毎週のように通っているコースは、それらに該当する男女の組がゴルフをしているシーンを観察することができます。安価でお気軽にゴルフができるコースなので、最初は不思議でした。出会いの場や、デートなら、ワンランク上の特別感があるコースを予約するはずだと考えたからです。しかし、そんな発想は、どうやら古いようです。

若いゴルファーに聞いてみると、基本は割り勘だから、親しくなれるかわからない人とのゴルフで、プレー代が高いコースに行くのは非常識な感じがする、という話でした。また、あくまでもゴルフをするのがメインなので、施設だけが奇妙なほど豪華だったりするコースより、お気軽なコースのほうが女性に優しいケースが多いので良いチョイスになることが多い、というなかなかディープに考えられた意見も聞くことができました。

実際に彼らとコースですれ違うときに観察すると、女子を大声で褒め称えていて、対象の女子ゴルファーは恥ずかしそうにしているシーンや、女子のほうが上手くて、男子が右往左往しているシーンが多かったりします。ガンバレ男子！　と思いつつも、これが若い男女のマッチングゴルフのリアルだと思ったのです。

普通の合コンは、出会いを求める男女が、お店で食事をしたりお酒を飲んだりしながら、お互いに自分の良いところをアピールして、どんな人間なのか、相性が合うかなどを確認し合って交際に発展するのが理想というイベントです。アルコールの力を借りて本音を引き出して、というのが重要なポイントになっています。

ゴルコンと呼ばれるゴルフ版の合コンでは、本音どころか、本性が見えてしまうことが多々あるようです。
やさしくて、人当たりが良い印象の男子だったのに、前の組のプレーが遅いと、急に攻撃的な言動をしたり、ミスショットをした後にクラブを叩きつけたり、バーディパットだから頑張って、と応援したら、睨まれて、外した後にも不機嫌を隠さなかったり、キャディやスタッフに威張り散らしたり。

素敵女子だと思ったのに、ミスショットの後に言い訳をいつまでもダラダラしていたり、クラブをバッグに戻す動作が乱暴だったり、バンカーを適当に均して足跡が残っていたり、ボールをピックアップするときに毎回カップの縁を崩していたり、クラブを拭くのには熱心なのに、ボールは傷と汚れで汚かったり…。仮に初心者だったとしても、男女に関係なく、一緒にラウンドするメンバーや他者への気配りが不足していることが一発でわかってしまうわけです。

男女のゴルフで思いだしたことがあります。仮面夫婦は、仮面が剥がれるので絶対に一緒にゴルフをしないそうですが、知り合いの仲が悪いことで有名な夫婦が最近二人で頻繁にゴルフをしていると聞き、本当は仲が良かったのか？、と確認しました。すると「何も期待していないから、お互いにゴルフに集中できて、良い練習になるんだよ」という答えが返ってきました。なるほどと感心しつつ、これも達観した男女の関係の一つの形だと清々しい気分になったのです。

男女の仲というのはいつの時代もシビアなのだと、ゴルフを通して思い知ることがたくさんあります。ゴルコンは、本性がたった1回のゴルフでもわかってしまうことがあるので、逆になかなか良い人に巡り会えないという現実に凹むという話も耳にします。重要なことは、隠したいものほど露呈してしまうのがゴルフだということです。それは、底なしに楽しいゴルフの副作用なのです。

ゴルファーとしてモテたいのであれば、方法はたった一つです。隠せないなら、素のままの中身で勝負するのが、一周回って幸せなのです。ゴルフが上手くなることに比べたら、素の自分を磨くことなど簡単なことですし、ゴルファーとしてのグレードもアップするはずですので、一挙両得を狙うのが正解なのです。

（取材/文・篠原嗣典）