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    日産×篠塚さん 世界にインパクトを与えた“技術の共演”

    芸術的なスイングと的確なミート力で、往年のメジャーリーガーからもリスペクトされた元プロ野球選手の篠塚和典さんが、日産の誇るスポーツカー「GT-R」とEV(電気自動車)の「アリア」に乗って、同社の横浜工場を訪れた。そして、日産の常務執行役員・濱口貞行氏と技術論のキャッチボールを交わす――。

    配信日時:2023年11月27日 01時00分

    • PR記事
    • ゴルフライフ
    目次 / index
    スポーツカーの名車「GT-R」(右)と次世代EVこと「アリア」(左)。そして、元プロ野球選手の篠塚さん(中央)
    スポーツカーの名車「GT-R」(右)と次世代EVこと「アリア」(左)。そして、元プロ野球選手の篠塚さん(中央)
    • 「GT-R」のエンジンルーム。迫力あるエンジンカバーがセットされていて、前方には「匠」のネームプレートが貼ってある
    • モーター駆動のEV「アリア」はモータールームの冷却が不要。フロントデザインの自由度が上がった
    • 右側のエンジンが「GT-R」に搭載される「VR38DETT」の完成形だ
    • クルマ好きを自認する篠塚さんは、工場に並ぶエンジンやパーツにも興味津々
    • 10ミクロン単位で用意された薄いプレートをすき間に挿し入れて、そのときにかかる抵抗を感じ取るバルブクリアランスの調整も、繊細な職人技の一つだ
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    歴代のノウハウを集約した「GT-R」、時代を先駆けるEV「アリア」

    日産を代表する究極のスポーツカー「GT-R」の専用エンジン(VR38DETT)は、横浜工場で生まれる。このエンジンを組み立てられるのは、高い技能を持ち『匠』として認定された組立作業者だ。彼ら熟練の職人によって手作業で丁寧に組み立てられる。このハイスペックなエンジンを仕上げるクリーンルームは、室温や湿度を一定にキープしつつ、ホコリが立たないように空気ではなく電気の作業ツールを用い、静電気防止の作業服を身につけている。

    一基のエンジンを一人の「匠」が一貫して担い、ミクロン単位で繊細に手間暇をかけて仕上げるので、1日に数台しかできない。「GT-R」のハンドルを握った篠塚さんが「カッコいいだけじゃなくて、エンジンの音や加速感、地を這うような滑らかな走りはさすがです」と口にした、世界トップクラスの高性能エンジンが、統一された品質でできあがるのだ。
     
    一方で、次代を担う100%EV(電気自動車)の開発も日産は先を行く。初めてEVに乗ったという篠塚さんが「ガソリン車と変わらない走りで、重心が低くどっしりと安定して運転しやすい」と話す「アリア」。充電をすればゴルフ場の往復でバッテリーが切れる心配はほぼないし(航続距離/仕様により最大460~640㎞)、車内やトランクが広くてキャディバッグが3~4台、積める。

    走行性能については、電動4輪制御技術「e-4ORCE」(4WD)の搭載グレードだと、ブレーキをかけても体が前のめりしないし、カーブでも思った通りにコーナリングできる。また、先進の運転支援技術「プロパイロット2.0」(メーカーオプション)により、状況に応じて同一車線内での“ハンズオフ”も可能。ゴルフ帰りで疲れたときや渋滞時のドライブに不安がある人にも助かる技術だ。

    「GT-R」のエンジンルーム。迫力あるエンジンカバーがセットされていて、前方には「匠」のネームプレートが貼ってある
    モーター駆動のEV「アリア」はモータールームの冷却が不要。フロントデザインの自由度が上がった
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    「GT-R」のエンジンルーム。迫力あるエンジンカバーがセットされていて、前方には「匠」のネームプレートが貼ってある

    篠塚 和典(しのづか・かずのり)
    1975年のドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。美しく正確なバットコントロールで首位打者に輝くこと2回、通算打率は.304をマーク、「安打製造機」の名をほしいままにした。ゴルフ歴46年、HC4

    磨き抜かれた技量と感性が、良質なクルマやプレーを生み出す

     
    篠塚 「GT-R」のエンジンは、いったんバルブを組み立てて、それを「匠」が測定して、もう一度バラして、最適な部品を組み替えて、また確認して、という通常のエンジンではやらないような手間をかけて作り込まれているようですね。横浜工場を見学して、日産のエンジンやクルマ作りは、人の“技術”を大事にしていることがよく分かりました。

    濱口 ありがとうございます。やはり人が手で作業をしたり、設備を使ったりしてエンジンやクルマができあがります。それぞれの人の技術がないと、良いモノはできません。スポーツの世界でもそうだと思いますが、チームプレーでも個人の能力が上がっていかないとチーム力は上がらないのではないでしょうか。

    篠塚 そうですね。野球で技術力は不可欠です。一つひとつのプレーを細かく丁寧に突き詰めなければ、高い技術はつきません。ボールを打つにはそれなりの根拠があるので、1から順番に磨いていかないと高い確率では打てないし、そのどこかを抜かしちゃうと技術が身につかないんです。まずは「ああいうふうになりたい」という目標を作って、ある程度は真似をして、そこから“自分流”のやり方を身につけていく。それも体に染み込ませなければなりません。

    濱口 「GT-R」のように高性能なクルマの場合、一つひとつの部品の精度について要求レベルが高いと思います。そうでなければ高い性能が出ません。そして、そのように仕上げるには、作業者に高度な技術がなければならない。それができる人間が「匠」ということです。一方で、篠塚さんがおっしゃった“自分流”が、我々の仕事(クルマ作り)の中であるかというとそうではなくて、むしろ“自分流”があってはいけません。そうじゃないと、クルマやエンジンの出来が違ってくるので。私たちは量産品を作るので「どのクルマでも同じ品質のモノができる」「誰がやっても同じモノができる」ということが要求されています。

    右側のエンジンが「GT-R」に搭載される「VR38DETT」の完成形だ
    クルマ好きを自認する篠塚さんは、工場に並ぶエンジンやパーツにも興味津々
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    右側のエンジンが「GT-R」に搭載される「VR38DETT」の完成形だ

    機械がどんなに発達しても、それを作るのも動かすのも“人”

     
    篠塚 とくに「匠」の人たちは、研ぎ澄まされた感覚が身についていると思います。指先の感覚や音を聞き分ける感性など。そういうことも経験を積んで、体に染み込んでるから“違い”が分かるのでしょう。

    濱口 そうだと思います。野球の技術を体に覚え込ませるには、練習しかないのですか?

    篠塚 もう練習しかありません。大事なのは練習の意識です。練習でバッティングピッチャーは同じところに「打ってください」というボールを投げてくれますが、試合では相手のピッチャーが打たさないように投げてきます。だからこそ、バッティングピッチャーの「打ってください」というボールを、あえてタイミングを変えて打ったり、詰まらせて打ったり、先で打ったり、泳いで打ったり、アウトコースのどのくらいまで外に届くか、といったことを確認しながらバッティング練習をしていました。

    濱口 そうなんですね。この工場にもたくさんの機械があって取扱説明書のようなものがありますが、その通りにやっても求める精度が出るかというと出ないことが多いし、新しい設備を入れても、しっかりした精度が出るかというと出ないことの方が多い。その精度をいかにして出せるようにするかが、エンジニアの仕事でもあるし、それには多くの経験や高度なノウハウが要求されます。マシンがどんなに優れていても、結局は人が動かしているんです。機械を人が動かすし、機械を作るのも人。工場の作業者にはみんな「現場を動かしてるのはオレたちだ」という、自信と誇りがあります。それは若い頃から、5年、10年、15年と同じような作業を繰り返して体に染みついた感覚や技術があってこそ。

    篠塚 野球の打撃でも、ティーバッティングで100%できて、フリーバッティングで100%できても、試合では3割ちょっとしか打てません。それなのに、ティーも2割できない、フリーも2割くらいだったら、試合では1割くらいしか打てないでしょう。

    10ミクロン単位で用意された薄いプレートをすき間に挿し入れて、そのときにかかる抵抗を感じ取るバルブクリアランスの調整も、繊細な職人技の一つだ
    通称“クリーンルーム”の中で「匠」が丁寧かつ手際よくエンジンを仕上げる
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    10ミクロン単位で用意された薄いプレートをすき間に挿し入れて、そのときにかかる抵抗を感じ取るバルブクリアランスの調整も、繊細な職人技の一つだ

    多種多様なクルマを同じ製造ラインに乗せて量産できる


    濱口 日産には最も誇れるノウハウがあります。例えば「GT-R」という高性能のモデルがあり「アリア」のようなEVがありますが、様々なクルマを一本の製造ラインに乗せて量産する技術は、おそらくウチにしかないでしょう。日産の栃木工場へ行くと「GT-R」は「スカイライン」など他の車種と同じように、生産ラインに流れているのですから。

    篠塚 多様なクルマを同じ生産ラインに乗せる量産システムも備えているのですね。

    濱口 はい。そして、本日ご覧いただいたように「GT-R」は、横浜工場に数人しかいない「匠」による“手作り”で、機械による量産ではできないことをカバーしています。しかもスペックは、基準車の方が570馬力。今年、発表した「GT-R」は“24年モデル”になりますが、主に「空力性能の向上」を求めました。こんなに大きいクルマでハイスペックでありながら“日常の足”として使えるほど乗り心地が良い、という評価をいただいています。その“真逆”のような位置づけと言えるモデルが、100%EVの「アリア」でしょう。大きな特徴としては、フロントからリアにかけて「日本の伝統美」をあしらったデザインに。そして、4WDには「e-4ORCE」という電動4輪制御技術が備わり、先進の運転支援技術「プロパイロット2.0」(メーカーオプション)を搭載しています(詳細は前述)。

    篠塚 これからは電気(自動車)の時代になるのでしょう。野球でもクルマ作りでも、技術の追求には終わりがないんですね。


    問い合わせ先/日産自動車㈱ https://www.nissan.co.jp/ 
    協力/鎌倉パブリックゴルフ場
    衣装協力/テーラーメイドアパレル
    取材・文/新井田聡
    撮影/PMT

    横浜工場ゲストホールの「エンジンミュージアム」には、歴代の名機エンジンが展示されている
    2017年の「国際オートショー」(ニューヨーク)でお披露目した、17年モデルの「GT-R」。現地に同行した「匠」が熟練の技術を実演して見せて、海外のモーターファンを唸らせた
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    横浜工場ゲストホールの「エンジンミュージアム」には、歴代の名機エンジンが展示されている

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