6月から“クロスハンド”にして絶好調! 川崎春花は左手主導でブレ知らず【優勝者のスイング】
「大東建託・いい部屋ネットレディス」で、2試合連続優勝を果たした川崎春花。そのパッティングから学ぶべきポイントをプロコーチの南秀樹に聞いた。
配信日時:2024年7月23日 06時39分
「大東建託・いい部屋ネットレディス」で4日間72ホールをプレーし、1イーグル・28バーディ・2ボギーのトータル28アンダー。従来の72ホールの最多アンダーパー記録を4打更新した川崎春花が2試合連続で勝利し、ツアー4勝目を飾った。
試合を見たプロコーチの南秀樹は勝因の1つにパッティングを挙げる。「ひとり違うコースをプレーしているような、グリーン上でのボールのコロがりが良く、パットが決まっていましたね。印象的だったのは最終日の15番。下りのスライスラインをジャストタッチで決め、バーディを奪取。同じような距離からバーディパットを打った山下(美夢有)さんは決め切れず、差が広がりました。スピードが出しづらい夏場のグリーンで、しっかりとカップに届くように打てていたのが、ツアー新記録にもつながったと思います」。
好調なパットを支えているのが、6月上旬「サントリーレディス」で予選落ちした日に変えたという『クロスハンド』だ。通常の順手は構えたときに左手が上、右手が下を握るが、クロスハンドは右手が上、左手が下となる。そのメリットは右手の使い過ぎが抑えられる点。「体とクラブの一体感が増し、ストロークが安定します」。
また、ストロークの舵取り役となる左手が下になることで、バックスイングでヘッドがブレにくくなる。「クロスハンドにしたら、左手主導でバックスイングしてみてください。ショートパットを決めるコツである“ヘッドが揺れずに上がる”が体感できると思います。動き出しをスムーズにしたいなら、クロスハンドはとても有効です」。反対に順手で握って右手主導でバックスイングをすると、ヘッドが揺れやすく打点ブレにつながってしまう。
一方で、クロスハンドのデメリットと言われているのが距離感だ。ボールを打つ感覚は右手で作っている人が多く、右手の動きを抑えるクロスハンドに「タッチが出せなくなる」と感じる人もいる。
「距離感は振り幅で作っていきます。5メートルでも10メートルでも、ストロークのスピードは同じにして、振り幅で打ち分ければシンプルで再現性が高まります。そのためには、自分の中で基準を作ることが大事。気持ち良く振った時に、どれだけ飛んでいるのか、その日のグリーンで距離を把握できれば、あとは足し算、引き算をするだけです」
クロスハンドを試してみたけど、「しっくりこない」と感じているなら、ヘッドを上げるタイミングがズレている可能性がある。「ラインをイメージすると体が動きやすく、ボールに集中するとヘッドが上がりにくくなります。さらに、ショートパットでは『カップに入れたい』と思うこともヘッドを上げにくくしている要素。しっかり呼吸して、ラインをイメージしてみましょう」。
パットの握りを変えれば、新たな気付き、新たな感覚が得られるだろう。気分転換や悩み解決策として、クロスハンドを試してみてはいかがだろう。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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