ゴルフは11のルールを覚えておけば大丈夫! 初心者に分かりづらいルールをQ&Aで解説
ゴルフのルールは独特かつ複雑で、始めたばかりの頃は聞き慣れないものが多く、戸惑うことも少なくありません。時には同伴プレーヤーからルールについて指摘されて、嫌な思いをすることもあるでしょう。今回は、初心者が覚えておくと安心なゴルフルールを、状況別にまとめました。ラウンドで遭遇する分かりにくいケースは、Q&A形式で解説していきます。
配信日時:2024年3月21日 09時08分
1.初心者も覚えておくべき11のゴルフルール
ゴルフを始めて、いざラウンドに行こうとなった時に、ハードルのひとつとなるのが「ルール」を覚えることです。
ゴルフでは、ティイングエリアやフェアウェイ、グリーンなど、エリア別に細かなルールがあり、池やOB(アウト・オブ・バウンズ)などに打ち込んだ際の救済措置や違反をした際の罰則が決められています。慣れないうちは、同伴プレーヤーから指摘を受けて、戸惑うこともあるかもしれませんが、最低限のルールを覚えておけば、ラウンドでも慌てることなく、楽しむことができます。
少し多いと思うかもしれませんが、ここでは以下の11個のルールを状況別に紹介します。
【1】ティの色を守る
【2】所定の範囲内から打つ
【3】OBに入ったかもしれないときは1打加えて打ち直す
【4】OBに入ったら1打加えてその場から打ち直す
【5】カート道の上にあるボールは動かして打つ
【6】どうしても打てない場所にあるときは1打加えて動かす
【7】池に入ったらいずれかの方法で1打加えて打ち直す
【8】打つ前に砂にクラブをつけてはいけない
【9】2打加えてバンカーの外からも打てる
【10】マークしてからボールを拾い上げる
【11】隣のグリーンに乗ったら外に動かす
ティイングエリアでの3つの基本ルール
まずは各ホールの第1打を打つスタート地点である「ティイングエリア」にまつわるルールです。ゴルフ場の中で唯一、自分の好きな位置にボールを置けるエリアになりますので、ルールを理解して、ラウンドを有利に運びましょう。
【1】ティの色を守る
最初に決定したティマーカーは、最終ホールまで同じ色のものを使用しなければいけません。
ゴルフ場では、性別や年齢、ゴルフのレベルに合わせて、さまざまな色の「ティマーカー」が設置され、スタート前であれば基本的に好きなものを使用することが可能です。(※最も距離の長いバックティはハンディキャップ制限など、使用に条件がある場合があります)
例えば、「1番から5番ホールまではレギュラーティ(白ティ)を使用したが、池越えのホールだけ距離の短いレディスティ(赤ティ)に変える」といったことはできません。ルール上、スタート時と違うティからのプレーは、「ティイングエリアの外」から打ったと見なされるためです。このケースでは2打のペナルティが科せられ、正しいティイングエリアから打ち直した上でプレーを再開しなければいけません。
【2】所定の範囲から打つ
ティイングエリアでは、2つのティマーカーを結んだ線の幅の中であれば、2クラブレングス(ドライバー2本分)まで後方に下がった範囲の中でボールを打つことがルールで決められています。2つのティマーカーを基準にした四角形をイメージすると分かりやすいでしょう。
この範囲の外からボールを打つと「ティイングエリアの外」から打ったと見なされますので注意してください。ただし、ボールだけがこの範囲の中にある、もしくは一部が触れていればOKで、スタンス(足元)は範囲の外でも違反にはなりません。
上級者になるとショットの距離調整などを理由に、あえて後方に下がってショットを打つこともありますが、最初の内は、「2つのティマークの間で、ティマークより前に出ない位置からボールを打つ」くらいに覚えておきましょう。
【3】OBに入ったかもしれないときは1打を加えて打ち直す
ゴルフ場の各ホールでは、プレーできる区域が決まっており、その外にあるプレー不可の区域を「OB(アウト・オブ・バウンズ)」と呼びます。ティショットしたボールがOBに入った場合、基本的には1打のペナルティを追加した上で、3打目としてショットを打ち直しましょう。
OBの位置は白杭で示されており、ティイングエリアから見えることもあるものの、林の中などに白杭がある場合、ボールがOBに入ったかどうかティイングエリアから確認できないこともあります。
OBかどうか微妙なときも「暫定球を打ちます」と宣言して、3打目を打ってからボールを探しに行きましょう。もし、ボールがOBに入っていなければ無罰で1球目に打ったボールをプレー、OBに入っていた場合は、暫定球を4打目としてプレーします。なお、暫定球を打つ場合は、「1球目は1番、暫定球は2番です」といった具合に、それぞれのボールのナンバーや銘柄を同伴プレーヤーに伝えておくのがおすすめです。
初心者はプレイング4の活用がおすすめ
ちなみに、ゴルフ場によっては、「プレイング4」という特設ティが設置されている場合があります。これはプレーの進行を円滑にするためにゴルフ場が独自に設定する「ローカルルール」で、ティショットがOBの時に、打ち直しをすることなく前に進み、特設ティから4打目のショットをプレーできるというものです。競技で使用することはできませんが、プライベートラウンドでの使用は問題ありませんので、ティショットに不安がある時は、積極的に活用しましょう。
また、2019年に施行されたゴルフルールでは、ボールを紛失した場所の近くから2打罰を払うことでプレーを再開できるローカルルールを採用することが可能になりました。プライベートラウンドであれば、同伴者の許可を取った上でこのルールを使ってみても良いかもしれません。
2打目以降の4つの基本ルール
ティショットを打ち終えた後、ボールは「インプレー」の状態となり、基本的にあるがままの状態でプレーを続けなければいけません。ただし、カート道路や池など、プレー続行が難しくなる状況もあるため、罰打や救済措置をしっかり覚えておくと安心です。
【4】OBに入ったら1打を加えてその場から打ち直す
2打目以降にOBに打ち込んでしまった場合は、同じ地点に新しいボールをドロップ(ヒザの高さからボールを落とす)し、1罰打を加えた上でショットを打ち直します。ティショットと同じく、OBに入ったかどうか確認できない場合は、暫定球を打った上でプレーを続行しましょう。
余談ですが、2打目以降のOBでは、「プレイング4」の特設ティを使用することはできません。あくまでもティショットのOBに対する救済措置になりますので、注意しましょう。
【5】カート道の上にあるボールは動かして打つ
ゴルフカートを導入しているゴルフ場では、ホール内にコンクリートのカート道が設けられています。このカート道にボールが止まった場合、無罰でボールを外にドロップして、プレーを続けることができます。
この救済ではまず、ボールが止まった地点に最も近い「ニヤレストポイント」を決めます。ニヤレストポイントは、ボールが元々あった場所から、ホールに近づかず、カート道にアドレスやボールがかからない場所のことを指しています。そこにドロップを行い、ニヤレストポイントから1レングス以内にボールが止まればOK。そこからプレーを再開します。
カート道からの救済方法については、「カート道に止まったボールは救済を受けられる! 正しい救済方法とポイントを解説」で詳細に解説していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
【6】どうしても打てない場所にあるときは1打を加えて動かすことができる
ラウンドをしていると、打ったボールが木の根元や深い茂みの中に入ってしまうことがあります。そのままだとボールを打てない状況では「アンプレヤブル」を宣言し、1罰打を加えることで、ボールを別の位置に動かしてプレーすることができます。
アンプレヤブルでは、以下の3つから好きな方法を選んで、ボールを動かすことが可能です。
(1)1罰打を加えて、今のボール位置から2クラブレングス以内でホールに近づかない位置にドロップ
(2)1罰打を加えて、ピンとボールを結んだ後方線上に下がってドロップ
(3)1罰打を加えて、元の位置に戻って打ち直し
アンプレヤブルの処置については、「切り株や木の根の近くにボールがあるとき救済を受けられる? 対処法と同伴者への声のかけ方を紹介」で詳細に解説していますので、気になった方はこちらの記事もチェックしてみてください。
【7】池に入ったらいずれかの方法で1打を加えて打ち直す
ゴルフ場の中には無数の池があり、それらは「ペナルティエリア」と呼ばれます。もし浅瀬でボールが見えている場合などは、ペナルティなしで打つことも可能ですが、基本的にはルールに則り、1罰打を加えた上でボールをドロップしてプレーを続けます。
ペナルティエリアには、黄杭と赤杭で示される2種類の池があり、それぞれ処置の方法が異なります。
まず黄杭の池は、かつて「ウォーターハザード」と呼ばれたエリアで、以下の2つの処置を選ぶことができます。基本的に池の前方に出ることはできず、後方にボールをドロップして打ち直す形になります。
(1)1罰打を加えて、元の場所に戻って打ち直す
(2)1罰打を加えて、ボールが境界を越えた地点とピンを結んだ後方線上にドロップ(※線上であれば、下がる距離に制限はなし)
一方で、赤杭は「ラテラルウォーターハザード」と呼ばれたエリアで、川のようにホールと並行して流れている池を指しています。基本的には黄杭と同じ処置が可能ですが、細長い形状を加味した追加の措置を選ぶことも可能です。
(1)1罰打を加えて、元の場所に戻って打ち直す
(2)1罰打を加えて、ボールが境界を越えた地点とピンを結んだ後方線上にドロップ(※線上であれば、下がる距離に制限はなし)
(3)1罰打を加えて、ボールが境界を越えた地点から2クラブレングス以内で、ホールに近づかない位置にドロップ
ペナルティエリアの処置に関しては、「【2023年ゴルフルール改正】後方線上の救済エリアが「どの方向にも1クラブレングス」に広がった」で詳細に解説していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
バンカーに関する2つのルール
フェアウェイやグリーン周りに点在する「バンカー」には、芝の上とは違った特殊なルールが存在します。脱出するだけでも難しいバンカーですが、ちょっとしたミスで、大きなペナルティを払わなければならないケースもありますので、ルールをしっかりチェックしておきましょう。
【8】打つ前に砂にクラブをつけてはいけない
芝の上であれば、ボールのすぐ後ろにヘッドを置いて構えることができますが、バンカーでは砂にヘッドが触れると2打のペナルティです。
バンカーは砂地からプレーするための能力をテストするために作られた特別な区域で、ストロークのために砂の状態をチェックすることを禁止しています。ちなみにレーキなどを使い、コースの保護のためにバンカーをならすことは無罰とされていますが、ショット前にこれを行うと砂の状態をテストしていると受け取られる可能性があり、クラブと同様に2罰打を科される可能性があるので注意しましょう。
ちなみにバンカー内にある落ち葉や枝など、ゴルフコース上に存在する自然物(ルースインペディメント)は取り除くことが可能です。
【9】2打を加えてバンカーの外からも打てる
2019年のルール改正により、アンプレヤブルを宣言することで、ピンとボールを結んだ後方線上で「バンカーの外」にドロップができるようになりました。ただし、2罰打を加算する必要がありますので、使うべきかどうかの判断が重要となります。
バンカーは練習する環境が決して多いとは言えないため、ラウンドで初めて打つことになる可能性もあるでしょう。慣れないうちは2打で脱出できないこともあるため、もし打ち込んでしまったら、ルールを活用して脱出するのも有効な手かもしれません。
グリーンに関する2つのルール
同じ芝でも、パッティングを行う「グリーン」は、ボールをコロがしてプレーするために作られた特別なエリアです。フェアウェイなどでは許されない「ボールを拭く」ことなどが可能になります。
【10】マークしてボールを拾い上げる
グリーン上では、カップインした場合を除き、ボールをマークしてから拾い上げなければいけません。この時、タオルなどを使って、汚れを落とすことが可能です。
マークは、カップとボールを結んだ後方線上で、ボールのすぐ後ろに置くのが基本です。コインなど円形上のものであればOKで、用意がない場合はコースに常備してあるプラスチック製のマークを活用するとよいでしょう。自分のプレーの順番が来たら、マークを目印にボールを元の位置に戻し、マークを取り除いてからストロークしてください。
具体的な使い方は「ゴルフマーカーの正しい使い方を解説! 必要な理由や代表的な4種類も紹介」で解説していますのでご覧ください。
【11】隣のグリーンに乗ったら外に動かす
ゴルフ場によっては、ホールごとに2つのグリーンを用意している場合があります。その内の1つが本グリーンになり、もう1つはその日に使用しない「目的外のグリーン」となります。ラウンドをしていると、ボールを曲げて、その目的外のグリーンに乗せてしまうケースがあります。基本的に目的外のグリーンからボールをプレーすることは禁止されていますので、無罰で救済エリアにドロップしなければいけません。
ちなみにボールがグリーン上に乗った場合だけでなく、ショットをする際にスタンス(足元)がグリーンにかかる場合も、同じく救済を受けなければいけないので注意が必要です。(誤所からのプレーでペナルティを科される可能性があります)
救済では、スタンスを含め、目的外のグリーンの外にあるニヤレストポイントを決め、そこから1レングス以内で、ホールに近付かない位置にドロップします。グリーンの中央付近にボールが止まった場合などは、グリーンのどちら側にニヤレストポイントを決めるのか判断が難しくなるケースもあるため、同伴プレーヤーなどに確認して、ドロップする地点を決めましょう。
2.こんなときはどうすれば? ルールのQ&A
最後はラウンド中に遭遇しがちな特殊な状況でのゴルフルールについて、Q&A形式で解説していきます。事前にチェックしておけば、ラウンドで慌てずに済みますよ。
Q1 空振りしたときはカウントされるの?
A1 無罰です。
基本的にペナルティはありません。ただし、空振りでもショットを打つためにスイングしたと見なされるため、1打を加算する必要があります。つまり、空振り後のスイングでボールを飛ばせた場合、空振りの1打+ボールを飛ばした1打で2打を加算するのが正しい処置です。
Q2 触れていないのにティからボールが落ちたらどうする?
A2 無罰です。
まだボールをプレーする前になりますので、無罰でティアップし直して、ショットすることができます。
Q3 あると思ったボールがないときはどこから打てばいい?
A3 2罰打を加えた上で打ち直し
このケースでは、ロストボールになる前の状況によって処置が変わってきます。前のショットを打った時にロストボールになる可能性を感じて、暫定球を打っていたなら、2罰打を加えた上で暫定球を使ってプレーを続行すればOKです。
一方で、暫定球を打っていなかった場合、前のショットを打った地点に戻って、ボールを打ち直すのが正しい処置になります。ただし、この処置を通常のラウンドで行うとプレーの遅延につながり、コース全体の進行に大きな影響を及ぼす可能性があります。プライベートのラウンドであれば、ローカルルールを使い、ボールを紛失した場所の近くから2罰打を加算して打つという処置をしても良いでしょう。もちろん、ティショットをロストボールした場合で、そのホールに「プレイング4」が設置されているなら、特設ティから4打目としてプレーを続けても大丈夫です。
Q4 グリーンの上にある他の人のボールに当たってしまったときはどうすればいい?
A4 2罰打を加えてボールが止まった位置からプレー
グリーン上で止まっている他の人のボールに、自分のボールを当ててしまった場合は、2罰打を加えて、ボールが止まったところからプレーを続けなければいけません。動かされたボールは無罰で元の位置に戻すことができます。
こういった事態を防ぐ意味で、グリーンにボールが乗ったら必ずマークを行い、プレーの順番が来るまではボールを置かないようにしましょう。
Q5 同伴者からマークを動かしてって言われたらどうすればいい?
A5 木など動かない目印を基準にしてマーク位置をズラす
グリーン上のプレーでは、ボールをコロがすライン上にマークがある場合に、同伴プレーヤーから「マークを動かしてほしい」とお願いされる場合があります。そのときは、グリーンの外にある木や看板など、動かない目印を探し、その目印とマークを結んだ線上にパターヘッドを置いて、そのパターヘッドの幅の分だけマークをズラします。
この処置を行ったときは、自分がストロークする前にマークを元の位置に必ず戻してください。慣れていないとうっかり忘れて、マークをズラしたままボールを戻し、ストロークしてしまうことも少なくありません。誤所からのプレーになりますので、2罰打を加えた上で、正しい位置からプレーし直す必要があります。
おすすめなのは、マークをズラす際に、裏返して置くことです。いつもとマークの見え方が違っていれば、ボールを置く前にマークをズラしたことに気づきやすくなりますよ。
3.まとめ
ここまで初心者が知っておくと安心なゴルフルールについて解説してきました。中には珍しいケースで、自分には起こらないだろうと感じるものもあるかもしれません。しかし実際のラウンドでは予想外の事態に見舞われることが意外に多く、対処が分からないと慌ててしまうことがあります。そんなときにルールをしっかり把握していれば、冷静に対処できれば、続くショットの成功率もグンと上がります。ぜひ、本記事をチェックして、ラウンドをより楽しいものにしてください。