【検証してみた】昼食をガッツリ食べるとゴルフのパフォーマンスは落ちる? 落ちない?
ゴルフのランチでビールを飲み過ぎ、後半のスタートホールで「ファー!」。あれって本当にランチのせいなの?
配信日時:2023年10月10日 06時15分
ハーフターンでの食事やビールを楽しみにしている人は多いが、食べ過ぎや飲み過ぎには要注意。プレーにどんな影響を及ぼすか調査した。
【テスト方法】通常の2倍量のランチを摂取
プロとアマ1人ずつのテスター2人が昼食前(朝食3時間後の10時)と昼食後にドライバーとアプローチ(カップまで20ヤード)で5球ずつ打ち、ドライバーは「スカイトラック」で弾道を計測。アプローチはカップまでの距離を計測した。昼食はそれぞれ定食と麺類にビールを2杯ずつ注文。満腹の状態とアルコールでパフォーマンスが変わるか調査した。
●テスター1(プロ)飯沼大輔
いいぬま・だいすけ/1978年生まれ。2015年にプロ入りし、現在は「Accuracy Golf Studio」で代表を務める。持ち球はフェードでドライバーのHSは48m/s。普段の昼食はパスタなど消化のいい麺類を食べることが多い
●テスター2(アマ)鈴木 忠さん
すずき・ただし/1969年生まれ。平均スコア96、ゴルフ歴23年、ラウンド数は月4回。持ち球はストレート~ドローでドライバーのHSは39m/s。普段の昼食ではアルコールは飲まず、腹八分目を心がけているという
【結果】プロはドライバーで10ヤード減、アマチュアはスライス連発。アプローチはオーバーなどミスが激増
テスターの2人には2人前のランチをガッツリと、ビールも2杯ずつ飲んでいただいた。満腹状態でのドライバーの平均飛距離を比較すると、飯沼プロは平均飛距離285.3ヤードから275.6ヤードに。なんと9.7ヤードもの飛距離減で、ヘッドスピードも1m/s落ちていた。アマチュアの鈴木さんは210.8ヤードから210.3ヤードと飛距離こそ平均で0.5ヤード減で影響は少なかったが、平常時にはフェアウェイセンターから左右10ヤード前後に収まっていたのに、満腹時はどれも30ヤードほど右に曲がる大スライスに。
アプローチを見ると、平常時の飯沼プロはカップから平均80cmに寄せており、このあたりはさすがプロといったところか。しかし満腹+2杯のビールでプロの繊細なタッチはメチャクチャに。インパクトでパンチが入るようになってしまい、5球中4球が2m以上オーバーする結果となってしまった。一方でアマチュアの鈴木さんは平常時にカップまでの平均距離は2m10cm。しかし満腹時は打点のズレが大きくなり、20ヤードのアプローチで5球中2球グリーンを外してしまう。カップまでの平均距離は1m20cm悪化し、3m30cmとなってしまった。
【結論】食べ過ぎやアルコールはスイングやフィーリングに悪影響を及ぼす可能性大
調査の結果、満腹&アルコールを飲んだ状態で打つと、ドライバーもアプローチもパフォーマンスが明らかに低下。プロの飯沼はドライバーの平均飛距離が10ヤード落ち、アマチュアの鈴木さんはスライスを連発。また、2人ともアプローチの精度が大幅に低下した。これについて飯沼は、
「満腹で、なおかつアルコールを飲んでいると、明らかに体の動きが鈍くなりますね。普段通りに打っているつもりでもHSが1m/s遅くなって、飛距離も大幅に落ちてしまいました。鈴木さんは飛距離はほとんど変わりませんでしたが、満腹のせいでトップの位置が低くなり、ヘッドが外側から鋭角に下りてくることでスライスが出ていました」と分析する。
そして、ドライバー以上に影響が出るのがアプローチだという。
「満腹&アルコールは、体の動きだけでなく感覚も鈍らせます。アプローチではインパクトでパンチが入ってしまい、ほとんどの球がカップをオーバー。微妙な距離感が出せませんでした。また、鈴木さんはミート率が低下し、平常時には見られなかったダフリやトップのミスが出ていました。食べ過ぎやビールで、ある程度パフォーマンスが落ちると思っていましたが、ここまで影響が出るとは……。コースでのおいしい食事や暑い日のビールはゴルフの楽しみの1つですが、食事は体の動きに影響が出ない腹七~八分目で、スコアにこだわるなら腹五分目でもOK。アルコールも極力控えた方が良さそうです」(飯沼)
今日のゴルフがエンジョイ目的なのかスコアを追い求めるのか、ランチのオーダー前に決めておく必要がありそうだ。
写真/山代厚男 取材協力/ゴルフ倶楽部 成田ハイツリー