ゴルフの打ちっぱなしはどんな場所? 初心者のためのゴルフ練習場の上手な使い方&練習法を徹底解説
ビギナーから上級者まで全てのゴルファーが練習で利用する場所が、ゴルフの打ちっぱなし(ゴルフ練習場)です。しかし、一般的にゴルファー以外には無縁の空間のため、ゴルフをこれから始めたいと思っていても様子が分からず、近づくのを躊躇している人もいるのではないでしょうか。本記事では、そんな初心者ゴルファーのために、ゴルフ練習場の基本的な利用方法や、最初に取り組んでほしい効果的な練習方法を紹介します。
配信日時:2024年9月11日 05時20分
1.ゴルフの打ちっぱなしはどんな場所?
ゴルフボールを実際に打って練習ができる、屋根付きの屋外施設が、「打ちっぱなし」(以下、ゴルフ練習場)です。打ったボールが外に飛び出ないよう、施設の四方はネットで覆われています。
広さや大きさはまちまち。広いところでは250ヤード(約225m)を超すものから、50ヤード(約46m)以下の小規模のところもあり、多くは2階建て、場所によっては3階建てのところもあります。
中に入ると練習用の打席(レンジ)が並んでいます。その打席から、場内のフィールドに作られた目標物や奥のネットに向かって、ボールを直接打って練習することができます。
2.ゴルフ練習場でのおおまかな流れ
ゴルフ練習場によって、ボールの購入方法や打席の作りに違いはありますが、ボールを打って練習する場所であることに変わりはありません。
ここでは、一般的な打ちっぱなしのゴルフ練習場に到着してから、ボールを打つまでのおおまかな流れを説明します。
受付からボールを購入して打つまで
ゴルフ練習場に入ると、まず入り口受付で打席を決めます。基本、打席は、空いている好きな場所を選べるので、後ほど説明する初心者におすすめの打席の選び方も参考に選んでください。
ゴルフ練習場によって、「球貸し」と「時間貸し」の2つがあります。
球貸しは、1球単位で料金が設定されており、借りたボールの数だけ料金を支払うシステム。時間貸しは、決められた時間内なら何球打っても同じ料金で利用できるシステムです。後者の料金システムから「打ちっぱなし」という、ゴルフ練習場の愛称が生まれたものと推察されます。
ボールの借り方はボール貸し出し機で一定数借りて打席に持ち込む方式と、ボールが1球ずつ自動的にセットされる方式があります。前者は現金やメダル、プリペイドカード、後者はプリペイドカードが主な購入方法となります。
マナー
ゴルフ練習場は“ゴルフの練習をする公共の場”と認識していれば、ゴルフ場のような厳しいマナーを要求されることはありません。
通路など打席外で素振りをする、打席で過度な大声を出すなど、一般常識で考えても迷惑だと思うような行為は、ゴルフ練習場でも行わないように気をつけましょう。
もし、練習中にクラブがすっぽ抜けてフィールド側に飛んで行ってしまっても、他のお客さんのボールが飛んでくる可能性があり大変危ないので、自分では取りにいかずスタッフに連絡してください。
3.ゴルフ練習場での服装は?
ゴルフ練習場にはドレスコードなどの堅苦しい規則はありません。ゴルフ場ではNGとされるジーンズやTシャツなどでも問題なく、運動しやすい服装なら何を着ても大丈夫です。
靴は、スニーカーや運動靴でも大丈夫ですが、横方向に負荷がかかるゴルフの練習には耐久性の面でやや不安。しっかり練習したい人にはスパイクレスのゴルフシューズがおすすめです。
一方で、会社帰りの革靴などは、ゴルフ練習場の人工マットやゴムマットで滑るので、あまりおすすめできません。
あくまで、ゴルフ上達のために練習場に来ているわけですから、ゴルフウェアに近い服装やゴルフシューズを着用したほうが本番でも役立つでしょう。
ゴルフ練習場での服装について、詳しくは「ゴルフの打ちっぱなしでの基本の服装を紹介 季節別の注意点やおすすめアイテム3選も」をご覧ください。
4.ゴルフ練習場でのクラブは?
ゴルフ練習場にはレンタルクラブもありますが、自分のクラブで練習したほうが上達も早くなります。キャディバッグでの持ち運びが大変なら、その日の練習に必要なクラブだけ持って行けば大丈夫です。
ゴルフを始めたばかりの頃は、ドライバーと7番アイアンにウェッジだけでも十分練習になります。
なお、会社帰りなどに練習したい場合はレンタルクラブも借りることはできますが、その場合でもグローブは持参した方が無難です。
ゴルフ練習場の利用方法について、詳しくは「初めての打ちっぱなしを思いっきり楽しもう! 準備すべきものや練習のポイントも紹介」をご覧ください。
5.ゴルフ練習場ボールの特徴
一般的にゴルフ練習場で使用するボールはレンジ用、つまり練習場用として生産されています。柔らかくて打つ人の負担が少なく、長持ちするのが特徴のボールとなります。
一方で、ゴルフ練習場用のボールは、練習場によって飛距離もまちまちで、飛びにくい作りになっています。大半はラウンドで使用する公認球(コースボール)の9割以下の飛距離で、スピン量も少なくボールが上がりにくくなっています。
初心者のゴルフボール選びについて、詳しくは「初心者が選ぶべきゴルフボールとは? 選び方やおすすめ7モデルを紹介」をご覧ください。
6.フィールドにあるカゴや数字は何?
ゴルフ練習場のフィールドにはカゴや数字の入った標識が置かれています。カゴはアプローチショットで狙う目標物で、数字は打席からの概算距離を(ヤードで)表しています。
短い距離なら公認球との飛距離差もそれほど出ないので、アプローチショットで近くにあるカゴを狙うのはとても効果的な練習になります。
ただし、距離表示は、飛ばないボールの飛距離に合わせて、実距離よりも長い表示がなされているところも多いようです。
7.打席の選び方
打席を選ぶとき、1階にするか2階にするかは意外と重要です。1階打席はコースと同じ目線での練習ができるため上級者を中心に人気。ゴルフ練習場によっては、利用料金が高く設定されているほどです。
しかし、初心者のうちは2階打席を積極的に選びましょう。料金が安い以外にも2階打席ならではのメリットがあるのです。
初心者におすすめの打席は、2階打席の左サイド
もし空いているなら、2階打席の、それも左サイド側にある打席が、正しいスイングフォームを身につける観点からおすすめです。
その理由は、初心者の2大悪癖ともいわれる、ボールを上げようとしてすくってしまう「すくい打ち」と、クラブが外側から下りることでスライスが出やすい「カット軌道」に染まらない練習ができるからです。
「すくい打ち」とは、無理やりボールを上げに行こうとして体が(右打ちの場合)右側に傾いたり、手首だけで球を上げようとする打ち方です。結果、ボールの手前を叩いたり、ボールの上側を打つミスショットになりがちです。
「カット軌道」はクラブが外側から下りてきて内側に抜ける、ボールを切るように動く軌道です。結果(右打ちの場合)ボールに右回転がかかり、右に大きく曲がるスライスボールが出やすくなります。カット軌道は一度癖がついたら簡単には直りにくいです。
カット軌道について、詳しくは「【脱初心=脱アウトサイドイン?】アウトサイドインが初心者のスイング軌道と言われる理由」をご覧ください。
2階打席がおすすめの理由は?
2階打席で打つと、1階打席に比べてボールが高く上がっていくように見えます。そのため、無理やりボールを上げようとする「すくい打ち」の悪い癖がつきにくくなります。
左サイドの打席がおすすめの理由は?
左サイドの打席は、張ってあるネットが近く左側に圧迫感があるため、クラブを外側から内側に振りにくくなります。そのため、カット軌道ではなく、内側から外側に抜ける「インサイドアウト軌道」が身につきやすくなるのです。
ただし、一番左端の打席は少し窮屈になりすぎてしまうので、左端から2番目、3番目あたりの打席がおすすめです。
8.打つ前の準備
打席に入ったらすぐにボールを打つのではなく、打つ前の準備をしましょう。ストレッチやクラブの握り方、スイングの確認をしておけば、空振りやミスショットが減って効果的な練習につながります。
ストレッチ
ゴルフのスイングは、かなり特殊な動きをしていて、普段使わない筋肉を使います。そのため、上半身や股関節、肩回りの筋肉をほぐすストレッチを入念に行うことで可動域が広くなり、スイングをスムーズに開始できるだけでなく、ケガの防止にも役立ちます。
クラブの両端を持って万歳(バンザイ)の体勢を作り、腰から上を左右に動かせば上半身や股関節周りの筋肉がほぐせます。また、体の正面でクラブを水平に持ち、左右の肩がアゴの下にくるまで交互に90度回せば肩周りのほぐしに効果的です。
クラブの握り方の確認
ゴルフを始めてすぐの頃は、クラブのすっぽ抜けが怖いのか、グリップを強めに握ってしまう傾向にあります。しかし、ゴルフクラブのグリップは、握るというよりは指で支える感覚で、手のヒラで握らず指で挟むように持ちましょう。
特に利き手(右利きの人なら右手)で強く握ると、リキんでしまって、体の回転を使わずに手だけで打つ「手打ち」の原因になります。
クラブの握り方について、詳しくは「ゴルフグリップの正しい握り方とは? 代表的な3つの握り方と手順、注意点を解説」をご覧ください。
スイングの確認
打席に入ると、すぐにボールを直接打ちたくなってしまうものですが、まずはボールを打たずに「体の回転」を確認しましょう。この準備をしっかりとしておくことで、ミスショットが減り、効果的な練習につながります
止まったボールを打つゴルフでは、反射神経よりも、同じ動きを繰り返す「反復運動」が重要です。
そのため、器用に動く手先の筋肉を使うよりも、再現性の高い大きな筋肉(下半身や体幹)を使った「体の回転」で打つ方が安定したショットが打てるのです。
小さなスイングの準備
まずは、半分ほどの振り幅と力加減で打つハーフスイング。
ハーフスイングのポイントは、左腕を曲げないこと。両腕を前に伸ばしてショートアイアンの両端を持ち、すこし前傾して左腕を伸ばしたまま体を左右に回して振り子運動のようにクラブを振ってみてください。左腕を曲げないハーフスイングの感覚がつかめます。
大きなスイングの準備
続いてフルスイング。
フルスイングでは、体の中心に軸を作り、その軸をキープしたままの回転がポイントです。
クラブのグリップを指でつかんで顔の前から体の中心に垂らし、頭の位置がクラブの上にくる姿勢を変えずに体を回します。右に捻ったときは左手で、左に捻ったときは右手でクラブをつかめば感覚がつかみやすくなります。
手打ち防止の練習
手打ち防止の練習には、クラブを持たずに手をクロスした素振りが効果的。両腕を伸ばして手の甲部分を重ねたまま素振りをすると、手元部分が固定されて手打ちの癖がつきにくくなります。
9.7番アイアンで当てる練習
準備が整ったら実際にボールを打ってみましょう。初心者のうちは7番アイアンでの練習がおすすめです。最初はティアップした方がボールに当たりやすく、ボールも上がりやすくなります。
ゴムティならアイアン用の一番短いティを、自動ティアップ方式ならボールがマットから少し浮く程度にセットします。
なぜ7番アイアンがいいのか?
7番アイアンは、ドライバーからウェッジまでのクラブのなかで長さが中間に当たるため、スイングの基礎が作りやすいです。
そのため、まずは7番アイアンを使って練習することをおすすめしますが、長すぎて当たらない、球がゴロしか出ないなど、思うように上手く打てなければ、8、9番アイアンなど短めのクラブから試してみてください。
初心者が最初に練習するべき番手について、詳しくは「初心者が最初に練習する番手は、結局、何番アイアンがおすすめなの?」をご覧ください。
最初はフルショットはしない(まずは「8時 - 4時」の振り幅をマスター)
スイングの確認と同様に、最初はフルショットではなく、小さなスイングから練習を始めます。
具体的には時計の「8時 - 4時」の振り幅から始めましょう。足幅は靴1足分広げる程度。この練習によって、手首を曲げずに、肩と腕で作る3角形を崩さないように、体の回転で打つ感覚がつかめます。
「8時 - 4時」で安定して打てるようになったら、次は足幅を靴2足分まで広げて「9時 - 3時」の振り幅にします。手元が腰の高さに来たときに、クラブが地面と垂直になるように軽く手首を曲げてみましょう。これで80ヤード飛ばせたら、いよいよフルショットの練習です。
フルショットでは、足幅は靴3足分。手元を頭の高さ(トップ)まで上げてスイングします。スイング中は、体の回転の軸がブレないように注意してください。スイングの打ち終わり(フィニッシュ)では体の向きは目標方向を向き、その際に頭の位置が左足の上にあればOKです。
なお、振り幅はフルで良いのですが、力加減は80%程度から始めた方が、ボールによく当たります。
10.ドライバー練習に効果的なドリル
ドライバーは一番長く一番難しいクラブです。ドライバーも最初からボールを直接打つのではなく、ボールを乗せずに、ティだけを打って感覚をつかみましょう。
打点を安定させるためには、往復素振りが効果的。
最初は「8時 - 4時」の振り幅から始めて、往も復もティに当てる方法です。「8時 - 4時」の振り幅が安定してきたら「9時 - 3時」、そして最後はフルショットと、こちらも段階を踏んだ練習をすることが重要です。
11.まとめ
「打ちっぱなし」は、ゴルフボールを実際に打てるゴルフ練習場のことです。特に初心者のうちは、ボールを当てることに慣れるためにも、安定したスイングを作るためにも、ゴルフ練習場での集中練習は欠かせません。
練習を効率よく行うためにも、ぜひ本記事を参考にしてみてください。