いいパフォーマンスのためには休む勇気も必要【原田香里のゴルフ未来会議】
3月初めから11月末まで、試合がないのは1週しかない女子ツアー。ハードなスケジュールで戦い続けるには、いかに心身を休めるかが重要となる。
配信日時:2023年6月7日 02時30分
ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。早いものでもう6月。JLPGAツアーでは、来週のニチレイレディス終了後に、第1回リランキングが行われます。リランキングとは、シード選手以外のここまでの成績をポイントとして数値化し、その順位によってその後の試合の出場優先順位が決まるというものです。
シーズンを通して試合に出続けるために、選手たちはリランキング実施までにより多くのポイントを稼ごうと必死に頑張っているところです。一方、シード選手たちも、早いうちに結果を出して来年の出場権を手にしようと、開幕から戦い続けています。
JLPGAは長年目指してきた『世界基準』を実現させるため、より実力が反映される4日間大会を増やす方向で動いてきました。賛同してくださる主催者様も徐々に増え、今年は年間38試合のうちちょうど半分の19試合が4日間大会になっています。4日間大会が増えることで、そのぶん選手たちの心身への負担は、当然大きくなっています。
試合そのものは4日間でも、上位選手にはプロアマがあり、練習ラウンドをすれば1週間に6ラウンドすることになります。経験を積んだ選手なら練習ラウンドはスキップしたり、一日に9ホールずつ回ったりすることもできます。でもツアー参戦が最初の年の選手などは、初めてのコースや、知っていても試合のセッティングでは初めて、というような場合があり、練習ラウンドをみっちり行って備えることがほとんどです。アスリートとしての体力をつけているとはいえ、疲れてくるのも無理のない話です。
できるだけ長くツアーで戦うことを考えるのか、短期間に一気に結果を出そうと考えるのかは人それぞれです。どちらにしても、長い1年を戦い続けるためには、心身が健康でなければならないことに変わりはありません。身体的な健康も大切ですが、精神的な健康も同じくらい大切です。
若いうちは疲労からの回復も早いため、見過ごしがちですが、その辺りを考えてしっかりとコンディショニングをすることが、プロアスリートには必要なのです。
3月初めから11月末まで、試合がないのは1週しかないというスケジュールの中で、どうやってコンディションを整えるのでしょうか。試合に出続けながら、うまくそれができれば最高です。ただ、時には思い切って休息を取ることも考える必要があります。
プレーを楽しみにしてくださるファンの皆様、主催者様の前で、いいパフォーマンスをすることは選手の一番大切な仕事です。ただ、残念ながらすべての試合でそれができるわけではありません。コンスタントにいいパフォーマンスをするためにも、シーズン中でも心身、特に心をリセットする時間を作ることを私はお勧めしたいです。
出場義務試合数を始め、ツアーには様々な規定があります。ただ、その範囲内であればシード選手は、出場する試合を選ぶことができます。シード選手以外でもQT上位であれば、自分の心身と相談しながら、時には休む勇気を持ってほしいものです。
4日間大会が増えたことに加え、天候が日によって大きく変わることも多い今年の日本。試合会場というのは、選手たちの熱い気持ちに満ちている場所であり、パワーダウンしているときにはそこにいるだけで余計疲れてしまうこともあります。ですから、1週間でもそこから離れる決断が必要なこともあるのです。
若いうちは、長い目で自分の人生を考えるのはなかなか難しいものです。特にシーズンが始まってからは、目の前の1打に集中することで、毎日が飛ぶように過ぎていきます。そんな中で、心身を整えるのはなかなか大変ですが、それも仕事の一つなのです。そうしていいパフォーマンスをお見せして、みなさんに楽しんでいただく。それがツアーで戦うプロゴルファーの使命なのです。
原田香里のゴルフ未来会議