有名スピン系の半額以下 コストコで売っているゴルフボール、その中身
コストコで売っているゴルフボールはOEM生産です。 OEM(オーイーエム: original equipment manufacturer)とは、他社ブランドの製品を製造することですが、コストコの場合、自社でゴルフボールを生産する工場も技術も持っていないと推定できるので、ゴルフボールを製造できるメーカーに依頼して、自社ブランドのボールを生産してもらい、それを販売しています。
配信日時:2023年10月24日 05時56分
コストコで売っているゴルフボールはOEM生産です。実際店舗に行ってみると、各ボールメーカーのナショナルブランドである、ボルビックやホンマのボールも販売されており、自社ブランドである「KIRKLAND Signature(カークランドシグネチャー)」のゴルフボールも店頭に並んでいます。
コストコのホームページをみると、この自社ブランドは、コストコの設立当時本社のあったワシントン州カークランド市にちなみ、1995年から「カークランドシグネチャー」のペーパー用品、水・飲料、ワインなど多岐にわたる製品を販売しているとのことです。このブランドは、アメリカでもっとも支持されているブランドとのことです。
このゴルフボールは「カークランドシグネチャー パフォーマンスプラス3ピースゴルフボール」で24個入り(パッケージを開けると1ダース12個入りの箱が2つ)。すでにご存じの方も多いと思いますが、商品説明では3ピースのウレタンカバーでUSGA公認球、338個のディンプルパターンで空力特性に優れていると説明されています。店頭価格は4480円で、1個当たり約187円。ウレタンカバーのボールはタイトリストのプロV1、ブリヂストンのTOUR B、スリクソンのZ-STARなどのスピン系と同じカテゴリーのボールとなっています。
通常、有名メーカーのボールは1球当たり550~600円なので、コストコのものはとてつもなく価格が抑えられています。コストコボールのレビューをみると「トップブランドのボールと遜色ない」「価格以上の性能があると感じました」などの高評価が並んでいます。
OEMでボールを生産しているメーカーは基本的に黒子なので、詳細は明らかにされていませんが、このボールの箱には中国製と表記されています。ボールの生産技術は、各メーカーが開発にしのぎを削っており基本的には公開されていません。それゆえ、各メーカーの最新のボールは自社工場で生産されるのが一般的です。また、ゴルフボールは特許の塊なので、最新の材料、構造などは各社が特許出願し他社がまねできないようにしています。
ボールのOEM製品は、どのようにして生産しているかと言えば、可能性として、①各OEMメーカーが独自で特許を出願して技術を持っている ②他社の特許を使用料を払い使用する ③古くなって特許が切れたものは誰でも使用できるのでその技術を使い製品を作っている などが考えられます。
推定ですが、後者③のものが多いと考えられます。どれくらい前の技術なのか断言できませんが、中身はその当時にスピン系のボールとして優れたパフォーマンスを発揮した物であることは想像に難くありません。実際に試してみましたが、現行の高価格帯ボールとの違いを明確に感じることはなく、飛距離やアプローチのスピン性能なども遜色ありませんでした。
最近はOEMメーカーの技術も進み、昔は簡単な2ピース構造のボールが主流でしたが、多層ボールを作れる技術も持つようになってきています。ナショナルブランドのタイトリスト、ブリヂストン、ダンロップなどのボールは契約プロの意見を取りいれ、打感や飛び姿までこだわっています。
一方、OEMボールは、価格と性能のバランスが良いので、コストパフォーマンスに優れています。試してみて、自分の好みの打感や飛び姿であれば、使ってみてはどうでしょうか。お小遣いの節約になります。
(取材/文・嶋崎平人)