ゴルファーに迫る恐怖!「1年中紫外線を浴びている目は、長年の蓄積により病気の発症が早まる」
目は外部に向き出しになっている臓器。紫外線の影響を日々受けている!
配信日時:2024年7月4日 03時45分
UVカットウェアにクリーム、日傘……多くのゴルファーは紫外線予防に余念がありませんが、「目」への対策を忘れてはいませんか? 目は、外部にむき出しになっている唯一の臓器。紫外線の影響を日々、直接受けています。
ホールアウト後、紫外線による急性症状で目が充血していても「寝不足ですよ。紫外線はサングラスで防御しました」といって済ませていませんか? 紫外線は上空だけでなく、サングラスの隙間やさまざまな角度から散乱して目に入り込んできます。では、紫外線を浴び続けると目にどんな症状が起きるのでしょうか。
紫外線は春から秋にかけて皮膚にダメージを与えることで知られていますが、実は、目は1年中降り注ぐ紫外線の影響を受けています。「目に当たった紫外線は角膜(黒目) で吸収されます。吸収されなかった紫外線の一部は、水晶体(目の中のレンズ)や網膜(一番奥にある薄い膜)などへ入り、目の健康に影響を及ぼすことがあります」と説明するのは、金沢医科大学眼科学の佐々木洋教授。
「紫外線の影響による目の障害には、急性のものと慢性のものとがあります。前者で代表的なのは、“結膜充血” や“紫外線角膜炎(雪目炎)”です。これらは海や山、スキー場などへ屋外レジャーに出かけたとき、紫外線を目に浴びることで起こる場合が大半です」
ラウンドしたあと日焼けのように目が赤くなる急性の症状は、多くのゴルファーが経験しているでしょう。短時間で回復するとはいえ、頻繁に繰り返しているとダメージが蓄積して慢性的な障害につながるといいます。
「慢性障害は主に4つあり、最も多いのが“瞼裂斑(けんれつはん)”です。進行すると“翼状片(よくじょうへん)”になり、手術が必要になることもあります。そのほかの症状として “老眼(老視)” “白内障”があります。老眼は、水晶体が硬くなってピントが調整しにくくなる症状で、白内障の前段階でもあり、さらに水晶体が硬く白く濁った状態になるのが白内障です。強い紫外線を長期間浴びたり気温が高いところで長時間過ごしたりすると、水晶体の温度も上昇してたんぱく質が変質し、早いうちに老眼や白内障を生じやすいことが分かっています」
コースに出るたび全身に紫外線を浴びているゴルファーは、このような目の病気を発症するリスクが高いのです。また、老眼も白内障も、より多くの紫外線を浴びることで発症が早まります。手軽な紫外線対策として有効なのは、サングラスなどの眼鏡系アイテムと帽子。しっかり対策をして、長くゴルフを楽しんでください。
解説・佐々木洋 金沢医科大学医学部眼科学講座 教授
自治医科大学、米国オークランド大学眼研究所を経て、1996年金沢医科大学眼科へ移籍。2005年から現職。国内外で紫外線関連眼疾患の疫学調査を行い、白内障の臨床、疫学、基礎研究において日本をリードしている。これまでに行った白内障手術は4万件以上。特定非営利活動法人 紫外線から眼を守るEyes Arc理事長。
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