おやじゴルフニュース「ゴルフを誘ったり、誘われたりの関係を考える」
ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。
配信日時:2023年10月3日 02時00分
ゴルフのラウンドは基本的に友だちを誘ったり、誘われたりですよね。じゃどうすれば、そういう関係を築けるのか? 今一度、人づきあいも含めて考えたいと思います。
1)ホームコースに友だちを誘う
ゴルフの誘いで一番ポピュラーなのは、メンバーが友だちをホームコースに呼ぶケースです。2007年頃までは鶴舞CCのメンバーで、友だちを誘っていました。ラウンドしたいというリクエストも結構ありました。名匠・井上誠一設計ということで、興味のある人が多かったようです。
その後クラブを辞め、ホームコースなしの流浪の民となること約15年。その間は一度もゴルフを誘ったことがありません。だいたい誘うコースがないですから。そして昨年、扶桑CCのメンバーになり、また友だちを誘うこととなりました。さて令和時代の今、平成時代と誘い方に何か変化が起きたでしょうか?
それが結構あるのです。鶴舞CCでは2~3人を集め、わいわいラウンドをしていました。盛り上がって2組でラウンドしたこともあります。15年ぐらい前まで、多くのコースで1組最低3人以上でラウンドするルールがあり、ツーサムラウンドは珍しかったのです。
鶴舞CCにいたとき、3人でラウンドをしようとしたら、メンバーさんがひとり入って来たこともありました。それだけラウンドの需要があったってことです。
ところがゴルフ人口減少の現在、ツーサムの予約でも大丈夫なコースが増えました。だからホームページの予約欄に「ツーサム保証」のマークがつき、代わりに1000円程の割り増し料金を徴収する、こういうパターンが増えています。
ちなみに扶桑CCのメンバーは常時ツーサムラウンド可能、しかも乗用カートでコース乗り入れが出来るので、友だちをひとりだけ呼んで、ささ~っと回ることが多いです。
新しくゴルフに誘うタイミングですが、友だちと飲んだときやパーティで、こんな会話をします。「ホームコース買ったんですね」「ちょっと遠いけど、いいところだよ」「じゃ今度連れてってください」となります。
しかし、そこから話はなかなか先に進みません。単なる社交辞令なのか、本当に行きたいのか、よく分からないからです。
今はネット予約が出来るコースが沢山あります。うちのコースなんか、わざわざメンバーに頼らなくても行けるのにと思ったりして。
昔、若いお姉ちゃんに「ゴハンに連れてってください」とリクエストをされ、マジ受けして連絡してみるや、全然違っていた。サービストークを本気にして心が傷ついたので、未だ猜疑心が湧いてくるのです。アホかもう。
2)ゴルフ場に呼ばれる関係
ホームコースには月1回程度行くので、ほかのコースに行かないと年間30~40回程のラウンドスケジュールは埋まりません。
これが、タイミングよく呼ばれないのです。呼ばれるほうは、スケジュールを合わせなければいけない。そこがしんどいです。
平成時代の中頃、リーマンショック前までは景気がよくて「パーティ代込みで3万円のコンペ、明日来ないですか?」なんて言われて、ホイホイ行ったものです。なんで明日なのかと聞けば「欠員が出て、急に呼んで来れる人はあなたしかいない」と誉めてるのか、単に重宝しているだけなのか分からない、謎コメントを頂きました。
単発の誘いで、ラウンドスケジュールを組み立てるのはしんどいです。しかもいつでも呼んでとフットワークを軽くしていると、余計なコンペに呼ばれるし、気難しいキャラクターだと呼ばれないし、そのサジ加減が難しいです。
そこでコンスタントにゴルフをするべく、月に1回程開催するミニコンペに参加したことがあります。これならコンスタントにラウンド予定が出るので、計画を立てられます。
10年以上前ですかね。最初は和気あいあいでよかったのですが、途中からプレー代以外に、参加料を取るようになり、3000円ぐらい払って、謎のエナジードリンク2本頂くとかね。残りのお金は賞品代に回すというけど、どうみても割に合わない賞品で、もらっても全然嬉しくないものばかり。
最後は参加する人がどんどん若くなり、先住メンバーに挨拶をしない若者が増え、おっさんは居づらくなって辞めました。老兵は去りゆくのみです。
今参加しているミニコンペは、同世代の出版関係者の集まりで、順位は出るけど賞品なしの名誉だけ。参加代はプレーフィのみ。しかも、電車ゴルファー向けに、いつも遅いスタートを取るので凄く楽です。ほんと重宝させて頂いてます。
今後新しく知り合う人も、そんなに多くないと思うので、今の人間関係を大事して行きたいと思います。
3)令和の新しい繋がり
ゴルフのひとり予約が人気なのは、それだけ人間関係が煩わしいと思ってる人が多いからでしょう。ネット申し込みやひとり予約を使って、日本のゴルフ場を何コース回れるか、チャレンジしている人とSNSで繋がっています。会ったことはありませんが、ときどき「いいね!」を押しています。
今のゴルフって、ラウンドはひとりで参加。仲間はSNSで繋がり、応援コメントをもらう。そういうのもありだと思います。
あとSNSでラウンドメンバーを集める人がいますよね。「○月○日 ●●カントリーでひと組取りました。早いもの勝ちです」とかね。あれが出来る人は羨ましいなあ。個人的には、どんな人が来るんだろう、いざ行って浮いたらどうしようとかね。いろいろ考えるとしり込みしてしまいますけど。
マッチングアプリで知り合って結婚する世代は違和感がないんでしょう。マジ羨ましい。
4)つわものどもが夢の跡
自宅のリビングに、コンペのトロフィが何本か飾っているのですが、8割以上がすでに解散したコンペです。あるカップには名前入りのリボンが何本も巻かれてあって、その名前の人は今何をしてるんだろうか。皆目見当がつきません。ほんと長い間ゴルフをやって来たと思います。
知り合いで若者を入れずに、同世代だけでコンペを開催してる人がいました。皆さん70歳を越えて寄る年波には勝てず、ゴルフを引退したり、お亡くなりになったりと歯抜け状態となり、最後は解散してしまいました。それはそれで同世代コンペの美学を貫いたのだからよかったと思います。
そんなわけで35年もゴルフをやっていると、消えたコンペが多いことに愕然とします。その割に新しいコンペはさほど増えていないのが気がかりです。
これはコロナの影響で、大人数で集まってゴルフをしてはいけない風潮になってしまったようです。3年間のコンペブランクの後、自然消滅したケースが多いと聞きます。令和5年の今、ゴルフは社交というより、趣味としてマイペースにラウンドする。そういうとらえられ方をしているのでしょう。
とりあえずひとり予約や、ホームコースにふらりと行きつつ、新しいラウンドスタイルを模索したいと思います。
■プロフィール■
木村和久
きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
とがしやすたか
1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。
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