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    ゴルフの世界ランキングとは?「世界ゴルフランキング」ポイント獲得の仕組み【男子プロゴルフ】

    男子プロゴルファーの世界ランキングは、正式名称「世界ゴルフランキング(英: Official World Golf Ranking)」といい、特に50位以内に入れば主要な大会へ出場できます。この記事では、ランキングの仕組みについて要点を絞ってまとめ、有力選手が多く移籍したLIVゴルフツアーと、現時点の“世界トップのゴルファー”も紹介します。

    所属 ALBA Net編集部
    ALBA Net編集部 / ALBA Net

    配信日時:2024年5月20日 10時56分

    • ゴルフライフ
    • ランキング
    目次 / index
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    1.ゴルフの世界ランキング

    男子プロゴルフの世界ランキングは1986年から施行された「世界ゴルフランキング(英: Official World Golf Ranking)」です。導入初期はそれほど重視されていませんでしたが、1999年からはメジャー大会や世界大会の出場資格になり、ランキングの意義が高まりました。

    最初に世界ランキング1位になった選手は、ベルンハルト・ランガー(当時西ドイツ)。

    ちなみに女子プロの世界ランキングは、2006年から導入された「ロレックス・ランキング」のことです。

    女子プロの世界ランキングについては「ゴルフの世界ランキングとは?「ロレックス・ランキング」ポイント獲得の仕組み【女子プロゴルフ】」をご覧ください。

    世界ゴルフランキングが関わる主な大会

    「世界ゴルフランキング50位以内」は、以下のような大会の出場要件です。

    ■4大メジャー:マスターズ、全米オープン選手権、全英オープン選手権
    ■ザ・プレイヤーズ・チャンピオンシップ

    4大メジャーのうち、全米プロゴルフ選手権のみ「世界ゴルフランキングのインターナショナル・フェデレーションランキングリストのトップ3」が出場資格となっています。このランキングは、日本・アジア・豪州・南アフリカの各4ツアーの賞金ランキング上位10名(合計40名)を世界ランキングに基づいてランク付けしたもの。つまり、14名の選手が該当します。

    2.【男子プロ】世界ランキングの仕組み

    世界ゴルフランキングは、PGAツアー国際連盟に加盟されている5つの主要ツアーなどでポイントがもらえるポイント制です。ランキングの期間は過去2年間(104週間)にトーナメントで獲得したポイントを出場試合数で割り算する平均点方式です。また、その間に対象の試合に出ていなければランキングからは除外されます。

    ■世界ランキング(平均ポイント)=【過去2年間の総合ポイント÷出場試合数】

    出場試合数が40試合以下の場合は「40」、56試合以上の場合は「56」で割ります。

    また直近13週分のポイントはそのまま加算されますが、14週以降のポイントは毎週1.09%ずつ減っていき、104周目にはほとんどゼロになります。常に新しい結果に重点が置かれる仕組みです。

    2022年8月に変更:ポイントは“フィールドレーティング”で決まる

    各大会はレベルに応じてポイントが設定されますが、2022年8月にレベルの算出方法が変更されました。以前はトーナメントのフィールド強度(SoF)で格付けしていましたが、現在は「フィールドレーティング」を採用しています。

    「フィールドレーティング」はその大会に出場した選手の「パフォーマンスポイントの合計」を表します。「パフォーマンスポイント」とは「SGワールドレーティング(SGWR)」ともいいます。過去2年間の各ラウンドのスコアを相対的な難易度によって調整したSG(ストローク・ゲインド)データで、直近の成績ほど比重が高くなります。ただしこの算出方法は使う数値が常に変動しており、個人で計算して出せる簡単なものとはいえません。「強い選手が多いほど大会レベルが高くなり、ポイントも多くなる」と理解しておくだけでよいでしょう。

    重要なことは、この変更によって“日本ツアー選手のポイントが激減した”という点です。

    というのも、4大メジャー大会と「ザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップ」を除く全てのミニマムポイントが廃止された結果、日本オープン優勝者の獲得ポイントは約4分の1にまで減りました。ミニマムポイントとは各大会優勝者のポイントを調整していたもの。変更前には、米ツアーと欧州ツアーの優勝者には最低24ポイント、日本とオーストラレイジアツアー優勝者には最低16ポイントが付与されていました。これが廃止され、日本ツアーはアメリカの下部ツアーよりも評価が下になり、特に海外ツアーに参加しない選手はポイントを獲得することが難しくなったのです。

    2024年1月から2点追加でさらに白熱!

    さらに2024年1月からは以下の2点が追加されました。

    ■参加しただけではポイントを獲得できなくなった
    ■複数勝利得点が導入された

    出場選手が80名以下の大会では、上位により多くのポイントが付与される新しいポイント配分が実行されることになりました。つまり予選カットのない大会では、下位15%の選手にはポイントがありません。またマッチプレー競技では、1回戦敗退もしくはプール形式全敗の選手もポイントなしというルールです。

    また、勝てば勝つほどランキング上位に上がりやすくなりました。例えば52週間以内に再度優勝した場合60%のボーナスポイントがつき、3回優勝すれば70%のボーナスがつきます。(ただし合計4ポイントが上限)

    世界ゴルフランキングのポイントが多くもらえる大会は?

    世界ゴルフランキングのポイント付与の多さは、以下のようなイメージです。

    ■ポイントの多さ=アメリカPGAツアー>欧州ツアー>日本ツアー

    後述するLIVゴルフ参戦組を排除しないゴルフ大会もあり、そのポイントも厳密に反映されてランキングが決定されます。

    ここでは参考として、2023年の大会でポイントが多かったものを一覧にまとめました。下2つは日本で最もレートの高い大会と日本国内での最高ポイントの大会です。

    優勝者の獲得ポイント

    フィールドレーティング

    大会名

    勝者

    100.00000

    462.54031

    全米プロゴルフ選手権

    ブルックス・ケプカ

    100.00000

    433.44902

    全英オープン

    ブライアン・ハーマン

    100.00000

    421.66636

    全米オープン選手権

    ウィンダム・クラーク

    100.00000

    335.29755

    マスターズ

    ジョン・ラーム

    80.00000

    434.49297

    ザ・プレイヤーズ・チャンピオンシップ

    スコッティ・シェフラー

    69.47745

    403.95584

    トラベラーズ・チャンピオンシップ

    ギーガン・ブラッドリー

    67.28448

    391.20546

    アーノルド・パーマー・インビテーショナル

    カート・キタヤマ

    19.22479

    111.77682

    ISPS ハンダ - チャンピオンシップ*1

    ルーカス・ハーバート

    9.96993

    57.26931

    ダンロップフェニックストーナメント

    杉浦裕太

    (世界ゴルフランキング公式サイト 2023年データより)

    *1:日本ゴルフツアー機構(JGTO)とDPワールドツアー(旧欧州ツアー)の共同主催

    3.LIVゴルフと世界ゴルフランキング

    LIVゴルフは新しい組織ですが、その大会では世界ランキングのポイントを取得できません。

    当初は米国内の反発もあり、LIVゴルフ参加者はPGAツアーに参加できず罰金まで科されました。また、ジャック・ニクラウスとタイガー・ウッズが高額オファーでの移籍を蹴ったことでも話題になりました。

    LIVゴルフはサウジアラビア出資の新組織

    「LIVゴルフ(リブゴルフ)」は、2021年に発足したサウジアラビア政府ファンド出資の新しい組織です。グレッグ・ノーマンが代表を務め、「LIV」にはローマ数字で「54」という意味があります。由来は明言されていないようですが、「スコア54は18ホール・パー72のコースで全ホールバーディの理想的なプレーである」とするノーマンの言葉にちなんだともいわれています。また、スコア54の達成者には5,400万ドル(約83億円)の賞金を贈呈するとも発表されました。

    LIVゴルフには、チーム戦と個人戦の2つのタイトルがあります。アメリカ・アジア・サウジアラビアなどを転戦し、大会優勝者には破格の賞金が与えられます。例えば2022年の賞金総額は1大会総額2,000万ドル(約30億円)、団体戦は500万ドル(約7.7億円)、さらに最終戦のチーム戦では3,000万ドル(約46億円)でした。

    LIVゴルフ所属の主なプロゴルファー

    主なLIVゴルフ所属ゴルファーは以下のようなメンバーです。(すべて2024年4月23日現在)

    ■ダスティン・ジョンソン
    ■ジョン・ラーム
    ■ティレル・ハットン
    ■ブルックス・ケプカ
    ■キャメロン・スミス
    ■フィル・ミケルソン
    ■ホアキン・ニーマン
    ■ブライソン・デシャンボー
    ■テイラー・グーチ

    かつての世界ゴルフランキング1位や、2024年のPGAメジャー大会もにぎわす有力選手たちが多く所属しています。

    LIVゴルフ所属選手は世界ゴルフランキングで上位に入ることが難しい

    2024年3月、LIVゴルフは世界ゴルフランキングポイントの獲得申請を取り下げました。発足当時の反発が根強く残る中で続けられた交渉でしたが、結局は難しいとの判断で取り下げたようです。PGA側の理由としては、他ツアーとのフォーマットの違い(54ホールで予選落ちなしの大会形式)が挙げられています。

    現在LIV所属選手は、特別招待や優勝歴でPGAツアーなどに参戦しています。ただし現状LIVツアーではポイントを得られないため、世界ゴルフランキング上位を目指すことは難しい状況といえるでしょう。

    多くのLIV所属選手がPGAツアーへの出場資格を保有している

    LIVゴルフ所属の6選手は、4大タイトルの一つである「マスターズ」での優勝歴による生涯出場資格を持っています。

    ■ダスティン・ジョンソン
    ■パトリック・リード
    ■バッバ・ワトソン
    ■フィル・ミケルソン
    ■シャール・シュワーツェル
    ■セルヒオ・ガルシア

    さらに「大きな大会の優勝者」という要件を足すと、出場資格を有する選手はさらに増えます。(重複を除く)

    ■ブライソン・デシャンボー(直近5年間の全米オープン優勝者:2020優勝)
    ■ジョン・ラーム(直近5年間の全米オープン優勝者:2021優勝)
    ■キャメロン・スミス(直近5年間の全英オープン優勝者:2022、直近3年間のザ・プレイヤーズ・チャンピオンシップ優勝者:2022)
    ■ブルックス・ケプカ(直近5年間の全米プロゴルフ選手権優勝者:2019及び2023)

    このようにLIVには有力選手が多いため、ほかの大会にも、このような枠を利用したり招待されたりして参戦しています。ポイントが多く取れる大会で上位に入れば、世界ゴルフランキングにも名前が載るでしょう。ただし獲得の機会が少ないため、順位の保持は難しいかもしれません。

    4.「世界トップの男子ゴルファー」はだれ?

    さまざまなランキングがあるものの、最近の世界トップゴルファーは「スコッティ・シェフラー」といえるでしょう。(すべて2024年4月23日現在)

    シェフラーは2024年に入ってからも快進撃を続けています。3月の「アーノルド・パーマー・インビテーショナル」で大会2勝目を挙げ、「ザ・プレイヤーズ・チャンピオンシップ」では大会史上初の連覇、4月にも「マスターズ」で2勝目を飾りました。

    ・世界ゴルフランキング1位:スコッティ・シェフラー
    現在1位のシェフラーのポイントは15.0135ポイントで、2位のローリー・マキロイは7.3642ポイント。すでに2倍以上の差がついています。

    【最新の世界ランキングはこちら

    ・FedExCupポイントランキング1位:スコッティ・シェフラー
    FedExCupポイントランキングでも1位で、3,215ポイントを獲得しています。

    FedExCupポイントランキングは米PGAを主戦場とするプロのためのポイントで「PGAツアーポイント」ともいわれます。欧州やアジアなどのツアーは加味されません。ポイントランキング上位125名が「フェデックスカップ・プレーオフ」に進みます。シリーズは4大会で構成され成績の下位の選手を段階的にカットし、最終戦のツアー選手権で年間チャンピオンが決定されます。

    ・全米賞金ランキング1位:スコッティ・シェフラー
    全米賞金ランキング(PGA賞金ランキング)でも、$15,093,235(約23.3億円)を獲得して1位です。賞金は2024年から1月~12月の期間でカウントされるようになったので、4か月での結果です。10大会に参加して「ザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップ」、「アーノルド・パーマー・インビテーショナル」、「マスターズ」、「RBCヘリテージ」の4大会で優勝しました。

    ・LIVゴルフ賞金ランキング及びポイントランキング1位:ホアキン・ニーマン
    LIVゴルフの賞金ランキング及びポイントランキング1位は、ホアキン・ニーマンです。賞金$9,448,000(約14.4億円)、ポイントは105。LIVゴルフツアー5戦での成績です。世界ランキングは85位。

    チームとしては、ジョン・ラーム所属の「Legion XIII」が1位です。

    ・生涯獲得賞金ランキング1位:タイガー・ウッズ
    生涯獲得ランキングでは、タイガー・ウッズが$120,999,166(約187億円)で1位です。2位のローリー・マキロイは$81,810,229(約126億円)なので、圧倒的な差があります。メジャー選手権優勝15回(歴代2位)、史上2人目のトリプルグランドスラム達成、世界ゴルフランキング683週1位など、ほかにも驚異的な記録を達成しています。

    ちなみにスコッティ・シェフラーは8位、$61,258,464(約94.8億円)を獲得しています。

    2024年4月現在の「日本トップのゴルファー」は松山英樹

    「日本の」ということなら、松山英樹選手がトップといえるでしょう。(すべて2024年4月23日現在)

    ■世界ランキング15位 3.643ポイント
    ■全米賞金ランキング5位 $6,007,495(約9.3億円)
    ■FedExCupポイントランキング6位 1,325ポイント
    ■生涯獲得賞金12位 $50,171,691(約77.6億円)
    ■日本人メジャー初優勝(2021年マスターズ・トーナメント)

    2024年は「ジェネシス・インビテーショナル」で優勝し、さらなる活躍が期待されています。

    5.まとめ

    世界ゴルフランキングは基準を満たした大会の成績によってランク付けし、有力選手たちが多く参加するLIVゴルフツアーの成績は除外されています。そのため現状、男子プロゴルフの世界ランキングを示すシンプルな指標はないといえるでしょう。ただし、だからこそ同じ大会に出た際のスコアにはより関心が持てて、また新しい楽しみ方もできるのかもしれません。

    各選手、各ツアーのランキングはALBA Netでも随時更新して掲載しています。ぜひご覧ください。

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