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    上田桃子、吉田優利、渋野日向子らが実践 「ジャンボさんは足裏から捻って体全体で上げていた」【四の五の言わず振り氣れ】

    2007年の賞金女王・上田桃子を始め、吉田優利、渋野日向子らそうそうたるメンバーが集う「チーム辻村」。コーチの辻村明志は「クラブを右腰の高さに上げるまででスイングの70%は決まる」という。まずはバックスイングの目的を知ることが大事で、それは捻転であり、タメを作ることにある。

    所属 ALBA Net編集部
    ALBA Net編集部 / ALBA Net

    配信日時:2024年5月11日 00時33分

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    • 上田桃子
    • 吉田優利
    • 渋野日向子
    
尾崎は右の母指球から地面をつかんで捻り上げ、重心が右足に乗って“タメ”ができたら、クラブが動き出す感覚を大切にしていたという
    尾崎は右の母指球から地面をつかんで捻り上げ、重心が右足に乗って“タメ”ができたら、クラブが動き出す感覚を大切にしていたという (撮影:GettyImages)
    • ヘッドの後方に傘など重いモノを置けば、クラブは手ではなく、体で動かす以外にはない。「ヘソから動けばゴルフはやさしい」と辻村は語る
    • アドレスでは右足で踏ん張ってからお腹、腰と順に動き出す渋野。足から動いて始動を開始している
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    2007年の賞金女王・上田桃子を始め、吉田優利、渋野日向子らそうそうたるメンバーが集う「チーム辻村」。コーチの辻村明志は「クラブを右腰の高さに上げるまででスイングの70%は決まる」という。まずはバックスイングの目的を知ることが大事で、それは捻転であり、タメを作ることにある。

    テークバックで足裏から動いていく渋野日向子のスイングをチェック

    ◇ ◇ ◇

    テークバックはゴルフスイングの中で、最も難しい動きのひとつです。これまでプロ志望の選手を数多く見てきましたが、テークバックに限って「上手いなぁ」と思った者は一人としていませんでした。

    確かに静止した状態から動き出すのは難しいものです。ただ、ボクに言わせれば、バックスイングの目的を理解していないことが始動を必要以上に難しくしている気がしてなりません。その結果、手やクラブをどこにどう動かすのかなど、方法や形ばかりに気をとられてはいないでしょうか。

    では、バックスイングの目的とはなんでしょうか。バックスイングのスタートはテークバックですが、そのゴールはトップです。スタートからゴールに向かって体を捩じり、いかに捻転差を大きくするかがバックスイングの目的だとボクは考えます。なぜなら、捻転差が大きければ、より大きなエネルギーを生み出せ、それを体のどこかに溜めて逃さないことが、効率のいいダウンスイング、高いミート率へとつながるからです。

    荒川博先生(王貞治に一本足打法を指導し本塁打世界記録まで成長させた元巨人軍コーチ。辻村や上田桃子のゴルフの師匠でもある。2016年に死去)の口癖に「スイングは氣の届く範囲でやるものだ」というのがありました。荒川先生の言う氣とは、エネルギーと言い換えられます。見方を変えればスイング中に氣が抜け、氣が散ってしまう瞬間があるということでしょう。

    結論を急げば、手が右腰の高さあたりまでのバックスイングが、最も氣の抜けやすい箇所だとボクは考えています。これはアマチュアに限った話ではなく、調子を落とした一流プロにも見られる傾向です。その原因はいわゆる手上げで、体が動くより先に手やクラブが動くからに他なりません。

    テークバックに限らず、静から動への移行は必ず「体の中の動き」から始まるものです。これは目に見えるフォワードプレスなどではなく、その前段階としての目には見えない動きです。具体的には体のどこかの部分に力が入り、粘り、捻れる感覚でしょうか。時間にしたらクラブが動き出すまでの1秒程度。ボクはこれを「ほんのわずかな間」と呼んでいます。

    この「ほんのわずかな間」を身に付けるため、ボクは選手たちにはあるドリルをやらせています。特に手上げの激しかったある練習生には、徹底的にやらせました。それは単純なドリルで、アドレスしたヘッドの後方にボクが足を置いて動かさないようにするだけです。一人の時は、練習場のマットや水の入ったペットボトルや傘をボクの足の代わりにさせました。手でクラブが動かせなければ、体を使って動かすしかないからです。

    手上げの反対は、体全体でクラブを動かすテークバックです。では、その究極のテークバックは、体のどこから動き出したらいいのでしょう。

    これについてボクは、クラブから最も離れた場所から動き出すものと考えています。というのもヘッドの後方に置くものが重ければ重いほど、クラブから遠く離れたところを使って、体全体でテークバックを始めなければならないからです。ジャンボさんを支えた伝説のキャディ・佐野木計至さんは、「ジャンボは右の母指球から地面をつかんで捻り上げ、重心が右足に十分に乗って“タメ”ができたら、そこからクラブが動き出す感覚をいつも大切にしていた」と教えてくれました。

    ジャンボさんはこうも続けたそうです。「足の裏から捻ってやろうと思えば、決して手先は意識しないで済む」。足裏とは、体の中でクラブから一番遠い部位です。つまり、これが究極の手上げの防止策です。

    ちなみに先に紹介したドリルでは、一番重いのがボクの足。これを動かそうとすれば体を全て使うしかなく、また一番遠い足裏から動き出すしかないのでしょう。自分の体重ほどある荷物を持ち上げるのに、大きく腰を落とすのと同じ理屈です。(上田)桃子プロはアドレスでは右足で踏ん張ってからお腹、腰と順に動き出します。つまり、足から動いているということになります。

    さらにいえば、先のドリルでボクが足をポンと外します。勝手にトップがいいポジションに収まることもつけ加えておきます。

    ところで、ジャンボさんの言葉に登場する“タメ”とは、重心を一点に集め、エネルギー(氣)を最大にする動きと言っていいでしょう。バックスイングの目的である捻転は、この“タメ”を作ることによって生まれます。ジャンボさんはこれを右足の母指球に集めたと言っているわけです。

    ただ、これは感覚の世界ですから人それぞれです。たとえば、桃子は右のお尻に重心を集めるといいます。

    ややもすると、ゴルフのレッスンは、テークバックはどこから動かし、タメはどこで作りなさい、という風になりがち。ただ、ボクが言いたいのは、今回紹介したドリルをやれば、理屈ではなく、その感覚が味わえるということです。クラブより先に体が動く感覚とは、体のどこに力が入り、どこが粘り、そしてどこが捻れるのか。まずは体で覚えることも極めて重要だと思います。


    ■辻村明志
    つじむら・はるゆき/上田桃子、吉田優利、渋野日向子らを指導し、プロを目指すアマチュアも教えるプロコーチ。荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。1975年福岡生まれ。元(はじめ)ビルコート所属。

    ※『アルバトロス・ビュー』832号より抜粋し、加筆・修正しています

     ◇ ◇ ◇
     
     ●多少曲がってもいいから同組のライバルたちより1ヤードでも遠くに飛ばしたい。そんなアナタには関連記事【もう飛ばないなんて言わせない! レッスン大特集】がオススメ。ヘッドスピードの上げ方、効率のいい当て方が満載です。

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    辻村明志【四の五の言わず振り氣れ】

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