ラッキーを喜ばない 一喜一憂がリズムを悪くする【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】
ひと口にボギーといっても内容はさまざまだが、順天堂大学医学部の小林弘幸教授によると「自律神経にいいボギーと悪いボギーとがある」そうだ。両者の違いとは? もし自律神経に悪いボギーを叩いてしまったら?
配信日時:2023年3月29日 03時30分
ゴルフにボギーはつきものです。プロでも18ホールで2つ3つボギーを打つことは普通にありますし、アマチュアだったらパーが2つ3つ、あとはほとんどボギーというような人も多いと思います。
■プランどおりは自律神経にいいボギー
それだけ頻出するのですから、同じボギーでも、自律神経にいいボギーを打ちたいものです。例えばパー4で、(1)ドライバーを思いきり振って林へ (2)林から出すだけ (3)5番ウッドのショットがトップしバンカーへ (4)1回で脱出できたが5メートルオーバー (5)ピンに当たってカップイン。これは自律神経に悪いボギーです。
場当たり的なプレーによってミスの連鎖が起き、そのフォローに追われっ放しだからです。ミスから生じる焦りやストレスは自律神経に影響を及ぼし、ミスを重ねるほど交感神経は高まってしまいます。
それに対して自律神経にいいボギーは、(1)得意なユーティリティでフェアウェイへ (2)7番アイアンでバンカー手前に刻む (3)残り70ヤードをSWでグリーン中央にオン (4、5)5メートルを2パット、というケースです。
そもそも無理のないプランを立てているため不安も迷いもなく、交感神経が高まりにくいのです。常に小さめのクラブを使う安心感からリズムも落ち着いてきます。面白みがないようですが、案外そうでもなく、最後までパーにつながりそうな手応えを感じて自分のプ
レーに集中できると思います。
プランどおりにプレーできるとパーを取ったかのような達成感があり、副交感神経も上がるのです。
■運に一喜一憂するとリズムが悪くなる
また、ボギーの原因を考えるときは運の要素を除いて現実を見るようにしないと、自律神経が乱れますので注意が必要です。
先ほどの前者のケースだと、(3)について、あと数十センチずれていたらバンカーに入らなかったのにアンラッキーだった……という不満から交感神経が高まりがちです。
また(5)では、5メートルがカップインしたことを単純に喜んでしまい、やはり交感神経が高まりやすいと思います。このパットは、もしピンに当たらなければ1~2メートルオーバーし、ダボでも不思議ではありませんでした。この点を冷静に受け止めてタッチを調整しないと、次のホールでも同じミスが繰り返されてしまうので気をつけてください。
運の要素に惑わされなくなるとプレーのリズムがよくなり、自律神経に悪いボギーも減ってきます。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。