優勝者のスイング
実は飛ばし屋! 菅沼菜々の高いトップは真似ると危険!? 【優勝者のスイング】
プロ6年目、23歳の菅沼菜々が熱戦を制しツアー初優勝を飾った。プレーオフを競り勝ったスイングをひも解いてみよう。
配信日時:2023年8月14日 09時48分
「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で、悲願の初優勝を飾った菅沼菜々。ルーキー神谷そらとのプレーオフは、2ホール目に菅沼がバーディを奪い決着。右手を上げて、飛び切りの笑顔を見せた。そんな菅沼のスイングを見て、「アップライトな軌道のスイングは、ジュニアの頃から飛距離を追求してできたものでは」というプロコーチの長谷川哲也に、われわれも真似したいポイントを解説してもらった。
バックスイングが縦に上がるアップライトな軌道が特徴の菅沼。飛距離を追い求めたスイングと長谷川がいう通り、今季のドライビングディスタンスは、244.84ヤードで20位とツアーの平均を上回っている。「福嶋晃子さんや渡邉彩香さん、横峯さくらさんにバッバ・ワトソンと、アップライトな軌道は飛ばし屋に共通するポイント。手元を高い位置から下ろせば、位置エネルギーが大きくなり飛ばしにつながります。一方で、縦に振るほどフェースが開きやすくなるので、曲がりやすくなるのが難点。それでも、プロは熟練の技でカバーし高い安定性を誇っています」と、アップライトな軌道をマスターするには、相当な練習量が必要になるという。
そしてもう一つ、アップライトな軌道を安定させるポイントが右ヒジの使い方にあるという。「アップライトにクラブを上げると、トップで右ワキが開いてフライングエルボーになりやすいんです。こうなるとシャフトが飛球線より右を向くクロストップになって、ダウンでの軌道が安定せず、ボールは右にも左にも曲がってしまいます。菅沼さんも見る角度によっては、トップで右ワキが開きシャフトがクロスしていますが、これは体が回っているから。右ワキが開いているわけではないんです」。
右ヒジが体の幅に収まっていれば、ダウンスイングでクラブをプレーンに乗せやすく、再現性の高いスイングになるというわけだ。
もしもあなたが、フライングエルボーに悩んでいるなら、まずは片手でシャドースイングをしてみよう。「右手でクラブを持ったら、右腕の下に左手を回し、左手の甲で右ヒジを抑えてバックスイングします。よほど体が柔らかくない限り、トップは腕が地面と平行になったくらいで止まるはず。実際のスイングでもそこをトップにしたいんです」。
トップの大きさを確認したら、今度は両ヒジの間隔を変えないことを意識してボールを打ってみよう。ボールを打たず、家で素振りをするだけでも効果大。練習時間の少ないわれわれアマチュアこそ、正しいポジションのトップを作り、ナイスショットにつなげていきたい。
※データは8月14日現在のもの
プロフィール/長谷川哲也
深堀圭一郎のマネージャー兼キャディを務め、2年間国内外のツアーを転戦。2004年から本格的にゴルフインストラクターとしての活動を開始。DEPARTURE GOLFでレッスンする傍ら、最先端のゴルフ理論や指導メソッドを発信しているYou Tube「ゴルフレッスン動画のマイケルゴルフTV」のチェンネル登録者数は6万人を突破。
優勝者のスイング