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    おやじゴルフニュース「わりと使い勝手がいいかも…2グリーン見直し論」

    ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。

    配信日時:2024年7月2日 02時15分

    • ゴルフライフ
    イラスト・とがしやすたか
    イラスト・とがしやすたか
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    ちょっと前の話ですが、某コースで2グリーンを1グリーンにする計画が立ち上がりました。それから理事会等でいろいろ検討したのですが、最終的には1グリーン化計画を持ち越したというのです。それはどういうことでしょうか。今、日本が置かれているゴルフ環境などを見ながら、考察してみます。

    グリーン上で「同伴者のスカートの中が見えそう! こんなとき、どうする?」

    まず日本独自の2グリーンですが、もともと英国で生まれたゴルフは1グリーンでした。しかし、日本の夏は高温多湿で物凄く暑い。涼しい気候を好むベントグリーンは、暑さにやられてもたないんじゃないか。そういう意見が出され、暑さに強い夏用のコーライグリーンを併用することに。そういう考えはすでに1930年代からあり、戦後の高度成長期まで2グリーンにするのが一般的でした。

    それから高度経済成長、バブル経済を経て、ベントグリーンを品種改良し、暑さに強くなった芝が登場します。じゃ今までの2グリーンを、本来のベントのワングリーンに戻そうという動きが起きました。

    個人的な体験でいうと、1990年過ぎに入会した千葉の南総CCは、もともと2グリーンだったのを1グリーンに改造したものでした。それが2つのグリーンを単純に足したデザインが多く、グリーンがバカでかい。だからグリーンに乗っても3パットが続出、大変でした。

    グリーンがでかいと、カラー手前のフェアウェイから35ヤードを寄せるショットなんてざらにありました。これはパターで打つべきか、ウェッジで転がすべきか、いつも悩んでいました。

    その後、2グリーンの鶴舞CCに入会し、今も2グリーンの扶桑CCのメンバーになっていて楽しいクラブライフを送っています。

    個人的には2グリーン大好き派です。じゃ2グリーンの何がよろしいのか? まず言えることはこれです。

    1)2倍楽しめる
    鶴舞CCなんか36ホールありますからね。それで2グリーンじゃないですか。結果72ホールあるってことで、いつ行ってもコースが新鮮に感じました。結果、なかなかコースレイアウトを覚えられませんでしたけどね。

    鶴舞CCを設計した名匠・井上誠一は多くの2グリーンのコースを作っています。彼は英国やアメリカで、名門コースの視察旅行をしており、本来は1グリーンであるべきことを充分知っていました。

    けど当時の日本の暑い夏を考えると、2グリーン止むなしと思ったのです。


    井上誠一が2グリーンのコースを設計したのならと、ほかの設計家も続々2グリーンを設計することになります。それが昭和20~50年代です。

    井上誠一は2グリーンにするとき、必ずグリーンの間を窪みにして、寄せにくい設計にしていました。しかも砲台の受けグリーンにして難しくする。そういう小さいグリーンが、日本のコースのスタンダードになったのです。

    2)管理が楽である
    最近のゴルフ場はセルフプレーが多いです。そうなるとグリーンのピッチマークを直してくれるキャディさんがいない。プレーヤーの自助努力だけでは、グリーンの修復再生に限界が生じます。だからグリーンの痛みが激しくなります。

    しかし、2グリーンだと、片方を休ませることが出来るので、メンテナンス的には凄く楽です。


    人気のあるコースは、お客さんを詰め込みますから、朝4時半のアーリーバードに始まり、日没ゴメンという日暮れまで打たせるプランありで、1日14時間ぐらいグリーンを使うことに。そりゃ痛みますよ。

    2グリーンの場合は、1年の半分は休ませることが出来るわけですからね。


    3)2グリーンのベント化
    2グリーンが当たり前の状況から、1グリーンが本来のゴルフと教えてくれたのは、バブル華やかな時期に活躍した外国人設計家たちです。ロバート・トレント・ジョーンズJr、ピート・ダイ、デズモンド・ミュアヘッドなどがバブル景気の頃、日本のスポンサーに依頼されて、ベントの1グリーンのコースを続々作りました。

    そこで2グリーンのコースをベントのワングリーンに直す運動が始まりますが、現実はそう甘くない。グリーンの改造工事となると、コースをクローズしなきゃならない。莫大な工事費用にクローズした分の売り上げ減をどうするか? 超お金持ちのコース以外は出来なかったのです。

    というわけで、従来のベント&コーライの2グリーンを、せめて2ベントにする動きが出ます。高麗をベントにするだけなら、大規模な工事にならず、1シーズン我慢すれば、容易に出来たのです。

    だから鶴舞CCも2000年代に入り、コーライグリーンをベントに変えました。9ホールずつ張り替えて、足かけ4年ぐらいかかりましたかね。ちなみにですが井上誠一はベントとコーライグリーン、どっちに重きを置いていたと思います? 実はコーライグリーンをメイングリーンにしていることがあるんですよね。

    鶴舞CCもコーライグリーンのほうが、全長が長く難しかったのです。だからメインのコースレートを表示するときは、コーライグリーンのほうの数字を採用していました。

    というわけでバブル崩壊以降は、コースをクローズして1グリーン化するゴルフ場はほとんどありませんでした。結果的に2グリーンのほうが楽しくて、メンテが楽だから、そのままでいいと思いますよ。

    4)未来の2グリーンとは?
    そして令和になった現在、地球温暖化の影響で思わぬ状況が起きています。あまりに暑いので、関東の練習場の長めのアプローチコースですが、なんとバミューダ系のグリーンを採用したというのです。それって関東が南国化しているってことですよね。

    夏場のグリーンは鏡面効果により、もの凄く照り返しがきつく、軽く40度を越えてしまいます。だからいくら改良したベントグリーンでも、耐えられなくなるのではと言われています。

    こうなるとグリーンの芝をいろいろ試せる、2グリーンのほうが運営していく上で効率的だと思いませんか。現在、ホームコース扶桑CCは、ベントとコーライの2グリーンで運用しています。夏場の2か月をコーライで、冬場は状況を見てひと月コーライの場合もあるし、そのままベント使用というときもあります。

    ベントの速さがスティンプメーターで10フィート前後なのに、コーライだと7フィート前後、すげえ遅いとは思いますが、まあそれはご愛嬌で。沖縄で遅いコーライグリーンに慣れていますので、そんなに苦になりません。それよりも普段と違うレイアウトなので、新鮮に感じて面白いです。

    そして近い将来、酷暑を乗り切るためにグリーンの芝を変えることになるかもしれません。通常はサブのコーライをニューベントに変えるのですが、あまりにも気候が厳しいと、コーライを残してベントをバミューダに変えるなんてことが起きるかも。

    こればかり神のみぞ知るですね、静かに見守って行きたいと思います。

    ◇ ◇ ◇
     
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