おやじゴルフニュース「男子ゴルフ復活計画を勝手に考えてみた」
ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。
配信日時:2024年9月17日 02時15分
今の松山英樹選手の大活躍を見るにつけ、日本の男子ゴルフ界は松山選手に頼り切りという状況です。特に国内男子ツアーは悲惨で試合数、観客動員数、海外トーナメント参加者数など、全て女子に負けていますからね。昔の男子ゴルフ界はAONが全盛で、スター選手が勢ぞろいして強かったなあ。なんで小粒な選手ばかりになってしまったんだろうか?
そこで今回は誰にも頼まれていませんが、男子ゴルフ復活計画を勝手に書かせて頂きます。まずは男子に比べ、なんで女子ばかりがスター選手を輩出できるのか?
①男子ゴルフ界の人材難
どうして男子と女子でこんだけスター選手の数、選手層の厚さで差がついたと思いますか? これはプロや専門家が考えれば考えるほど、答えが出ないと思います。深く考えてはいけません。なぜなら答えは凄く簡単なことだからです。
男子は素晴らしい人材を野球とサッカーに持っていかれてるからです。男子スポーツ界で素晴らしい人材が100人いたら、野球、サッカーが30人ぐらいずつで60人かな、あとは柔道や剣道、陸上 テニス、バスケ、バレー、卓球、スキーなどに分散で、ゴルフは2~3人いればいいほうじゃないですか。
ゴルフは小中学校の部活としてはマイナーだから、一般男子にとっては馴染みが薄いのです。野球小僧、サッカー少年は沢山いても、ゴルフ少年はなかなかいないのです。スタートダッシュで出遅れており、大学のゴルフ部は出涸らしのお茶みたいなところから、人材を探さなくてはいけません。
一方女性ですが、全部活に対するゴルフの割合は、男子同様低いです。じゃ男子と一緒じゃん。いえいえ女子ゴルフは部活ではなく、子供のお稽古ごととして、親の意向で始めるケースが多いのです。
娘にバイオリンやバレエなんかやらせても、お金がかかるだけでしょう。けどゴルフはひょっとして、莫大な富を持ってくる可能性があるのです。今は投資時代ですから、親はちゃんと費用対効果を考えています。
女子ゴルフはツアープロになれば、スポンサーも付き結構稼げます。しかも愛嬌やビジュアルが良ければ、プロじゃなくてもBSのゴルフ番組に呼ばれるし。一度脚光を浴びれば、残りの人生を普通に生きても、ゴルフの上手いお姉さんとしてコンペなどで重宝される。つまり女子ゴルフは男子ゴルフより潰しがきくのです。
しかも、周りを見渡せばゴルフを教わるところが沢山ある。先頃亡くなられた坂田信弘プロは坂田塾を開いて、100人余りのプロテスト合格者、二人の賞金女王を輩出しました。これ基本無料でしたからね、凄くないですか?
そういうジュニアの練習環境も整っており、特に女子は優秀な人材が集まりやすいのです。
②野球から学ぶこと
野球とゴルフは目茶苦茶親和性があります。そもそも日本ゴルフ界最大のスーパースター、ジャンボ尾崎選手は、元プロ野球選手ですから。
人材面で言うと、高校野球やプロ野球で目が出なかった選手をスカウトして、ゴルフをやらせれば良いと思います。野球選手の馬力はハンパないでしょう。世界で活躍するなら、飛距離は物凄く大事です。
小柄で飛ぶ選手も日本人に沢山いました。でもそれはどこかで無理をしているから、長続きしないんです。ゴルフは楽に長い距離を打てるほうが、有利に決まってるじゃないですか。
ゴルフは体重で階級分けをしてません。柔道で言えば無差別級でみんなが戦っているのです。その現実を認め、対策を立てないといけませんね。
③人材の育成
日本のスポーツコーチは元有名選手で、引退後に技術指導するパターンが多いです。野球やサッカー、相撲などそうなっています。じゃゴルフはどうなんだ?
まずゴルフは基本的に個人競技です。だからお金を持っていれば、コーチを個人で雇うことになります。それはいいけど、お金のない伸び盛りの選手はどうするってことですよね。個人的な意見を言わせてもらえば、国営でもJGAやJGTOでもいいけど、どこかの組織がゴルフアカデミアみたいなトレーニング施設を作り、優秀なコーチを雇って、日本のゴルフ界を牽引したほうがいいかなあ。
だからパリオリンピックのとき、丸山茂樹プロが日本代表の監督をやってたじゃないですか。あれをパワーアップさせるのがいいかも。ゴルフも団体競技を増やせば、チーム用の強化施設を作れますからね。そこを期待したいです。
④ゴルフは自分より上手な人の話しか聞かない
ゴルフのことわざに「自分より上手い人には教えられない」というのがあります。そりゃそうですね。100叩くやつに「肩突っ込んでるよ」と言われても聞く耳を持たないでしょう。
じゃレジェンド選手が引退してコーチをやればいいじゃん。いえいえ、ゴルフはシニア競技もあるので、なかなか引退しないんですよ。元プロ野球選手、元サッカー選手はいるけど、元プロゴルファーはさほどいません。これもなんか謎ですよね。ゴルフの選手だけ永久プロって、アマチュアにも永久シングルプレーヤーの称号くださいよ。
冗談はさておき、なんでプロに教えるコーチがいないと言えるのか? そういう話を実際にプロコーチから聞いていたからです。
私のゴルフの師匠は後藤修先生。ジャンボ尾崎、中嶋常幸を教えたプロ専門のコーチです。雑誌の企画で3年ぐらい弟子入りして、アマチュア弟子の公認を貰ってます。その先生が、教え子はなかなかコーチのいう事を聞かなくて、大変だみたいな話をしてたんですね。
後藤先生は元プロ野球選手で顔は怖くて「平成の丹下段平」と私は名付けていました。そんなコワオモテの先生ですが、生徒が言うことを聞かないとボヤくのです。まあ言ってることが高度で、達成できる人も少ないのですが。
そもそもゴルファーって我が強いんですよ。そんな怖いおじさんが教えても、言うことを聞かない。凄い世界だと思いました。そしてコーチの社会的地位は低いと嘆いていました。コーチなのにプロに雇われる雇用形態が問題です。誰も雇っている人に小言を言われたくないですよ。
結局「お前何勝したの? 俺より勝利数が多いなら話を聞いてやる」的世界ですかね。
それじゃいつまでたっても技術向上はないです。コーチはあくまでコーチです。トーナメントの勝利数は関係ありません。誰か男子ゴルフ界をまとめて、アカデミックな組織を作ってくれる人いませんかね。
それは多分ゴルフ界じゃなくて、孫さんとか前澤さんとか、ゴルフ好きの実業家がゴルフ組織と組むのが良いのかも知れませんね。
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