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    技だけでなく、ゴルフを通じた豊かな人生 ジュニアのみなさんに伝えたいこと【原田香里のゴルフ未来会議】

    とあるイベントで出会ったジュニアゴルファーに感じたことを原田香里が語る。

    配信日時:2023年12月13日 02時30分

    • ゴルフライフ
    (写真:アジアパシフィックアマチュア選手権)
    (写真:アジアパシフィックアマチュア選手権) (撮影:ALBA)
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    ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。街はすっかりクリスマスモード。ゴルフ場にもそんな気配が漂う今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。今週は、先日参加したイベントで出会ったジュニア達を通じて、色々思ったことがあるのでそのお話をしたいと思います。

    勝みなみにゴルフを教わるジュニアゴルファー【写真】

    「プロを目指しています」。小学生の頃から、そう口にするジュニアゴルファーは、今では珍しくありません。「プロを目指しているの?」と聞くのが野暮なくらいです。私が子供だった頃に比べると、ジュニアの試合もものすごく増えていますし、実力があればプロのツアーに出場できることもあります。ジュニアがプレーする環境も、以前よりはずいぶんよくなっています。

    みなさん、私が子どもの頃とは比べ物にならないくらいゴルフが上手です。ただ、その分プロの世界も厳しいものになっています。日本のプロテスト合格ラインは20位タイです。ここを目指して第1次予選から挑む人たちは600人以上。ここを経てやっとプロになってもQTで上位に入るか、ステップ・アップ・ツアーで結果を出さないとなかなか試合には出られません(主催者推薦という道もありますが、これはまた別の話です)。

    試合に出られても、予選を通過しなければ賞金はもらえません。シードを獲得し、優勝を経験しても、結果が出なくなれば試合には出られなくなる。厳しさはどんどん増えていき、やがて身体の衰えとも向き合うことになる。自分との戦いが終わることがないのがプロの世界です。

    今とはずいぶん時代が違いますが、私はジュニア時代に父に教えられてゴルフを始め、大学までゴルフをしてプロテストに1回で合格。すぐにシードも獲得して、優勝も7回経験しています。自分で言うのもなんですが、客観的にみると、比較的順調なゴルフ人生を送ったほうだと思います。それでも、年齢を重ねるにつれて身体の衰えと戦い、心を保ち、自分と戦い続けるのは決して楽なものでありませんでした。

    もちろん一線を退いた今でも、自分との戦いは続いています。まぁそれはプロゴルファーでなくても同じことだと思いますが…。プロとして試合に出て、理事としてJLPGAに関わり、そこを離れたプロとして、ジュニアから年配の方々まで様々なゴルファーの方とお会いするようになった中で、最近とても感じているのは、ゴルフの技術だけでなく、人間としての経験を積むことの大切さです。

    ツアーで活躍することを夢見ても、誰もがなれるわけではありません。ツアープロになったとしても、それが永遠に続くわけではないのです。試合に出ている間ももちろんそうなのですが、常にプレーヤーではない目線、というものを持つことが大切だということをわかっていただきたいと思うのです。

    ジュニアの方は“なんとなく”でもいいと思います。でも、その周辺にいる保護者の方や指導者の方など大人には、ぜひ、そうしたことを頭に置いて、子どもたちを育ててほしいと思うのです。ゴルフの成績で頭をいっぱいにするのではなく、余裕を持って視野を広げるように導いていただきたいのです。

    ツアーに出られなくても、ゴルフが好きでそれに携わる仕事がしたいならティーチングの勉強をしてその素晴らしさを伝えるという道もあります。ゴルフに直接かかわらない仕事をしながらでも、ゴルフを通じて豊かな人生を送ることもできます。ツアーで活躍しながらでも、視野が広ければ多くの人と出会い、そこから世界を広げることができるでしょう。ツアーから退いても、さらに視野を広げることができるはずです。

    若い頃には、私自身もわかっておらず、ゴルフ一辺倒の部分が強かったので大きなことは言えませんが、だからこそ、いろいろな勉強をしておくことの大切さを痛感しています。一般社会の人生経験豊富な方にお会いする機会が多いのに、深いお話ができない自分のバカさ加減を恥ずかしいと思ったことが何度あることか。そんな思いをせずにどんどんさまざまなことを吸収できる環境を若い人たちには生かして欲しいと思います。

    プロゴルファーは、ゴルフが上手な人、というだけでは決してないのです。プロとしてのプライドを持つことはとても大切ですが、決してゴルフが上手いことがえらいわけではない。そのことをわかって欲しい。ゴルフが上手いのはプロとしては当たり前。その上で人間としてどんなふうに生きていくか。それが一番大切なのです。ゴルフ一筋なのが悪いわけではありません。ただ、厳しい世界で生きていくなかでも、しっかり自分というものを保ち、さまざまなものの見方をする習慣をつけ、実りある人生を送ってください。人生、ずっと勉強が続くのです。

    ■原田香里(はらだ・かおり)
    1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

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