「オープンフェース」「高いトップ」「タテ振り」が勝てる女子の共通点【女子プロのアイアン技】
スピンの利いた高弾道ボールを打つ女子プロたちの共通点を、プロコーチの辻村明志が解説する。
配信日時:2024年7月16日 23時10分
国内女子ツアーは後半戦に突入。今季、活躍している女子プロたちのアイアンスイングには、アマチュアゴルファーの悩みを解決してくれるヒントがいっぱい。スピンの利いた高弾道ボールを打つ選手たちの共通点とは? プロコーチの辻村明志が解説する。
◇
女子プロのトップ選手を見てまず言えるのは、フェースをシャット(閉じた状態)に使う選手が一人もいないことです。やはり男子プロに比べればパワーは劣る。例えば、ダスティン・ジョンソンやジョン・ラームのような体格とパワーがあれば、フェースをシャットに使っても、足で蹴る力を使って高いボールを打つことができます。
しかし、規格外のパワーがなければ無理。トップではフェース面がスクエア、もしくはオープンのほうが高弾道ショットを打つには有利なのです。また、シャローイングのように低いトップからシャフトを寝かせて下ろす女子選手もあまりいません。高いトップからシャフトを立てて下ろすことで、重力を利用している。
ショットメーカーの小祝さくらさんのスイングには、高弾道ボールを打つためのポイントが詰まっています。一番見てほしいのはトップのポジションで、手元が高くフェースが10度くらいオープン。これがしっかりとしたスピン量の確保につながり、グリーンのどのピンでも攻めていける。実際、バーディ数は常に上位にいます。
さらに、アイアンが上手い選手は右手を上から握れている。横から握るとダウンスイングの早い段階で手首が伸びてしまいますが、上から握れるとタメを作ってボールを押し込めます。「オープンフェース」「高いトップ」「タテ振り」によって、男子プロのようなパワーがなくても、グリーンに止まる高弾道ボールが打てるのです。
■小祝さくら
こいわい・さくら/1998年生まれ、北海道出身。今季のパーオン率は73.43%で5位、1ラウンド当たりの平均バーディ数は3.84で4位と、ツアー屈指の高いショット力を誇る。ここまで18試合に出場して、優勝2回を含むトップ10に11度入っている。ニトリ所属。
■辻村明志
つじむら・はるゆき/1975年生まれ、福岡県出身。上田桃子、吉田優利、渋野日向子らをはじめ、プロを目指すアマチュアも教えるプロコーチ。荒川博氏(読売ジャイアンツの打撃コーチを務め、王貞治に「一本足打法」を教えた)に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。元(はじめ)ビルコート所属。
◇ ◇ ◇
「アムンディ・エビアン選手権」で日本勢4人目となる海外メジャー優勝を達成した古江彩佳。関連記事【「腕とクラブの重みを使う天才」古江彩佳のアイアンショットをプロコーチが解説】では、身長153センチと小柄ながら世界トップクラスの正確性を誇るアイアンショットについて、辻村明志が解説している。