ツマ先下がりのバンカーは“ピンの左を狙う”のが絶対条件、ではツマ先上がりは?
ツマ先下がり、ツマ先上がりのバンカーは、芝の要領で打ってしまうとミスショットにつながる。
配信日時:2024年7月18日 03時17分
ある程度の経験を積めば、バンカー脱出は意外と簡単。しかし、傾斜からのバンカーだとなぜかピンから反れたり、下手したら一発で脱出できなかったりする。「バンカーのツマ先下がりとツマ先上がりは芝とは異なるので、気を使って打つ必要があります」と話すのは、かつて世界一にも輝いた宮里藍の父でありコーチの優氏。バンカーの傾斜は何に注意したらいいのだろう。
「まず、ツマ先下がりのバンカーで気を付ける点は、スイング中にヒザを伸ばさないこと。球が低い位置にあるため、両ヒザをしっかりと曲げて重心を落として構えることが大切です。次に、グリップを低い位置で動かすイメージを持ってください。ただし、狙いどころには注意が必要。元々バンカーショットは右回転がかかりやすいですが、ツマ先下がりではスイングプレーンがアップライトになるため、余計に右回転がかかりやすい。平地に比べてハンドアップ状態になることから、ヘッドはトゥダウンし、フェース面は右を向きます。そのため、グリーンに落ちたあと、球は右へコロがる度合いが強くなるのです。ですから、ツマ先下がりのバンカーショットでは、ピンの左を狙って構えることが重要なのです」
ピンを狙っているつもりが右に反れていたのは、球にかかる右回転が強くなっていたことが原因だったのか。では、ツマ先上がりのときに気を付けたほうがいいことは?
「ツマ先上がりのバンカーはプロでも気を使うほど難しいショットです。バンカーはフェースを開いて打つため、インパクトでヒールから先に砂に入ります。ところが、ツマ先上がりではそのヒール側に砂がありません。必然的にトゥ側から砂に入ることになりますが、砂を爆発させて打ちたいのに、爆発させる砂がトゥ側半分しかないため、どうしても不安定なショットになってしまいます。また、バンカーでは砂の抵抗を少なくするため、アウトサイド・インの軌道で打ちますが、ツマ先上がりのバンカーではクラブを入れてくるアウトサイド側の砂が盛り上がっているせいでアウトサイド・インに振れません。このように、バンカーショットを有利に運ぶための条件が使えないため、ツマ先上がりは難易度が高いのです」
ヘッドを中途半端にしか入れられず、砂をしっかり爆発させることもできない。そのうえ、理想のスイング軌道でも振れないとなったら、一体どうやって脱出できるというのか!
「ツマ先上がりで構えると、ハンドダウンと同じ状況になるため、トゥが浮き、フェース面は左を向きます。当然、砂は左に弾けやすく、球も左に飛び出しやすい。とはいえ、右を向いて打ったところで、芝からのショットのようにフックして球が戻ってくることはありません。ですから、体は右を向けずに目標を真っすぐ狙って構いません。その代わり、フェースだけ右に向けて傾斜に合わせてフラットに振ってください。このままでは左に飛びやすいので、左に行かないようにするため、インパクト以降では手首を極力返さずにオープンフェースを保つことがポイントです」
横振りのイメージで傾斜に沿って打ち、フェースは開いたままを意識する。かなり高度なテクニックだが、理屈が分かっていれば脱出のイメージはしやすい。バンカーのツマ先上がりに遭遇してしまったときは、この技を試してみて欲しい。
◾️宮里 優
29歳でゴルフをはじめ、独学でゴルフ理論を構築。36歳の時に男子プロトーナメントの大京オープンにアマチュアとして出場。その後、ティーチングプロの道を歩む。子供たちと一緒に楽しみたいとやらせたゴルフだが、結果的に聖志・優作・藍の3人共プロゴルファーの道を選んだ。
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●どんなスイング理論でも全ての人には当てはまらない。関連記事『【診断】手のヒラを擦る? 目を閉じてその場で足踏み? 新感覚の理論で自分に合ったアドレスを見つけよう!』をチェック!