OB後はアクセルを強く踏んでしまいがち カート運転に注意【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】
自粛生活によるストレスと運動不足の解消にゴルフは最高だ。久しぶりのコースを楽しく回るには「スイングリズムとカートの運転に要注意です」と、順天堂大学医学部の小林弘幸教授は警鐘を鳴らす。ボールを飛ばすコツ、カートは飛ばさないコツがあるという。
配信日時:2023年4月5日 23時30分
いよいよ春のゴルフシーズン突入。久しぶりにコースへ出る日を心待ちにしている方も多いことでしょう。「ボールにちゃんと当たるかな」といった不安や「いつものように思いきり飛ばすぞ」といった期待が入り交じり、気持ちが落ち着かないかもしれません。
このような不安や期待はストレスとなって自律神経を不安定にします。ですから、長いことラウンドしていないからといって、プレーの直前に焦って練習場へ行くのは得策ではありません。
■久々のゴルフでは動きや形を忘れよう
満足いくショットが打てない可能性は高く、かえって不安になることがほとんどだからです。間隔が開いたときほど、ラウンド直前はイメージトレーニングやシャドースイング程度が適しています。
当日も体の動きやスイングの形を細かく考えないようにし、リズムよく振ることだけを意識するのです。これなら不安やストレスを感じにくいので、朝から交感神経が上がりっ放しというようなことにはなりません。
案外、気持ちよくクラブを振ることができて、前より10~20ヤード飛ぶことだってあります。自律神経のコントロールにはそれだけ“ストレスフリー”が有効なのです。
■交感神経の高まりとアクセルの踏み込み
とはいえ、何でも気持ちよく飛ばせばいいのではありません。18ホール回れば少なからずミスも出て、自律神経を乱してしまう場面に必ず遭遇します。特にティショットをミスした場合は、スイング面ではなく、カートの運転に気をつけていただきたいのです。
ご存じのようにゴルフ場のカートは不安定なので、速度やハンドル操作にかなり注意を払う必要があります。ところが、久しぶりのゴルフではスイング同様カートの感覚を忘れているうえ、ミスによって気持ちが急いて、どうしてもスピードを出しがちなのです。
例えば、1打目がOB、打ち直しはセーフに見えたが同じ方向へ飛んでいった……というケースでは、ショックと焦りで、完全に交感神経が優位になります。たちまち血流も悪くなって手足の力加減を失い、カートのアクセルを強く踏み込んでしまいます。
早くボールを見に行きたくてついスピードを出し、地面の凸凹でカートが跳ねたりカーブを曲がったりするときに、ヒヤッとしてわれに返る……。そういう危険を避けるためミスショットの直後にカートを運転するときは、軽く足首を回して足に力が入りすぎていないか確認しましょう。
スイングは“ストレスフリー”、カートは“安全運転”を心がけ、久々のゴルフを楽しんでください。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。