単なる競技団体からの脱却へ動き出したJGA ゴルフのさらなる普及を目指した改革とは
JGA(公益財団法人・日本ゴルフ協会)では、“ゴルフの振興”を大命題にかかげたさまざまな改革、施策が活発化している。
配信日時:2023年11月26日 08時05分
さらに、3つ目の『女性とゴルフ部会』について、常務理事の平山伸子氏は「ここのところの世界の流れをみていても、R&AもUSGAも、ゴルフの規則をつかさどる団体ですが、特に我々と近いR&Aは、ゴルフの普及の重要性を提唱して、その活動を活発に行っています」。
この動きの中で、女性ゴルファーも増やしていこうという流れが生まれる。2018年にはR&Aが女性ゴルフ憲章というものを立ち上げ、世界中のナショナルフェデレーションやゴルフの団体、企業に働きかけを行ってきた。「女性ゴルファーを増やしましょう、女性にもゴルフを楽しんでもらえるような環境をつくりましょう、そのためにあなたの協会は、あなたの団体は何をしますか? とR&Aが投げかけたんですね」と平山氏。
これがきっかけとなって、多くの国、多くの団体が賛同しサインをしてそれに基づいて活動をしていくことになったという。「2019年にJGAもR&Aの働きかけに賛同してサインをしました。そこで、女子ゴルファーを増やす、女性のゴルフ環境をもっと良くしていこうという活動が始まり、その後に振興推進本部と合体して現在に至ります」。
ゴルフにおける堅苦しいイメージの払しょく、ゴルフ場における男性優位の仕組みなど、女性が快適にゴルフを楽しむには多くの改善点、古い体質からの脱却が求められる。
平山氏はさらに続けて「特に女性の方には、ゴルフの堅苦しいイメージから、もう少しカジュアルにも楽しめるものだということを伝えていきたいです。必ずしも上手でなくても楽しめる方法、ゴルフのエンジョイの仕方を提案したいし、ゴルフに入りやすい環境づくりをできる限りしていきたいです」。
ひとつの例として平山氏が挙げたのが、女性のトイレ問題。「これまでともすればゴルフ場で女性プレーヤーが来たときに何が必要なのか置き去りにされていたのではないかと思います。トイレにしてもお風呂にしても。一番顕著なのは、コース内のトイレではないでしょうか。ややお粗末なところが以前は多かったように思います。でもだんだん意識が変わってきて改善されつつあると思います。こういうこともすごく大事で、特別豪華にする必要はないのですが、女性が気持ちよく快適に過ごせるように。それは男の方だって同じだと思います」。
女性ゴルファーを増やす具体的な活動として開催されたのが、ウィメンズゴルフデー。(WGD:6月6日に実施) 「このイベントでみなさんに訴えて、女子のみなさんゴルフやりましょうというメッセージを伝える場として使わせていただいて、これからも練習場、ご理解のあるゴルフ場さんとお話をして女性を受け入れやすい環境づくりを次のステップとしてやっていかなきゃいけないと思ってます」。
今回のウィメンズゴルフデーではJLPGAはじめ、ゴルフ場、スポンサーの理解のもと、ゴルフトーナメントの会場(ヨネックスレディス、サントリーレディース、男子のツアー選手権)で各種イベントを開催することができたという。これに対し平山氏は、「ひとつの目的があると一致団結できるんだということが、ありがたかったし嬉しかったです」と話す。団体や枠組み、利害関係を越えた横断的な取り組みを行う時こそ、JGAが担う役割は大きいはずだ。
「豊かな時間、豊かな生活を送れるようにゴルフを使ってくださいと、ゴルフってそれぐらい素晴らしいスポーツですよと、必ずしもアスリート的なスポーツじゃなくても楽しめるものだということを伝えていきたいと思います。ゴルフ場にも練習場でも行きやすい、そういう環境づくりをしていくことが、ゴルファーを増やし、ゴルフというビジネスをサステナブル、きちんと健全に持続していくために大事だと思います」。
日本の未来を考えた時、高齢者でも取り組むことが可能で女性にも楽しめるゴルフには確かに可能性がある。いつまでも健康で女性も男性もプレーを楽しむ生活。日本の未来はゴルフで明るくなる! JGAの大改革が未来へとつながり、花開くことを願うばかりである。