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    自分のやりたいことが明確なジュニアは上達も早い【原田香里のゴルフ未来会議】

    今日は、ジュニアゴルファーの指導についてお話をしたいと思います。

    配信日時:2023年2月1日 02時31分

    • ゴルフライフ
    2022年は馬場咲希をはじめ、日本のジュニア選手が世界で活躍した
    2022年は馬場咲希をはじめ、日本のジュニア選手が世界で活躍した (撮影:佐々木啓)
    • 山口県光市で原田香里の実家が営む練習場
    • 山口県光市で原田香里の実家が営む練習場
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    ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。今日は、ジュニアゴルファーの指導についてお話をしたいと思います。

    以前にもお伝えしたことがあるように、私の故郷、山口県光市には、父が始めた練習場があります。私も高校生になって実家を離れるまで、ゴルフの練習に明け暮れた守和ゴルフセンターです。

    そこでは毎週土曜日の午後、守和ゴルフアカデミーとして、ジュニアレッスンを行っています。少年・少女の健康な発育とスポーツに対する真摯な精神を養成し、国際的なゴルフトーナメントで活躍できるゴルフ技術の習得を目的としています。

    6歳から18歳までのジュニアを育てる団体として、山口県ゴルフ協会の支援事業になっており、レッスンなどは基本的に無料。ゴルフのスキルだけでなく、学業なども考慮して入会してもらっています。技術だけでなく、エチケット、礼節、あいさつなどの社会性の向上も目指しています。

    帰郷したときには、私もレッスンをする機会があります。プロを目指すレベルのジュニアもいますが、初心者もいます。子供たちのレベルに合わせて、本人たちが考えてゴルフを学んでいけるように、指導しています。

    私たちの時代には、ゴルフは「見て覚える」のが一般的でした。私も、ゴルフの手ほどきをしてくれた父を見ながら練習しましたし、同世代のプロのほとんども家族や師匠のプレーを「見て覚えた」のだと思います。

    時代は変わり、ティーチングのメソッドが確立された現在では、専属コーチについて指導を受けるのも当たり前になっています。それでもゴルフは自分で考え、自分で組み立てるスポーツであることに変わりはありません。どんなに優れたコーチについていても、最後は自分でジャッジして、自分でプレーすることを考えなくてはなりません。そうできるように指導することが大切だと私は考えています。

    もちろん私は毎週、ジュニアたちを指導できるわけではありません。付き添いの親御さんがいらっしゃるのなら、そちらも含めてコミュニケーションを取りながら、自分のゴルフができるように導くことを心がけています。

    初心者の場合は、グリップとアドレスを教えるくらいで細かいことは言わず、好きなように打ってみてもらいます。自分なりの打ち方で工夫しているうちに、ボールにパチーンと当たるようになれば、次のステップに進めます。ジュニアの中にはスイングが個性的な子もいるのですが、ボールをとらえるのが上手な子もいます。そういう子にはあえてスイングをいじらず、感性を大事にしていくような指導を心がけています。基本的には、本人が自分で考えられるようになるサポートができたらいいなと思っています。

    「どうして、その動きをしたほうがいいのか」を、できる限り説明することも心掛けています。そうすることで言われるままではなく、目的意識が生まれ、広い目でいろいろなことを見られるようになって、自分で考える力がついていくと思うからです。

    プロテストを受けるレベルのジュニアには「どういう球を打ちたいの?」「どういうスイングがしたいの?」と、尋ねることもあります。これにきちんと答えられる子は、上達が早いと感じます。自分のやりたいことが明確になっているのは、自分で考えているからでしょう。

    ジュニア時代からコーチに指導されてきた人の中には、プロになってもこの「考える力というのがなかなかできない人もいるのではないでしょうか。目指すスイングも、球筋もコーチの言いなりで、ベテランキャディの言うとおりにプレーする。その状態が当たり前になってしまっているからです。けれども、これでは一体誰がゴルフをしているのかわかりませんし、壁にぶつかったときになかなか乗り越えられません。ぜひ、自分で考え、解決する力を養ってほしいと思います。

    トレーニングに関しても同じようにジュニアたちに伝えています。ただ走るだけではなく、自分の体が思いどおりに動くように、思うようなスイングをするためにはどこを鍛えたらよいのか。どのようなトレーニングをしたらよいのか。専門の方と相談しながら、やっていくのがいいと思います。

    自分で考え、体を作り、自分のゴルフを確立させていく。その中で、社会性もしっかり身につけることができるのが理想です。今回もジュニアレッスンをしている中で、私自身のスイングにも気づきがありました。ジュニアたちに刺激をもらいましたので、私も精進したいと思います。父が地元で行っているアカデミーで、不定期ではありますが、またお手伝いができればいいな、と考えています。

    プロを目指す人もそうでない人も、ゴルフを通じて健全な成長をして、たくましく成長して欲しいものです。


    ■原田香里(はらだ・かおり)
    1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。

    連載

    原田香里のゴルフ未来会議

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