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    上田桃子、吉田優利、渋野日向子らチーム辻村が実践 「軸も飛距離も手に入れるタオルは魔法の練習器具」【四の五の言わず振り氣れ】

    2007年の賞金女王・上田桃子を始め、吉田優利、渋野日向子らそうそうたるメンバーが集う「チーム辻村」。辻村明志コーチは選手の課題に応じ、独創的でユニークな練習を次々と考案している。その中でも「タオルは万能の練習器具」と、タオルを使った多種多様なドリルが効果を上げている。

    所属 ALBA Net編集部
    ALBA Net編集部 / ALBA Net

    配信日時:2024年5月2日 22時15分

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    • 上田桃子
    • 吉田優利
    • 渋野日向子
    ふたつの“ 頭”が引っ張り合う、吉田の豪快なスイング。自分の頭(ブレない軸)の動きにより、ヘッドにかかる遠心力を大きくする!
    ふたつの“ 頭”が引っ張り合う、吉田の豪快なスイング。自分の頭(ブレない軸)の動きにより、ヘッドにかかる遠心力を大きくする! (撮影:GettyImages)
    • 両ワキが締まって腕とクラブが体から外れないように振るために、タオルを両ワキに挟む。いわゆる氣が散る、氣が抜ける状態を防ぐ
    • 先端を結んだタオルをクラブに見立てて構えたら、首の後ろ側を巻き込むように上げて左肩に当てる。フィニッシュでは先端を右肩に当てる
    • 頭が大きく動けばヘッドの運動量は減り、逆に頭の動きが小さければ運動量は大きく増える。軸がブレない渋野のスイングは、フォローが大きくなる
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    2007年の賞金女王・上田桃子を始め、吉田優利、渋野日向子らそうそうたるメンバーが集う「チーム辻村」。辻村明志コーチは選手の課題に応じ、独創的でユニークな練習を次々と考案している。その中でも「タオルは万能の練習器具」と、タオルを使った多種多様なドリルが効果を上げている。

    頭が動かずクラブヘッドが大きく動く渋野のスイングをチェック

    ◇ ◇ ◇

    ゴルフには大事なふたつの『頭』があります。首の上に付いている自分の頭と、クラブの頭、つまりクラブヘッドです。この2つの頭の運動量は、反比例の関係にあります。頭が大きく動けばヘッドの運動量は減り、逆に頭の動きが小さければ運動量は大きく増えます。さらにヘッドスピードとエネルギーが最大になるのは、2つの頭が引っ張り合い、その距離が最大になったときです。まずはこのことを、しっかり頭に叩き込んでください。

    多くのアマチュアは、頭が動き過ぎです。そこで「頭を動かすな!」というレッスンの定番が登場します。ところが頭を動かすまいとすると、体は固まりスイングは不自然に。頭をまったく動かさなければ、捻転はできません。

    そこで「頭の動きは自然に任せなさい」とボクは言うわけですが、この自然な動きがなかなか上手に伝わりません。さらに考え過ぎは、悩みを増幅させるだけです。そこで論より証拠。頭を自然に動かすためのタオルを使ったドリルを紹介します。ヘッドスピードが足りない、軸がブレる・傾く、クラブが体から外れる、脱力できない、リリースのタイミングが悪い……僕のチームの選手たちは、それぞれが抱えるあらゆる症状をこのドリルで克服しています。

    まずフェイスタオルの先端を固く結びましょう。それをヘッドに見立てます。最初は首の後ろから回りこませるようにトップで左肩にタオルを当てて、フィニッシュで右肩に当てるだけです。強く振る必要はありません。そんな簡単な練習で……と思う人がいるかも知れませんが、まずはこれが基本です。

    女子プロテストに合格したあるプロには、徹底してこの練習をさせました。頭の横揺れが大きく軸が傾くからです。スイング中に2つのヘッドが同方向に動いているので、スピードもエネルギーも大きくなりません。つまり飛びません。

    これがきちんとできるようになったら、体の連動を意識して全力で振りましょう。フットワークから腕の振りに動きが連動するように振らせます。「タオルの先端まで氣(エネルギー)が届くように!」。これが僕の選手たちへの、唯一のアドバイスです。

    上手に振れているかどうかは、タオルが出す音で分かります。風を切るビュンという大きな音。それがインパクト直後に出るのが理想です。なぜなら腕が真っすぐに伸び、頭が遠心力で後ろに動いて2つのヘッドが引っ張り合い、その距離が最も大きいからです。その状態がスピードとエネルギーを最大限にすることはすでに述べました。タオルの出す音は、先端から出るエネルギーの音です。

    「重みは下」は構えの基本です。下半身がドッシリしないと上半身にリキミが生まれ、なかなか鋭い音は出せません。出たとしてもいわゆる手打ちのアーリーリリースで、インパクトの前に出てしまいます。つまり氣の抜けたスイングということです。当然、フィニッシュではタオルが右肩に当たることもないでしょう。

    ちなみにチームで、このドリルが一番上手なのが(上田)桃子プロです。桃子プロはシャフトをタオルのように使うことができます。だからベテランになっても、飛距離が落ちないどころか伸びているのです。

    それにしてもタオルは、ゴルフの上達には万能な魔法の練習器具です。様々な練習に使えます。たとえば腕やクラブが体から外れる人には、両ワキにタオルを挟んで振らせます。ある女子プロはこの練習をよくやっていました。グリップ圧が強く、特に利き手である右手を使い過ぎる人には、グリップにタオルを巻いて振らせます。右手1本で振れば右ヒジを体に付けて体の回転で振る動きが、左手1本で振れば左サイドリードが体感できます。2つの動きがマスターできると理想的なスイングを覚えられるでしょう。

    濡らしたハンドタオルやおしぼりを使った練習もあります。逆手にクラブを持ってタオルをグリップに引っかけて振ります。前に低く、やや左に飛ぶよう振らせます。おそらく多くの人は遠くに飛ばせませんし、右方向に飛ぶでしょう。エネルギーが違った方向に飛んでいきます。氣が散っているのです。

    実は飛ばしのコツ、高等技術に『しぼり』があります。合氣道や剣術など、日本の武道に古来から伝わる技術です。具体的にスイングではインパクトの前後、右腕が左腕を追い越していく動きがそれだと僕は考えていますが、そのコツを身に付けるのが、このドリルなのです。言うまでもなく『しぼり』は、荒川博先生(王貞治に一本足打法を指導し本塁打世界記録まで成長させた元巨人軍コーチ。辻村や上田桃子のゴルフの師匠でもある。2016年に死去)から教わった術です。これについては、また紹介していくつもりです。

    ■辻村明志
    つじむら・はるゆき/上田桃子、吉田優利、渋野日向子らを指導し、プロを目指すアマチュアも教えるプロコーチ。荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。1975年福岡生まれ。元(はじめ)ビルコート所属。

    ※『アルバトロス・ビュー』830号より抜粋し、加筆・修正しています

     ◇ ◇ ◇
     
     ●多少曲がってもいいから同組のライバルたちより1ヤードでも遠くに飛ばしたい。そんなアナタには関連記事【もう飛ばないなんて言わせない! レッスン大特集】がオススメ。ヘッドスピードの上げ方、効率のいい当て方が満載です。

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