優勝者のスイング
軽・硬シャフトで復活の山内日菜子 インパクトで『ボールを押す』天才だった!【優勝者のスイング】
伊藤園レディスでツアー通算2勝目を飾った山内日菜子。そのスイングから学ぶべき点をプロコーチの南秀樹に聞いた。
配信日時:2024年11月12日 03時08分
優勝争いのプレッシャーのなか迎えた17番パー3。約20ヤードのアプローチがカップに吸い込まれると、両手を上げてよろこびを表した山内日菜子。昨年のアクサレディス以来となるツアー通2勝目を挙げた。
スイングについての印象をプロコーチの南秀樹に聞くと、「ゆったりなテンポで、クラブが体の中心から外れない、完成度の高いスイングです。手先でクラブを動かすような不要な動きがなく、一定の速さでクラブと体を同調させているので、打ち急ぐことがなく再現性も高い。切り返しからは、やや沈み込むように、下半身でクラブを下ろしてきますが、同調が崩れないのも素晴らしい」と、目一杯早く強く振って飛ばすというよりは、クラブと体を同調させて効率良くミートしていくタイプという。
今季は、夏頃まで予選落ちが続き、優勝前まではメルセデスランキング73位と苦しんでいた。復調のきっかけとなったのが、ドライバーシャフトを50グラム台から40グラム台へと変更したこと。「振れるようになって、操作しやすくなった」と山内。後半戦は予選落ちが減り、ついに2勝目を飾った。
シャフト重量は軽くすれば、速く振れるのは周知の通りだ。ただし、注意したいこともある。「スピードが出る反面、インパクトで圧がかかりにくくなる」と、スイングタイプによっては思うような結果が得られないこともあると南。山内のようにクラブと体を同調させ、体で振れるタイプは違和感が出にくいが、腕を主体に振っていくタイプのゴルファーは、シャフトが軽くなると手打ちを助長する可能性があるという。「最新シャフトは軽くても、ボールが吹き上がらない、素晴らしい性能を持っていますが、その前にうまく振れないかもしれないというわけです」。特に緊張したときなどは、クラブの重さが打ち急ぎを防ぎ、ミスを小さくしてくれることも考えられる。
軽いシャフトを使いこなすため、またスイングスキルを上げるためにも覚えたいのが、体でボールを押し込むこと。シャフトで押し込めない分、山内のようにスイングでボールを押し込めるようになれば、軽量シャフトでも安定したドライバーショットにつながる。
「重量のあるクラブでゆっくり振るのが練習になります。手先を使わず、体主体で振ること。なかでも意識したいのが、インパクトでの重心ポジションです。右に頭を残しながらの左足体重が理想ですが、頭の位置は人によって力の出るポジションが違ってきます。鏡の前でドライバーを持ち、インパクトポジションを再現。左足の爪先で地面をつかみながら、どこに頭があると力が出せて、フォローも低くなるのか、確認してみてください」。
頭が左へ突っ込めばカット軌道になりボールは押せず、頭が右に傾きすぎても強く押すことはできない。左足に乗りつつ、フォローが低く長く出せるポジションを見つけ、スイング中に再現できれば、軽いシャフトでも体重の乗った重くて強いボールが打てるだろう。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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