クラブが上から入るようになった渋野日向子 “厚い当たり”が大躍進のポイントだった!【プロコーチがスイング解説】
全米女子オープンを単独2位で終えた渋野日向子。そのスイングをプロコーチの南秀樹が分析。
配信日時:2024年6月4日 22時45分
今季、「全米女子オープン」前までは、9試合に出場し予選通過は2試合(1試合は予選落ちなしの試合)と苦しんできた渋野日向子。ポイントランキングは138位でスイング面でも試行錯誤を重ねてきたというが、全米女子オープンでは打って変わって優勝争いに加わり、単独2位フィニッシュと結果を残した。好調の要因はどこにあるのか、現地でプレーを見ていたプロコーチの南秀樹に、渋野のスイングについて話を聞いた。
まず南が注目したのがアドレスだ。昨年は一時ではあるものの、ヒザを曲げて座り込むような、重心を下げたアドレスを取っていたが、全米女子オープンではナチュラルな構えへと変わっていた。「トップからトルクを使ってクラブを寝かすように、インサイドから入れたいと思うとアドレスが低くなりやすいんです。反対にクラブを上から入れたいと思った時には、棒立ちになります。今の渋野さんは、どちらでもない自然体に近い」と、前傾角がキープしやすい安定したアドレスになっているという。
以前からインパクトからフォローにかけての動きは抜群で「プロに入る前から飛んでいたのを覚えている」という南。ここ数年は、そのフォローとダウンスイングでの軌道のズレ、「ダウンスイングで次の動きが想像しにくいスイング」だったことを、ボールが曲がっていた理由のひとつに上げる。現在はそうしたズレが収まっており、トップの高さにも変化が見られると話を続ける。
「クラブが上から入るトップになってきました。以前、インサイドからの軌道が強かった時は、ドライバーは良くても、アイアンの縦距離が合いにくかったと思います。感覚的な話ですが、当て感、インパクトの厚さにムラが出て、思うような距離が打てなくなるんです。トップを修正したというよりは、アイアンでしっかりと距離を打ち分ける、厚い当たりを求めていったら、結果的にダウンスイングの軌道やトップに変化が出たのではないでしょうか」。
今大会4日間のフェアウェイキープ率は16位(69.6%)、パーオン率は20位(69.4%)とショットが好調だった。
インパクトからフォローにかけて『ルックアップ』が早くなったのも調子が上向いたポイントだ。「体の回転、キレが良くなったこと。ボールにコンタクトできる、真っすぐ飛ばせるという自信が出てくると、頭を残し過ぎることがなくなり、振り抜きも良くなります」と、好循環を生む要素という。「今回はパットも良かったですが、ショットが良くなったことで、アプローチやパットの練習にも熱が入り、ゴルフ全体が良くなるのではないでしょうか」。
全米女子オープンを終えて、ポイントランキングは138位から32位にジャンプアップ。今週の「ショップライトLPGAクラシック」でも活躍が期待できそうだ。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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