単なる競技団体からの脱却へ動き出したJGA ゴルフのさらなる普及を目指した改革とは
JGA(公益財団法人・日本ゴルフ協会)では、“ゴルフの振興”を大命題にかかげたさまざまな改革、施策が活発化している。
配信日時:2023年11月26日 08時05分
続いて2つ目の施策となる、『ゴルフと健康部会』について理事の吉田裕明氏は、「関東ゴルフ連盟から引き継いだプロジェクトがあるんですが、それぞれのゴルフ場、または練習場が立地する市町村と一緒に組んで、いま現在ゴルフをやっていない人たちに声をかけて初心者教室をやり、みなさんの健康寿命を延ばしましょうと、いうプロジェクトを始めました」。
少子高齢化は現代の日本が抱える喫緊の問題として取り上げられることも多いが、“ゴルフが健康にいい“となればさまざまな波及効果が予測される。「例えば公報で市町村から参加者に来てもらう。そしてその人たちの健康のためにゴルフ場としてできることをやりましょうということが背景にあります。ゴルフ場が市町村に対していままでご迷惑ばかりかけていたかもしれませんけど、やはりゴルフっていいもんですよね、そしてゴルフ場ってこんなにいい所もあるんですよ、みんなで健康になりましょうというというようなことで、市町村と住民に貢献するような流れを作りたい」と吉田氏は話す。
高齢者の健康増進は、市町村の財政に直結する大きな問題でもある。「国民健康保険は市町村が維持していますから、より長く健康でいることはその街にとって非常に重要。そう考えていくと、そこが核になってコミュニティができる。特に言われているのは高齢者の場合、コミュニティから離れて1人になってしまう人たちの健康が非常に害されるという話もあります。そういった問題も、これはやってみてわかったことなんですが、コミュニティができると、みなさん元気で長生きということが絵空事ではなくて実際に起こる可能性があるんです」。
これからの日本、長寿社会であればあるほど老後の生活をどう送るかは大きなテーマとなる。歳をとっても楽しくできる、そして世代を超えてできるスポーツというものはゴルフ以外にないといっても決して言い過ぎではないだろう。
実際にゴルフ健康週間(9月11日~17日)では、1日で完結するプログラム(WAGスクールという初心者のためのレッスン。本来は8週間のプログラム:以下WAG)を実施した。「そこに集まってくる人は、市町村にお願いして、市町村の広報誌を通じて公募するんです。それを見た方が集まってきて初心者講習会に参加する。本当のWAGになるとワンデイじゃなくて8週間なんですけど、それではハードルが高いので、今回は導入ということで1日、ゴルフ健康週間でやりましょうと。その時に先ほど言った市町村での公募してもらうという仕組みがそこで出来ますよね。そういう仕組みが出来上がってくると、今度は市町村の方でも、実はもっとこういうことをしてほしい、などがでてくるんです」。
今までゴルフ場に来たことがない人がゴルフ場に足を運ぶようになれば、ゴルフコースの存在価値、意義がより高まる。そして町の高齢者も喜んでくれる。具体的な要望として上がっているのは、「ひとつは高齢者の健康のためにゴルフ場を1日開放してくださいと、そこに町の人をみんな集めますから、そこで散歩をさせてください、半日散歩したり体操したり。もちろん定休日ですからどうぞと。もうひとつは幼稚園の子どもたちを来させたいのでそこで開放してほしいなどです」。
実際に動き始めると、いろいろないいことを投稿してもらい、それを一気に見られるようなサイトにしたいというのが情報シェアリングで作ったホームページになる。
「残念ながらそこに投稿してくれる加盟クラブの数がまだ少ないので、あまり多くはないんですけど、でもイベントを実施するごとに市町村の方でもそういうことが目に付くと、今度はゴルフ場とこんな取り組みができないかとか、ゴルフ場の方でもでは一緒にやりましょうとかなっていくと、増々社会に対してゴルフ場が責任を果たせるというか貢献できることが増えていくんです」。