茶店で大福を食してリズムを変える【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】
だんだん少なくなってきたコース売店。ペットボトルを持ち込むようになり茶店があっても寄らないことが多いが、順天堂大学医学部の小林弘幸教授は、「ダメなときは絶対寄ったほうがいいです」と話す。自律神経のリセットをするには茶店は最良の空間だという。
配信日時:2023年4月4日 22時30分
ひと昔前は、ハーフで1回、茶店に立ち寄るのが普通でした。冬場はおしるこ、夏だったらかき氷などを食べる人が多かったものです。また寒い時季は熱く、猛暑の時季は冷えたおしぼりや、塩分補給のための小梅といった心配りは細やかで、目立ちませんがゴルファーを癒やしてくれました。
■好調時はカートを降りず、自律神経のバランスを維持
セルフプレーが主流になるにつれ、無人休憩所になったり、茶店を閉めて外に自販機だけ置かれているケースも増えました。ラウンド動線がシンプルになって時短にも役立つのでしょうが、自律神経をリセットするよい空間が消えてしまうのは残念です。
私がよく行くゴルフ場の茶店は幸いなことに健在です。とはいえ、毎回ガラガラと引き戸を開けるわけではありません。コースに3~4回通って1回くらい。プレーの調子がい
いときは茶店に寄らないようにしているのです。
なぜかというと、パー、パー、パーできているようなときは、交感神経が多少優位になっているものの、副交感神経も落ちすぎず自律神経がきれいに整っています。こういうときはバランスを崩したくありません。
ところが、茶店に寄って今までと違う動線を入れたり少しでも飲食したりすれば自律神経に変化が起こって、たちまちプレーの流れが変わってしまうからです。必要に応じて洗面所に寄ったり水を飲んだりは当然しますが、ゴルフの調子がいいときは、できればカートを降りるべきではないのです。
■ダメなときには茶店に寄って大福でブレイクタイム
反対に、ショットが悪いときやアプローチ、パットのかみ合わせがうまくいかないときは、必ず茶店に寄ってゆっくりするようにしています。ひと口サイズの大福や饅頭でもあれば最高です。少量の糖分を取ることによって副交感神経が上がって気持ちが落ち着く一方、エネルギー補給にもなって元気が出るのでオススメです。
今までとは違う動線を入れ、たった4~5分でもゆっくり過ごすことで自律神経をリセットする効果があります。プレーの流れも変わるのです。
ときどき、ショットがめちゃくちゃになって大叩きをし、自分で自分に腹を立ててしまう人がいます。みんなが茶店に寄っても一人でティイングエリアに上がって、ブンブン素振り……。これは最悪です。
悪いリズムを断ち切れないどころか、自律神経をさらに乱すだけです。こんなときはカートでひと息、バッグに忍ばせておいたチョコレートでもかじって“ひとり茶店”してみるのもよいでしょう。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。