はありませんか? 朝目覚めてから交感神経がまだ上がってこないから、気持ちも体も乗っていかないのです。
こういうときは、交感神経に“活”を入れることで案外すんなり、やる気スイッチを入れることができます。それには体を動かせばいいのです。
■打つか跳ぶか走るか、動いて体を目覚めさせる
スタート前なら練習場へ行ってボールを打ち込むのがベストですが、時間がなければティイングエリアの下で連続素振りやその場ジャンプをするのもいいでしょう。軽く息が上がるまで行うのがポイントです。
私だったら走ってしまいますね。練習場まで、あるいはスタートホールまでの短い距離でもジョギングすることによって心拍数が増えて血流がよくなり、たちまち交感神経も高まります。
体が温まりますのでウォーミングアップとしても十分。最後の10メートルだけは歩いて息を整えましょう。ほかにもメンタルを整えたり、コミュニケーションの取り方を工夫したりして交感神経を高める方法はあるのですが、ダイレクトに体を動かす方法が最も早く効果が表れるのでオススメです。
やる気が出ないときは、ぜひお試しあれ。
■交感神経は上がりすぎも、上がってこないのもNG
ベーシックな話になりますが、人間の体内では、朝目覚める前後に数間かけて副交感神経と交感神経との入れ替わりが行われます。寝ている間、優位だった副交感神経は徐々に下がり、交感神経が高まっていくことで活動的になるのです。
ちなみに交感神経優位のピークはお昼ごろで、昼食後は緩やかに下がり始めます。
本来、午前中はどんどん活発になっていく時間帯です。ところがゴルフの日は普段より数時間早く起きなければなりません。それに合わせて前夜の夕食や就寝時間を早めていればまだいいのですが、そうもいきませんので食べたものの消化が間に合わず、また睡眠時間も十分に取れず、見かけは起きていても体内はまだ眠っていたい状態にあるのです。
副交感神経と交感神経とがスムーズに入れ替わりにくいのはそのためです。プレー中に自律神経を乱すケースの多くは、何らかの要因によって交感神経が優位になることで起こります。
一方、交感神経が上がってこない場合も悪循環を招きますので注意が必要です。朝は体を動かすことで、やる気モードに切り替えてからスタートしたいものです。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。