スギ花粉は今がピーク! ハンデ6のドクターに聞いたゴルファーが知っておくべきこと
日本列島はスギ花粉の飛散がピークを迎えている。多くのゴルファーは、ティッシュ片手にコースを駆け回っていることだろう。しかし、鼻をグズグズさせていてはプレーに集中できないし、カッコも悪い。花粉症をコントロールしてゴルフを楽しむ方法を、耳鼻咽喉科・アレルギー科の松脇由典先生に教えてもらった。
配信日時:2024年3月11日 02時15分
花粉症のシーズンは東北から九州まで2月、3月、4月の約3か月。日本列島は今、スギ花粉の飛散がピークを迎えている。例年、スギ花粉はバレンタインデーの頃から飛び始め、ホワイトデーあたりにピークを迎えて桜が終わる頃まで飛ぶ。ヒノキは2月中旬から5月のゴールデンウィークには終わる。
花粉濃度の日内変動をチェックしてみると、花粉は日が昇ると飛び、奥多摩のスギ花粉が偏西風に乗って都心へ届くのはお昼頃。そして上空の花粉が落ちてくる夕方に再びピークを作る。スギ林の本拠地・ゴルフ場では早朝からずっと多量の花粉が飛んでいることになる。
ではどうしたらいいのか? 症状を抑えるには花粉症のことをよく知る必要がある。そこで、自らの花粉症をコントロールすることに成功し、ゴルフのハンデを大幅にアップさせた耳鼻咽喉科・アレルギー科の松脇由典先生に話を聞いた。
「実は私自身、〝超〞がつくほど重症のスギ花粉症です。2月、3月、4月は大好きなゴルフができない憂鬱な時期でもありました。この時期にラウンドに行けば、診療に戻っても鼻がグズグズしてしまうからです。鼻の専門医としては花粉症に悩むことも症状の出たところを患者様にみせることも好ましくないと考え、スギ花粉が飛んでいる時期はゴルフのオフシーズンと決めていました」
「状況が好転したのは2020年のこと。重症の季節性アレルギー鼻炎や既存の治療では効果が出にくかった重い疾患の治療に対して、バイオ製剤の新しい治療薬が保険適応されるようになったのです。このことは重い花粉症の患者さんに大きな朗報となり、私も恩恵にあずかりました。花粉症の症状をピンポイントで抑えることができ、控えていたゴルフを休む必要もなくなり、花粉症をもたない人たちと同じように楽しめるようになりました。生活の質が上がったことは大きな喜びです」
症状をコントロールすれば、ゴルフを楽に楽しめる。もう少し詳しく話を聞いてみよう。
「スギ花粉症は、体の中に入ってきたスギの花粉に体が反応し、排除しようとしてアレルギー症状を引き起こす鼻の疾患です。主な症状は鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、ノドの不快感など。それ以外にも頭痛や全身の倦怠感を訴える人もいて、仕事や学習の効率低下、ゴルフではプレーに集中できず、能力低下などで生活の質が下がることにつながってしまいます」
「症状を改善するためには、主に、①ふだん自分でできる「抗原回避」、②医師の判断で症状や重症度に合う適切な薬を処方してもらう「薬物治療」、③次の花粉シーズンに向け、時間をかけて花粉症を克服する「免疫療法」。この3つをバランスよく行ない、症状をコントロールすることが重要です」
それでも改善されない人は、バイオ製剤のゾレアが有効な治療法になり得るとのこと。ただ重症の花粉症に処方される薬剤であり、保険適応されるようになったとはいえ高価なものだという。主治医とよく相談のうえ、症状や重症度に応じ、自分に合う治療法を選択して欲しいそうだ。
松脇由典(松脇クリニック品川 理事長・院長)
耳鼻咽喉科・アレルギー科医師
1994年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。2005年東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科講座講師を経て、2016年医療法人社団 恵芳会 松脇クリニック品川を開院。ゴルフ歴は30年、ハンデ6。「カレンダーの赤い数字(休日)はほとんどゴルフにあてる」という。
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