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    ゴルフのスタート時間、8分間隔は短い? プロの試合は10分間隔なのに…

    そもそもゴルフのスタート時間の間隔は何であんなに短いの? 後ろから急かされているようで嫌だ。最近そんな声をよく聞きます。今回は、スタート時間の間隔について考えてみたいと思います。

    配信日時:2023年8月22日 02時02分

    • ゴルフライフ
    現在の国内ゴルフトーナメントでは、多くの場合10分間隔のスタート時間が採用されている
    現在の国内ゴルフトーナメントでは、多くの場合10分間隔のスタート時間が採用されている (撮影:ALBA)
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    「後の組に急かされず、ゆっくりプレーしたい」という相談を時々受けます。ほとんどの場合、ゴルフ歴が浅い無邪気な人の希望だったりします。「うーん。難しいかなぁ」と、曖昧な感じでやんわりと否定するしかありません。

    多くのゴルフコースで採用している8分間隔のスタート時間を考えてみます。4人だとしたら、1人2分で打てば良い、と考えている人が意外に多いのですが、それは大間違い。

    8分後に後ろの組がスタートできなければダメなのです。つまり4人が第1打目を打ち、ボールのところに行ってそれぞれが2打目を打って、後ろの組の射程距離より前に出るまでを8分で済ませるのです。1人2分だとしても、移動時間などを含めばまず自分の持ち時間は1回のストロークに30秒もないと考えるべきですし、何打も打つ場合は尚更。ましてや、ボール探しに3分間を費やすなんていうのは物理的に不可能。時間を優先すれば、早々にボールは諦め前進4打を採用、ひたすら前に突き進むしかありません。

    国内のプロの試合は基本的に、3人1組で10分間隔のスタート(一部の試合では2人1組で8分間隔もあり)。上手いプロがアマチュアより余裕があるのはおかしいのでは? という疑問もごもっともです。プロの場合は歩きのプレーであり、毎ショットの情報収集量がアマチュアの何倍にもなるから時間がかかる、という分析もありますが、調べてみると、最初に女子プロの試合で10分間隔が採用されたのがきっかけとなって広まったとする説が有力。記録の残る範囲ですが、2003年頃までは、プロの試合でも7分や9分間隔が普通でしたが、その後徐々に10分間隔が採用されるようになって現在に至ります。

    これは、宮里藍や石川遼など、人気プロの出現により、ゴルフ場にゴルフをしない(知らない)大勢のギャラリーが押し寄せたときに、00分、10分、20分など切りが良いスタート時間にしないと混乱するケースがあって、10分間隔にすることが定着したということです。つまり、分かりやすくするためのギャラリーサービスなのです。(確かに、8分間隔だと8時8分、16分、24分となってちょっと切りが悪いかも?)

    実際に観察をしてみると、多くのゴルフコースでちゃんとスタート時間通りに進行しています。考えるよりも慣れろというまでもなく、4人1組が多くとも、8分間隔で問題なく進行するようです。高速道路のように大事故があったり、スピードが出せないトラックの集団がいたりすれば、追い越しができないから渋滞になってしまうのはゴルフコースも同じこと。渋滞の原因になってしまった人はその経験を活かし、次はスムーズに回れるように頑張るという繰り返しなのです。

    昭和の頃、歩きのゴルフだったのにスタート間隔は6分が普通でした。
    ゴルフの聖地のセントアンドリューズが、1900年代初頭に6分間隔のスタートだったので、それを真似たという説を含め、6分間隔が定着した理由には諸説あります。6分間隔でほとんどが4人1組。渋滞が出ることは、今よりも少し多かった印象はありますが、それでも問題なく進行していたのです。理由は“どうやったら早くプレーできるか”ということに精通したキャディがすべての組にいたからです。

    セルフのカートプレーが当たり前になっていく中でスタート時間が7分間隔か、8分間になったのです。現在では、2人の組が多いコースは7分間隔を採用していて、4人1組が多いコースほど8分間隔になっていき、プロの試合と同じ10分間隔のコースもあります。

    ゴルフは、行列のように数珠なりになってプレーしていくのが世界共通のスタイル。とにかく前の組に離れずに着いていくことを目標のひとつにして達成し続けることが、賢いゴルファーの昔からのハウツーです。ゴルフが上手いと思わせる要素で不可欠なのは、迅速なペースでゴルフができること。昔のキャディのように、さり気なく組全体のペースを作れる人がリスペクトされるのは自然の流れでもあります。

    後ろの組に急かされず、ゆっくりプレーすることはゴルフコースのシステムやスタート間隔の問題ではなく、実は自分たちが迅速なプレーを身に付けることで、必ず当たり前にできるようになります。「それもゴルフの面白さのひとつ」。そう言えるゴルファーを目指すのが正解ではないでしょうか。

    (取材/文・篠原嗣典)

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