ゴルフの世界ランキングとは?「ロレックス・ランキング」ポイント獲得の仕組み【女子プロゴルフ】
「ロレックス・ランキング」は、女子プロゴルフの世界ランキングです。過去2年の出場試合の結果をポイント化するものですが、その算出方法はとにかく複雑。この記事ではそんなロレックス・ランキングについて、概要と仕組み、計算方法、それから世界トップの女子プロゴルファーについてもまとめました。
配信日時:2024年5月15日 10時18分
1.【女子プロ】ゴルフの世界ランキング
女子プロゴルフの世界ランキングは、2006年から導入された「ロレックス・ランキング」(英:Rolex Rankings)、正式名称はロレックス女子世界ゴルフランキング(英:Rolex Women’s World Golf Rankings)です。ランキングの創設にも関わったロレックスは、1980年から女子ゴルフ界をサポートしており、現在はLPGA(全米女子プロゴルフ協会)主催のメジャー5大会全てでパートナーを務めています。
第1回のロレックス・ランキングリストは2006年2月に発表され、1位はアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)でした。その半年後に一部のシステムが変更され現在に至ります。
ちなみに、男子プロの世界ランキング(世界ゴルフランキング、英: Official World Golf Ranking)は1985年から制度化しています。
ロレックス・ランキング上位に入ると海外の女子メジャー大会に出場できる
世界12の女子プロゴルファー協会の公認を得ているロレックス・ランキングは、世界レベルの大会への出場資格を決める基準となっています。例えば5大メジャー大会では、以下が出場資格です。
■40位以内:シェブロン選手権
■50位以内:KPMG全米女子プロゴルフ選手権、AIG女子オープン(旧・全英女子オープン)、アムンディ・エビアン選手権
■75位以内:全米女子オープン
2.ロレックス・ランキングの仕組み
ロレックス・ランキングは、各大会のレベルに応じてポイントが与えられる仕組みです。ランキングの期間は過去2年間(104週間)で、その間に対象の試合に出ていなければランキングからは除外されます。特に直近の13週間の結果を重視し、それ以前の91週間については一定の割合でポイントが減じられていきます。また、世界各地で前週のトーナメントが全て完了したあとの毎週月曜日に更新されます。
ランキングの対象となる選手は、CLPGA(中国)、JLPGA(日本)、JSU(日本下部)、KLPGA(韓国)、KDT(韓国下部)、LET(欧州)、LETAS(欧州下部)、LPGA(米国)、EPSON(米国下部)、TLPGA(台湾)、THAILPGA(タイ)、WPGAA(オーストララシア)といった12のツアーの公式大会参加者です。プロ・アマ不問、対象の大会で1打以上打てばランキングに掲載されますが、ポイントを獲得するためには決められた条件を満たす必要があります。
ロレックス・ランキングのポイント算出方法の概要
おおよそ、以下のようなイメージでランキングが決まります。
【1】大会のレベルに応じてポイントが設定される
【2】設定された順位以上の選手にポイントが傾斜配分される
【3】過去2年間の各選手の獲得ポイントを期間中の出場試合数で割る
【4】3の数値が高いほど世界ランキング上位に入る
期間中の出場試合数が35に満たない場合は、35で割って平均ポイントを算出します。
次の項目で説明するSOFにより、大会のレベルに応じたポイントがその都度設定されるため、ランキングの計算は簡単とはいえません。
ロレックス・ランキングのポイントはSOFで決まる
メジャー5大会の固定ポイントを除いて、対象となる各大会のレベルと獲得ポイント数は“フィールドの強さ”(Strength of the field、略称:SOF)によって変動します。
各大会のSOFは以下の2点から算出されます。
■その大会の出場選手とそのワールドランキング
■ホームツアーのランキング(前シーズンのLET賞金ランキングやLPGA公式賞金ランキングなど)
つまり、「実力のある選手が多く参加するほどSOFの数値は高くなり、その分ポイントが多く付与されるレベルの高い大会になる」といえます。
例えばLPGA大会の場合、ロレックス・ランキング600位以内の選手及び前シーズンの公式賞金ランキング30位以内の選手が何名出場するかによってレベルが変動します。つまり、カテゴリーごとのランキング順位が高いほどその選手の価値は高くなり、そういった選手が多く参加するほど大会のレベルも上がる仕組みです。ポイントが与えられる選手数および獲得ポイント数は、こうして算出されたレーティングによって決定されます。
ちなみに、メジャー5大会では決勝ラウンドに残った全ての選手にポイントが配分されます。
ロレックス・ランキングのポイントが多くもらえる大会は?
ロレックス・ランキングのポイントは、メジャー5大会優勝者への100ポイントを除いて、毎回変動します。ここでは参考として、2023年の大会でポイントが多かったものを一覧にまとめました。
なお、一番下はJLPGAの最高ポイントの大会です。
優勝者の獲得ポイント | 総合レーティング | 大会名 | 勝者 |
---|---|---|---|
100.00 | 22.00 | AIG女子オープン(全英女子オープン) | リア・ヴ |
100.00 | 15.00 | アムンディ・エビアン選手権 | セリーヌ・ブティエ |
100.00 | 11.00 | 全米女子オープン | アリセン・コルプーズ |
100.00 | 11.00 | 全米女子プロゴルフ選手権 | 殷若寧 |
100.00 | 16.00 | シェブロン選手権 | リリア・ヴ |
62.00 | 9.00 | CMEグループ・ツアー選手権 | エイミー・ヤン |
62.00 | 25.00 | BMWレディースチャンピオンシップ | ミンジ・リー |
14.00 | 5.00 | ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ | 小祝さくら |
(ロレックス・ランキング公式サイト 2023年データより)
表中の「総合レーティング」とは、ホームツアーレーティング(ホームツアーのランキングより算出)とワールドレーティング(出場選手の世界ランキングより算出)を足したその大会のレベルです。数値が大きいほど難易度は高くなります。
2023年の総合レーティングが最も高い大会は「サウジ・レディース・インターナショナル」(賞金7億6千万円)です。2024年4月現在の世界ランク1位、4位、7位、8位、9位、10位など、50位までが24人参加したタフな大会だったと考えられます。そのため総合レーティングは45.00と非常に高かったものの、優勝者が獲得したのは45ポイントのみでした。
ちなみに、2023年は10の大会が、メジャー5つのうち最も高レベルな全英女子オープンよりも高いレーティングになっていました。(レートが高い上位10大会の平均レート:26.6、平均獲得ポイント:41.95)
よく耳にする「メルセデス・ランキング」とは?
ロレックス・ランキングと並んで、あるいはより多く耳にする「メルセデス・ランキング」とは、「JLPGAツアーの各競技及びUSLPGAメジャー競技での順位をポイントに換算し、年間を通じての総合的な活躍度を評価するランキング」(JLPGAサイトより)です。つまりJLPGAツアー内における日本女子プロゴルファーのランキングです。
詳しくはこちら→「メルセデス・ランキングとは? 導入の背景や歴代女王を紹介」
3.「世界トップの女子ゴルファー」はだれ?
女子プロゴルフにはさまざまなランキングがありますが、現在の世界トップの女子プロゴルファーは「ネリー・コルダ」といえるでしょう。(すべて2024年4月21日現在)
・ロレックス・ランキング1位:ネリー・コルダ
ランキングの合計ポイントは376.06でトップです。2024年は5大会に出場、FIR HILLS SERI PAK CHAMPIONSHIP(56ポイント)、FORD CHAMPIONSHIP PRESENTED BY KCC(62ポイント)など4大会で優勝しています。
【最新の世界ランキングはこちら】
・CMEグローブ ポイントランキング1位:ネリー・コルダ
こちらも2052.000ポイントでトップです。
「CMEグローブ ポイントランキング」(LPGAツアー ポイントランキング)は米国女子ツアーの各競技での順位をポイントに換算し、年間を通じての総合的な活躍度を評価するランキングで、2014年に導入されました。上位60位に出場資格が与えられる最終戦「CMEグループ ツアー選手権」へ向けた指標になると同時に、主要大会への参加資格の一つにも採用されています。
・米国女子 賞金ランキング1位:ネリー・コルダ
2024年1月からの通算で$924,216(約1.4億円)を獲得し、1位です。
・生涯獲得賞金ランキング1位:アニカ・ソレンスタム
生涯獲得賞金1位は、第1回ロレックス・ランキング首位のアニカ・ソレンスタムで、$22,583,693(約34.6億円)を獲得しています。
ちなみに、各ランキングを総なめにしているネリー・コルダ選手は25位で、現在までに$10,161,489(約15.7億円)を獲得しています。
2024年4月現在の「日本トップのゴルファー」は?
「日本女子プロゴルファーのトップ」となると、ランキングにより首位が異なっています。主なものを以下にまとめました。(すべて2024年4月21日現在)
ランキング | 順位 | 選手名 | 備考 |
---|---|---|---|
ロレックス・ランキング | 日本女子最高位 18位 | 畑岡奈紗 | 172.84ポイント |
CMEグローブ ポイントランキング | 日本女子最高位 3位 | 古江彩佳 | 770.058ポイント |
米国女子 賞金ランキング | 日本女子最高位 3位 | 古江彩佳 | $434,391(約6,650万円) |
メルセデス・ランキング | 1位 | 鈴木愛 | 676.73ポイント |
国内女子 賞金ランキング | 1位 | 鈴木愛 | 46,348,166円 |
ロレックス・ランキングでは、古江彩佳プロは22位、鈴木愛プロは56位です。
4.まとめ
女子プロゴルフの世界ランキングである「ロレックス・ランキング」。過去2年の出場試合の結果をポイント化するものですが、算出方法は非常に複雑で、ランク1位のネリー・コルダ選手も「正直知らない」といっていたほどです。ですから、「強豪選手が出場するほどポイントが多くもらえ、また新しいほどランクに影響する」とおおまかに覚えて、詳細は公式サイトなどで確認するのがよいでしょう。
ロレックス・ランキングには、日本の試合ではなかなか見ることのできない強豪選手も載っていて、ゴルフの楽しみが広がります。ALBA Netでは、男女の世界ランキングを随時更新して掲載しています。ぜひご覧ください。