ワークマンゴルフは原価率65%! 儲けてはいけない社風で大ヒット「24年のイチオシは腰痛改善パンツと冷却ベスト」
ゴルフアパレル市場でも存在感を高めているワークマンが、2月18日に春夏新製品発表会を東京国際フォーラムで開催した。
配信日時:2024年2月20日 02時29分
ゴルフアパレル市場でも存在感を高めているワークマン。2月18日には春夏新製品発表会を東京国際フォーラムで開催。今年のゴルフ部門のイチオシアイテムや今後の展望について同社の専務取締役であり、ワークマンプラスを大ヒットさせた土屋哲雄氏に話を聞いた。
2022年からゴルフ市場に参入したワークマン。3年目を迎えた現状について同社のヒットメーカーである土屋哲雄専務取締役はどのように分析しているのだろうか?
――3年目を迎えたゴルフ部門の現状はいかがでしょうか
「すごく順調です。当社の新部門でも1番伸びる可能性があるのがゴルフだと思っています。今、売上げとしては40〜50億くらいでシェアとしては5%前後。どの業界でもシェアが5%あれば生き残っていけると言われていますので、すごく満足しています。でも、全然、儲かってはいませんよ(笑)」
――40億円以上の売上げがあるのに儲かっていないというのは?
「ワークマンは儲けてはいけない会社なんです。基本的に原価率は65%。ゴルフのパンツも1900円とか2500円とか、ポロシャツだと980円とかです。会社の社風として儲けが出ないようにしています。儲けが出てしまうと他社が参入して競争になってしまう。だから、競争にならないようにしているんです」
――ワークマンゴルフがヒットした要因はどこにあったと思いますか?
「ワークマンは職人のための作業着を作ってきたのですが、作業着とゴルフウェアは共通点が多かった。例えばストレッチ性能が高いこと、肩や腰の動きに対してストレスがないこと、雨や風に強いこと、そもそも屋外で長時間着るウェアであるということがまったく同じでした。私の友人のゴルファーも『もう、ワークマンで十分だよ』という人が増えましたね。私が「十分」とか言ってはいけないのですが(笑)。それと、ゴルファーの方が意外とワークマンに対して抵抗がなかったというか、好意的でした。あまり大きな声では言えませんが、もっと抵抗があるのかと思っていました」
――今年のイチオシアイテムは何ですか?
「今年のワークマン全体のテーマの一つが腰痛対策です。実は職人の世界でも高齢化が進んでいて、腰痛に悩んで引退してしまう人が多い。労働寿命を伸ばすためにも、腰痛対策が必要でした。今年の新商品として発売する『Xブースターシリーズ』のパンツは骨盤をサポートするベルトがついていることで腰の負担を軽減しながら、姿勢を矯正してくれます。履いてみるとわかりますが、サポーターが腰を持ち上げてくれるので本当にラクです。このサポーターは大手医療メーカーと一緒に開発しました。企画にも開発にも時間をかけましたが、価格はチノパンタイプで1900円。腰痛に悩んでいるゴルファーには最適だと思います」
――今回の発表会では新しい『ペルチェベスト』が話題でした
「ありがとうございます。これは2023年に3か月で3万着が完売して日経優秀製品・サービス賞にも選んでいただきました。ワークマンのヒット商品としては異例の1万9800円です。『ペルチェベスト』を分かりやすく説明すると“冷暖房付き”のベスト。昨年のモデルは背中の1箇所にペルチェ素子がついていて、体を冷やすこともできるし、暖めることもできます。昨年は猛暑の影響もあって、夏の時点で完売しました。今年は東北大学病院にも監修してもらい、ペルチェ素子のアルミ板を1箇所から3箇所に増やして、さらに性能がアップしました。冷却に関しては昨年のモデルが10度までだったところを2度まで下げることができました。温熱は43度を49度まで上げました。それでも値段はすえおきの1万9800円です。昨年は冷却のニーズが高かったので冷却専用タイプも1万7800円で発売します」
――ゴルファーのインナーベストとしても良さそうですね
「間違いないと思います。元々は、夏の炎天下に外で長時間作業をする方に向けた商品ですが、ベストの上に薄いアウターを羽織れば完全に隠れてしまいます。ビジネスマンだとスーツやジャケットの下に着ている人も多いです。真夏のゴルフにも耐えられる性能ですし、今年は昨年の2倍になる6万着の販売を見込んでいます。このベストはスイング中の動きも邪魔しないと思います」
腰痛に悩んでいるゴルファーは多いし、今年の夏も炎天下になることが予想される。今年のワークマンは、さらにゴルフ市場でのシェアを伸ばしていきそうだ。
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